健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届の書き方と、提出後の訂正方法

執筆: 大橋 智子

新しい従業員が入社した際に作成が必要になる「健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届

4月の一括採用の時期には特に件数が多いので大変ですよね。

といっても、最近では季節を問わず中途採用も増えていますから、1年中いつでも作成する可能性のある書類です。ここでは被保険者資格取得届書き方について解説していきます。

被保険者資格取得届とは

健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届とは、健康保険・厚生年金保険の適用事業所で新たに従業員を雇い入れた場合には必ず提出が必要となる書類です。

(ただし、一部の短期雇用労働者などでは不要の場合があります。)

厚生年金保険・健康保険は法律で定められた条件を満たしていれば国籍・性別・人種などに関わらず強制適用です。つまり、厚生年金保険・健康保険に入るか入らないかを選ぶことはできないということなのです。

この被保険者資格取得届は新たに従業員を雇入れた日(正確には「資格を取得した日」といいます)の翌日から5日以内に、管轄の年金事務所または健康保険組合に提出します。

5日以内」のカウントのしかたは以下のようになります。

雇入れた日  41

提出期限   46日(42日から数えて5日目)

被保険者資格取得届を記入するときは、正確に、きれいな字で書くように気をつけてくださいね。特に氏名の漢字には注意が必要です。旧字体の場合や、「高」と「髙」(はしごだか)の違いなどは間違いやすいところです。年金手帳の記載を確認して正しく書きましょう。

被保険者資格取得届に記入する報酬月額って何?

被保険者資格取得届には「報酬月額」という欄がありますが、ここには何を記入すればよいのでしょうか?

報酬月額」とは、簡単にいうと「その従業員に対して通常毎月支給するお給料の額」のことです。便宜的に従業員の給与額を等級に区分する「標準報酬月額」とは別のものですから気をつけましょう。

給与体系は会社によって異なりますが、よくあるのは以下のようなパターンです。

  • 基本給
  • 資格手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 通勤手当

ここで問題になるのは、上記のうち、被保険者資格取得届の報酬月額に含めるのはどれなのか?ということです。

これについては「労働者が労働の対償として受けるすべてのもの」を被保険者資格取得届の報酬月額に含めます。家族手当や住宅手当も「労働の対償」です。

そもそも会社に雇われて、そこで働くという前提で支給されているからです。

金銭で支給されるもの

基本給(月額、日給など)
家族手当
住宅手当
通勤手当
食事手当
役付手当
残業手当
休業手当
育児休業手当など
年4回以上支給の賞与など

 

現物で支給されるもの

食事、食券など
社宅
通勤定期券、回数券
給与としての自社製品など

 

報酬月額に含めないものとしては、「任意的なもの・恩恵的なもの」「実費弁償的なもの」などがあります。これには、たとえば就業規則や雇用契約書などに明記されていないが、会社から臨時的に金銭を給付する場合などがあります。また、「実費弁償的なもの」というのは、たとえば出張のために従業員が立て替えた交通費の実費相当を、会社が従業員に支払う場合です。

金銭で支給されるもの

退職手当
結婚祝い、見舞金など
年金、傷病手当金など
家賃、株主分配金など
大入袋など
出張費など
年3回まで支給の賞与など

現物で支給されるもの

食事※1
住宅※2
事務服、作業着等

※1 本人からの徴収金額が、標準価額により算定した額の2/3以上の場合

※2 本人からの徴収金額が、標準価額により算定した額以上の場合

 

いまここでは、新たに従業員を雇入れたときに提出する被保険者資格取得届について考えているわけですから、当然ながらまだ給与の支払い実績がありません。ですから、基本的な考え方としては、雇用契約書に記載された給与の額を記入すると考えればよいでしょう。

月給制であれば月給を記入します。もし一定の期間に対して一定の給与額が定められているのであれば、日割り×30日分を「報酬月額」として被保険者資格取得届に記入します。

具体的な例を見ながら確認していきましょう。

 雇用契約の期間:41日から420日まで、20日間の有期雇用契約。

 給与:20万円

この場合、報酬月額は次のように計算します。

 報酬月額=20万円÷20×30日=30万円

「通貨によるもの」と「現物によるもの」って?

被保険者資格取得届の報酬月額欄には「通貨によるもの」と「現物によるもの」という二つの欄があります。「通貨」とは、つまりお金のことですね。これには、現金手渡しだけではなく銀行振込も含みます。

「現物によるもの」とは、通勤交通費として会社が定期券を購入し、その定期券を従業員に渡す場合などのことです。定期券の購入にあたり会社が支払った費用も「給与」の一部と考えるのですね。

被保険者資格取得届提出後訂正する場合の書き方

たとえば、被保険者資格取得届を提出したあと、手元に届いた健康保険証を確認してみたら氏名の文字が間違っている!被保険者資格取得届への記入を間違ってしまった!

こんなときはどうしたらいいのでしょう?

ここでは被保険者資格取得届を提出したあとに誤りに気づき、届出の内容を訂正する場合の書き方を解説します。

(ちなみに、この「訂正」とは、資格取得日までさかのぼって届出の内容を訂正するという意味です。)

そんなときは、まず白紙の被保険者資格取得届と赤のボールペンを用意してください。

そして、上部の余白に赤ボールペンで大きく「取得時訂正」と書きます。

次に、黒ボールペンで、当初間違って提出してしまったときと同じように、間違った状態の被保険者資格取得届を記入します。

最後に、赤ペンで訂正したい箇所を二重線で消し、その横か上の余白に赤ペンで訂正後の内容を記入します。

これを年金事務所または健康保険組合に提出しましょう。

まとめ

被保険者資格取得届はシンプルな書類です。被保険者資格取得届を記入するときには以下の主なポイントを押さえておきましょう。

被保険者資格取得届の提出期日は、あらたに従業員を雇入れた日の翌日から5日以内です。

・報酬月額は、労働の対償として今後支払われる給与を記入しましょう。月給の場合は月給を、その他の給与体系の場合には30日分に換算した額を記入します。また現物支給の定期代などは「現物によるもの」の欄に記入します。

・文字は丁寧に、正確に書きましょう。特に氏名の漢字には要注意。

・もし被保険者資格取得届提出後訂正する場合には、被保険者資格取得届の用紙を利用します。「取得時訂正」と赤で大きく書き、修正箇所も赤字で加筆して提出しましょう。