休日出勤で残業させる前に、理解していますか?「振替休日」と「代休」の違い

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

やむを得ず休日出勤を社員にしてもらわなければならないことは、多くの会社さんであると思います。総務・人事で働かれている方なら、休日出勤というワードとセットとして代休振替休日というワードを聞くことと思います。ここでは、それらに加えて、代替休暇ついてもご説明していきます。

代休とは

「代休」とは、休日出勤をさせたかわりに別の労働日(休日出勤後)を休日(※参照:「法定休日・法定外休日と所定休日の違いとは」)とする日を言います。したがって、すでにおこなった休日出勤に対しては休日割増が必要です。しかし、代休として休んだ日に対する賃金は支払う必要はありません。

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例えば、8/17(水)はもともと休日であったが、急きょ出勤しなければならなくなり、8時間の休日出勤をしたとします。その後、8/17(水)に休日をとれなかった代わりにもともと労働日である8/19(金)を休日とすれば、8/19(金)は“8/17(水)の代休ということになります。8/17(水)の8時間の労働に対しては、35分以上の割増率をつけた賃金を支払う必要がありますが、8/19(金)の代休は無給とすることができます。

振替休日とは

 振替休日とは、業務上の都合から事前に本来の労働日と休日(※参照:「法定休日・法定外休日と所定休日の違いとは」)を交換して得た休日のことを言います。

振替休日

例えば、814日(日)は本来であれば休日であり翌日15日(月)は労働日であったが、事前に14日(日)を労働日へ、15日(月)を休日へ交換すると、「15日(月)は14日(日)の振替休日」です。

ここでのポイントは、「事前に」この交換作業を行うことにあります。

16日(火)になって「14日出勤してもらったけど15日休んだから、15日は振替休日ということにしよう」と、事後に振替休日を設定することはできません。

 事前に、14日(日)を休日ではなく労働日と設定すれば、14日(日)は「通常勤務」として扱われますので、休日勤務割増などの割増率をつけて賃金を支払う必要はありません。15日(月)の振替休日は、「休日」ですので、欠勤でも年次有給休暇の消化日でもありません。

 なお、この振替休日を会社で運用するためには、就業規則などで規定を設けておく必要があります。また、振替休日を設定したことによって1週の法定労働時間(原則40時間)を超えた場合には、超えた分については時間外労働となりますので、割増賃金を支払う必要があります。

代替休暇

会社は、1カ月に60時間を超えて時間外労働をした労働者に対して、60時間を超えた労働に対しては5割以上の割増率で計算した賃金を支払わなければなりません。これは労働基準法で定められています。

※現在、中小企業はこの法律の適用は猶予されていますが、平成3141日からは猶予措置は廃止となり、中小企業にも適用されることになります。

ここでいう中小企業とは、業種ごとで資本金又は出資の額もしくは常時使用する労働者数で該当するかどうか判断されます。小売業ならば、5,000万円以下もしくは50人以下。サービス業ならば、5,000万円以下もしくは100人以下。卸売業なら1億円以下もしくは100人以下。その他の業種は3億円以下もしくは300人以下とされています。)

これは会社にとっては経済的にとても大変なことですし、労働者にとっても「お金はもらえるけれど、休み(時間)が欲しい」と頭を抱える事態だと思います。そのような時に代替休暇が活躍します。代替休暇を労働者に取得させれば、会社は60時間を超えた労働に対しても通常の割増率で計算された賃金を支払うことで良いとされています。なお、代替休暇を取得するか否かの最終的な判断は労働者の意志によるものです。

代替休暇運用のための労使協定

ただし、5割以上の割増賃金の支払いに替える代替休暇を取得させるためには、労使協定で「1カ月に60時間を超えて時間外労働をした労働者に対して、60時間を超えた労働に対しては5割以上の割増率ではなく通常の割増率(多くの場合は25分の割増率)を支払い、さらに通常勤務したときと同じように賃金が支払われる休暇を与えます」と定めておく必要があります。

労使協定は、以下でご説明する①代替休暇として与えることができる時間の算定の仕方、②代替休暇の単位、③代替休暇を与えることができる期間について締結する必要があります。

ただし、36協定のように、労働基準監督署への提出は必要ありません。

代替休暇として取得できる時間は、代替休暇を取得しない場合に支払う必要のある5割の割増率(A)と60時間を超えていなかった場合の通常の割増率(B)の差を、1カ月に60時間を超えた部分の労働時間(C)に乗じた時間です。

代休休暇

【例えば、1カ月に80時間の時間外労働をした場合】

5割(上記A)-25分(上記B)=25分。ABの差である25分を、60時間を超えた部分(ここでは20時間)に対して乗じると、5時間ですね。したがって、1カ月に80時間の時間外労働をした労働者に対して、5時間の代替休暇を与えることができます。

 また、代替休暇を与えることができるのは1日もしくは半日と決められています。「2時間だけ代替休暇」など時間単位であたえることはできません。

 代替休暇の目的は、長時間の時間外労働をした労働者の健康を守ることでしたから、代替休暇を与えることができる期限もあります。期限は、時間外労働が60時間を超えた月の翌々月末日までです。8月に60時間を超えた場合には、1031日まで8月分の代替休暇を与えることができます。

まとめ

 代休は、残業や休日出勤などの時間外労働を行わせた際に使う「事後的な手段」です。代休の日は、賃金は無給とすることができます。ただし、その前に労働させた休日については、休日割増をした賃金を支払う必要があります。

 一方で振替休日は、あらかじめ勤務日と休日を入れ替える必要が分かっている場合に使う「事前の手段」です。振替休日の設定後は、本来休日であった日に勤務しますが、その日については割増賃金を支払う必要はありません。また、どの勤務日と休日を入れ替えるかは会社側が指定することができます。なお、振替休日を設定する際には、4週で4日休日が確保されているか、1週の法定労働時間は超えていないかに注意する必要があります。

 代休とは異なり、代替休暇というものもあります。これは1カ月の時間外労働が60時間を超えた場合に、60時間を超えた労働に対して支払わなければならない5割以上の割増賃金にかわる休暇です。60時間を超えた労働に対しては、通常の割増率(多くは25分)での賃金は支払う必要はありますが、それを超える割増率は代替休暇に替えることができます。

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『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。