給与所得者異動届出書の書き方のポイントとは?転職者の住民税処理をマスターしよう

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

 ここでは給与所得者異動届出書の書き方のポイントをご説明していきます。

  この書類は住民税の特別徴収をしていた労働者が退職する際に特別徴収を中止する場合や、中途入社してきた労働者の特別徴収を行う場合に作成する書類です。特別徴収とは、住民税を会社が支払う給与から控除し、会社が労働者にかわって各市区町村に納める方法をいいます。

それとは反対に、自ら各市区町村に納税する方法を普通徴収といいます。現在はコンビ二などで納めることができるようになり、便利になりました。

しかし現在は、地方税法により給与所得者については特別徴収が原則となっています。多くの市区町村で特別徴収を行うよう呼びかけており、会社宛に特別徴収で住民税を納めるよう手紙を送っている市区町村もあります。

どのような場合でも共通のポイント

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 給与所得者異動届出書は、住民税額が0(ゼロ)とされた場合や今後の納税額が0の場合でも作成する必要があります。

 住所は、その年の1月1日現在の住所地を記入してください。引越しなどで変更があった場合には、旧住所には1月1日の住所を記入し、現住所には新しい住所を記入します。

 特別徴収義務者指定番号とは、特別徴収税額通知書に記載されている指定番号です。

 また新しい様式には、マイナンバー(個人番号・法人番号)の欄も新たにもうけられました。平成29年1月1日以後に給与の支払い(転職する場合には、転職前の会社での給与の支払い)を受けない方についての給与所得者異動届出書を作成する際にはマイナンバーを記載しなければなりません。これまで以上に、取り扱いに気をつけなければなりませんね。

 

特別徴収をしていた労働者が退職する場合

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 退職などにより特別徴収を中止する場合があります。その際は、給与所得者異動届出書によって、普通徴収への切り替えや一括徴収、退職者の転職先が決まっている場合にはその新しいお勤め先で特別徴収を続けることができるよう給与所得者異動届出書を作成します。

 この書類には、1月1日以降退職時までの給与支払額という項目があります。ここに記入する額は、その年の1月1日以降毎月支払ってきた給与と賞与の額です。退職金については、別途記載する項目が設けてありますので、そちらに記入してください。

 特別徴収税額(年税額)という項目には、各市区町村から送付されてきた税額通知書に記載されている額を記入してください。税額が決定されていない場合は記入は不要です。

 徴収済月は、その退職者の特別徴収した期間を記入します。住民税は6月から翌年5月までを1年としていますので、徴収済月に記入する期間は「6月分から退職月分*1」となることが多いです。しかしその年の6月以降に入社し翌年5月までに退職する場合については、「入社後、特別徴収を開始した月から退職月*1」を記入することになります。

 徴収済額は、上記徴収済月として記入した期間分の住民税額の合計額を記入します。

 書類の提出についてですが、作成する必要が生じた月の翌月10日までに各市区町村に提出する必要があります。この提出が遅れると、市区町村側から「会社が納税を滞納した」と判断されることにつながってしまいます。特別徴収をおこなっている間、会社は「特別徴収義務者」であり、文字通り労働者にかわって住民税を納める義務がありますので、個人の住民税であっても納税が遅れると「会社が滞納した」ということになってします。

 なお、1月1日から4月30日までに退職する場合は、一括徴収することが原則として会社に義務づけられています。何らかの事情で一括徴収ができない場合には、一括徴収をしない理由に記入してください。

 

*1数字で記入をします。

 

転職してきた労働者の特別徴収を行う場合

 転職してきた労働者の前職の会社から転職後の会社に給与所得者異動届出書が送られてくることがあります。それは、転職してきた労働者が前職で一括徴収を希望せず、転職先での特別徴収の継続を希望した場合です。そのような場合、途中まで記入がされている状態だと思います。こちら側(転職先)で残りの部分を記入し、市区町村へ提出しましょう。

まとめ

 給与所得者異動届出書は雇用している労働者がいる多くの会社さんで作成することとなる書類です。多くのケースは、住民税を特別徴収していた労働者が退職する際、会社側が特別徴収を中止するために作成します。

 詳細な数字などは、各市区町村から送付される書類に記載されているものやこれまでのその労働者の給与から控除した住民税額などであり、労働者1人1人で異なるものですので、細心の注意を払い記載していくようにしましょう。平成29年1月1日以降にはマイナンバーを記入が始まります。書類の取り扱いにこれまで以上に注意していきましょう。

 また、毎月の提出期限(翌月10日)がありますので、遅れないように注意してください。