社労士試験合格

2016年度の社会保険労務士試験の結果が発表されました。

受験申込者数 51,953人
受験者数 39,972人
受験率 76.9%
合格者数 1,770人
合格率 4.4%

合格率は、4.4%。昨年の2.6%に比べれば確率は高くなりましたが、合格は狭き門であることに変わりありません。一体どんな人が、合格しているんでしょうか?今回、合格者のひとりにインタビューしましたので、その内容を公開します。

※関連記事:[キャリアアップ] 人事・労務を極めるための資格

ご自身のプロフィール、職歴などを、公開して問題ない範囲で教えてください。

杉江利央(仮名)です。現在、35歳です。

大学(国立女子大学文学部)卒業後、心理職の公務員として10年近く働きました。公務員時代には、公立の病院で臨床心理士としての臨床勤務も経験しています。この病院勤務期間に、社会福祉士の資格を取得しました。資格が無いと行えない業務がいくつかあったため、必要に迫られての資格取得です。

その後、結婚のために退職し、転居しました。

転居先では、前職を生かし心理系の非常勤職員として病院に勤めました。

勤務先には、心理系の常勤職員がおらず、すべて非常勤職員でした。1年間の有期労働契約で契約の更新はあるものの、契約の総期間は最長5年と定められていました。このまま勤務し続けても、将来の見通しが不明瞭だったので1年で退職しました。

社労士試験合格者

社会保険労務士の資格を得たいと思ったきっかけを教えてください。

私の場合、ちょっとかわった動機なので、みなさんの参考になるか不安なのですが。せっかくなのでご紹介します。

社労士資格の取得を考えるようになったのは、働き始めて3年目までさかのぼります。この年、職場内で金品盗難事件が相次いだんです。でも、会社側は適切な対応をとってくれませんでした。当時の私は、「こうやって労務環境を変えよう」「こういう規則をつくろう」と、会社側から改善策を提示して欲しいと感じていました。でも、会社側は、何も適切な対応をしてくれませんでした。職場内は、疑心暗鬼が渦巻く、大変に働きにくい状況となりました。

労務環境を変えるにはどうしたら良いのか、いろいろ調べているうちに「社労士」という存在を知りました。仕事というのはいくらやりがいもあって誇りももてても、そこで働く労働者の心身の健康が確保された状態でないとパフォーマンスが維持できません。だから、労働者の労働環境の整備などに携わることが出来る社労士という資格を受けようと考えたのです。ただ、当時の私はまだ本格的に勉強を開始するほどのモチベーションは持てませんでした。

本格的に勉強しようと思ったのは、結婚後に非常勤職員として働いていた際の職場環境の悪さを、改善する方法は無いのか。自分だけでなく、同じような環境の悪さを感じている人たちに、手を差し伸べる方法は無いのか、と思ったためです。待遇の悪さというのは、たとえば、雇用条件通知書に書いてある内容と、実際に職場で行われている労働の乖離です。雇用条件通知書には、非常勤職員の場合、所定時間外の労働は無いと明記されているのに、実際は所定の時間外に働かないと業務が回らない。こういう状況への疑問が徐々に大きくなり、自分が勉強することで何か改善できるのであればと思ったんです。

社労士試験の勉強について、詳しく教えてください。

受験勉強を開始した時の知識レベルを教えてください。

労務の知識レベルは、あまりありませんでした。法定労働時間と休日が労働者にあたえられている権利であることを知っている程度でした。

ただ、社会福祉士資格を持っていたり、病院勤務だったせいもあり、健康保険法や介護保険法、労災などの法律について、一般の人よりは知識を持っているという自負はありました。

受験勉強を開始してから合格までに要した日数を教えてください。

合格まで、2年かかっています。2015年(平成27年)、2016年(平成28年)と受験し、2016年(平成28年)の試験で合格することができました。

1年目:2015年の勉強時間は?

