出勤簿とタイムカードの関係を詳しく解説。出勤簿はエクセルでの保存で問題ないか?

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

出勤簿とは従業員の労働時間を管理するための帳簿のことで、労働日ごとの出勤時刻と退勤時刻を記入するようになっています。

労働時間を記入せずに出欠と休日のみを記入する出勤簿を使っている会社もありますが、その場合は労働時間を別の方法(後述のタイムカードなど)で管理する必要があります。

ですが、なぜ出勤簿を作成しなければならないのでしょうか?

出勤簿の意義

会社は従業員に給与を支払いますが、その際に従業員の働いた時間に基づいて給与を決めます。相手が請負関係にある人であれば、かかった時間に関係なく仕事1件について支払う金額が決まりますが、雇用関係にある従業員に対しては、仕事に携わった時間が給与の基礎となります。

会社には所定労働時間というものがあり、従業員が本来働くべき時間が定められています。そしてその時間に対して給与が決まっています。もし所定労働時間を超えて働くなら、時間外労働に対して残業代が支払われます。

会社が従業員に支払う給与を決定する際に根幹となるのが労働時間なのですから、所定労働時間通りに働いたのか、それともそれを超えて働いたのか、正確に管理しなければなりません。さもないと、給与の過払いや未払いが生じることになり、会社と従業員のどちらかが損失を被ることになるでしょう。

企業の支出の中で人件費は大きなウェイトを占めますが、長期的な経営計画を立てるためには支払う給与の見通しを立てておくことも必要です。そのために、労働時間の正確な把握は必要不可欠です。

さらに、長時間労働が原因となる労務トラブルは多いのです。有能な人材が体調不良のために能力を発揮できなかったり、不満を感じて職場を去ったりするなら、会社にとっても損失となります。問題を予想し、事前に予防策を講じるためにも、経営者は従業員の労働時間を知っておかなければなりません。

労働時間の管理と出勤簿

以上の目的で作成するのが出勤簿です。労働日数と労働時間数が把握できるのであれば、基本的にどんなものでもいいことになりますが、厚生労働省の通達ではその方法として

①使用者が記録する

②タイムカードやICカードなどの客観的な記録を残す

③労働者が自己申告する

3つを挙げています。

上記の①と③が、出勤簿の作成による管理方法です。会社側が労働時間を管理し、日ごとに記入するのが原則ですが、例外的に従業員自身が自分の働いた時間を記録することも認められています。

一見すると自己申告制の方が公平で、従業員に有利な記録になるようにも思われますが、圧力がかけられて不正確な申告になったり、その発見が難しかったりするおそれがあるため、例外的な方法とされています。

それに、従業員の労働時間を管理し、必要に応じて人材を配置し直すことも使用者の大切な仕事に含まれますので、出勤簿を作成する場合にはなるべく会社側で記入するようにしましょう。

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タイムカードとの違いは?

上記の②はタイムカードなどによる記録方法です。何時に会社に来て何時に帰ったかを記録する一番客観的で分かりやすい方法ですが、必ずタイムカードを使わなければならないという決まりはありません。あくまでも、労働時間を把握するための方法の一つに過ぎません。

タイムカードと出勤簿には大きな違いがあります。それは、タイムカードには会社にいる時間は記録されても、実際の労働時間を必ずしも反映していない、ということです。

たとえば会社に早く来ていても、まだ仕事を始めていない時間があるかもしれません。朝礼もまだ始まっておらず、朝食を取ったりスマホをいじっていたりする時間も労働時間なのでしょうか。これには違和感があると思います。

また、業務終了からタイムカードの打刻まではどうしてもタイムラグがあるはずです。これも一か月分をまとめて残業代としなければならないのでしょうか。

タイムカードの通りに労働時間を扱うことは問題ありませんが、より正確に実労働時間を把握したいと思うのであれば、作業日報をつけさせて労働時間を記入させたり、残業申請書や残業許可証を作成したりして、タイムカードの時間を実際の時間に修正する必要があります。

このように客観的な証拠を残し、従業員本人の同意も得ることにより、会社の指揮命令下にあった時間のみを労働時間として扱うことができるようになります。このひと手間が必要になるのが、出勤簿とタイムカードの違いです。

エクセルなら作りやすい?

かつては出勤簿を紙台帳で作成し保存している会社がほとんどでしたが、これには広い保管場所が必要なので、省スペースのためにエクセルで出勤簿を作成したいと思う会社もあるかもしれません。

エクセルで作成するのは全く問題ありません。今はネット上に出勤簿のテンプレートが多く出ていますので、活用できます。紙での保存よりもデータでの保存の方が、何かと便利でしょう。もちろん、あらゆるデータファイルと同様、データを消去・漏洩しないための対策は必要です。

また、出勤簿は3年間の保存が義務付けられていますが、データ化すればスペースはほぼ不要ですので、3年で廃棄する必要もありません。

まとめ

会社が従業員の労働時間を把握することは大切です。労働時間は従業員の給与に直接影響するからです。小規模の会社であれば使用者が毎日、労働者ひとりひとりの出勤時刻と退勤時刻を出勤簿に記入するのが確実です。

しかし労働者にある程度委ねるのであれば、作業日報を作成させるなどして、労働時間の正確な把握に努めてください。その際にタイムカードを併用することで、不正な自己申告を抑止することもできます。

タイムカードのみで労働時間を管理する場合は、出勤簿と違い、実際の労働時間の前後の時間がどうしても含まれてしまうことを覚えておきましょう。もしそのような時間を削りたいと思っても、一方的に減らすことはできず、従業員が会社の指揮命令下にあった時間を把握するための客観的な証拠を残す必要があります。エクセルによる出勤簿の作成と保存は問題ありません。データが失われないようご注意ください。

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『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。