勉強を開始した2015年は、仕事もしていたため、通信講座で勉強することにしました。

どの通信講座にしたかですが、社会福祉士の受験の時に、ユーキャンの一問一答集を使っていてとても役に立った経験があったため、ユーキャンにしました。

2014年の11月に申込んだのですが、勉強を始めたのは諸事情で2015年の4月からになってしまいました。試験まで実質4ヶ月程度とかなりタイトなスケジュールです。

最初の1〜2ヶ月は、平日は仕事から帰ってきた21時半〜23時まで1時間半程度、ユーキャンの教材を読みその範囲の問題を解くことを中心に勉強しました。休日はカフェなどで13時〜18時ごろまでゆっくり時間を取って勉強しました。通勤中も、年金講義や法改正のCD講義をずっと聴いていました。

3ヶ月目以降は、残業を極力しないようにして、平日の勉強時間を3時間ほど確保するようにしたのですが、結果的に試験の点数は合格基準点に2点足りず、不合格となってしまいました。

2年目:2016年の勉強時間は?

1年目の勉強は、孤独感を感じながら勉強していて、しんどいことが多かったです。そのため2年目は、ユーキャンの教室講義を各科目ごとの問題演習から受けることにしました。1月からいくつかの講座を受けたのですが、実際に教室で講義を受けることで、一緒に合格を目指す人たちと交流出来たことは大きかったです。また、サポート講師の先生方が何人かいたので、休憩中に質問や相談できたのも助かりました。

4月からは仕事を退職し、平日の勉強時間を大幅に増やしました。午前中は教室講義の音声データを聞きながら家事をし、13時ごろに図書館に出かけ、19時ごろまで勉強し、帰宅後も寝る前に1時間勉強しました。

7月からは、試験の対象となる目的条文を読み上げて、声に出すという勉強法も開始しました。五感を総動員しての勉強です。

合格するのに効果的だった勉強は?

やはり、過去問を何度も何度も解いたことは効果的だったと思います。何回も解きながら、論点を頭のなかで整理し、問題文の一部を変更して別の問題を作って解いてみるなど、隅から隅まで過去問で勉強しました。

最新の法改正についての勉強は、ユーキャンから定期的に届く資料を読み込むことが効果的でした。

統計関係は、図書館にある白書を読みながら大切だと思うところを付箋に書き出し、テキストに張り付けて繰り返し読み込みました。

試験勉強

試験勉強で、不安に感じたことは?

1年目は、ユーキャンの模擬試験のたびに、テキスト通りの出題でないと、問題が解けないことを大変悩みました。これは、2年目に過去問を徹底的に解くことで解消しました。

あと、自分がどのくらい勉強すれば試験に合格できるのか分からないことが不安でした。口コミで、合格者の平均勉強時間が1000時間というのを見て、その時間を基準に考えていたものの、それだけ勉強しても受からない人もいるわけなので。。。でも、それは学習に取り組む多くの人が感じていることであり、合格体験記などを読んだり、サポート講師と話をすることで、学習を重ねた自分を信じようという思いに変わりました。

またこれは年齢のことですが、20代に社会福祉士の資格の勉強をした時より確実に頭に入りにくくなっていたのも不安を増大させました。合格を目指すなら、思い立ったが吉日。出来るだけ早めに勉強を始めた方が良いと思います。

2017年の社労士試験の勉強をはじめる人に、アドバイスをお願いします。

各予備校は前年の、2016年9月、10月から初学者向けの講座を始めていますし、上級者向けの講座も11月ごろから始まっています。

2017年8月の受験を考えれば、できるだけ早く学習を始めるべきです。また、毎日の学習時間の確保にも貪欲になってください。特に、働きながら合格を目指す方は、学習時間の確保が容易ではないでしょう。通勤時間や、家事の合間など、どんな時間でも良いので、勉強を習慣化しましょう。

動機づけを強く持つことも必要です。今後も合格率は5%程度で推移していくと考えられます。こんな合格率が低い資格の勉強を続けて、合格を目指すための、動機を自分の中でしっかり持ってください。そして、合格した時のイメージを強く持ち続けて下さい。自分は、なぜ社労士資格を目指していて、そして合格したらどうなりたいのか?

2017年11月。あなたは合格するんですよ!!

いつかあなたが、社会保険労務士の仲間となっていることを信じています。

第49回(2017年)試験の詳細は、平成29年4月中旬に公示予定です。また、受験案内の請求方法については、平成29年3月上旬に案内予定です。
詳しくは、社会保険労務士試験オフィシャルサイトにて

※関連記事:[キャリアアップ] 人事・労務を極めるための資格

Profile

『バックオフィスの基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。

Comments

comments