採用することを決めた後の内定の出し方

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

人材を採用する場合に最も注意をして頂きたい段階が内定出しのタイミングです。

内定を出すと簡単には撤回できませんので注意深く行うようにしましょう。ここでは採用をする際の内定出しの注意点についてご説明していきます。内定に関する基礎知識に詳しくなって、健全な人材の採用に繋げていきましょう。

内定の出し方

内定の出し方は間違いがないように書面で行うのが確実です。応募者も入社が決まれば今の会社に退職を告げなければなりません。そのためにも書面で内定の通知があった方が双方に安心するでしょう。内定を出す際の手順は大まかに言うと以下の通りです。

  1. 最終面接で役員の人事決定権を持つ役職者に内定を出す旨の了解を得る
  2. 応募者に内定の旨を電話やメールでまずは連絡する
  3. 後日採用(内定)通知書を郵送する
  4. 採用(内定)通知書と一緒に入社承諾書を送る
  5. 採用(内定)通知書と入社承諾書に署名捺印の上、返送してもらう

内定を告げてから、内定通知書を送るまでは1週間以内がベストでしょう。それ以上の期間がかかると応募者も不安になりますし、今の会社への退職の申し出が滞ってしまい、それだけ入社日が遅くなってしまうかもしれません。また、ここで大切なのは「入社承諾書」を送り、できるだけ早めに返送してもらうことです。入社承諾書が到着すれば、こちらも安心して入社準備に取り掛かれますね。

この内定通知書は採用通知書でもありますので、以下のような内容を含んで作成するのが一般的です。入社してから雇用条件のことでもめないように2通送付して1通は署名捺印して入社承諾書と一緒に送付してもらうと確実でしょう。

<採用通知書に必要な事項>

  • 採用する旨の通知
  • 期間の定めの有無
  • 雇用形態
  • 入社日
  • 勤務地や配属先
  • 具体的な雇用条件
    (勤務場所、仕事内容、勤務時間、休日休暇、給与や賞与、給与の締め支払い日のことなど)
  • 提出期限

新卒採用の場合は内定を出してから入社するまで半年ほどの期間がありますが、中途採用の場合は1~2カ月以内には入社してもらうことがほとんどなので、内定を出す段階でここまで話を進める必要があるということなのですね。

また、試用期間を設けている場合であっても試用期間終了後にすぐに解雇できるわけではないことを知っておきましょう。試用期間終了後に解雇する場合でも「30日分の解雇予告手当を払う」などの解雇の手続きが必要になってきます。更に、解雇するには社会通念上、客観的かつ合理的な理由が必要になってきます。試用期間やそれを終えた場合であっても簡単には解雇できないことを知った上で、内定を通知するようしましょう。

※試用期間については関連記事がありますので、そちらも参考にしてください。

入社までのフォローと辞退者への対応

さて、中途採用者に入社承諾書を提出してもらい、後は入社日を待つだけだと一安心していませんか?中途採用であっても辞退をされるケースもありますし、内定後のフォローはしっかりと行った方が良いでしょう。特になかなか入社承諾書が返送されていない場合には以下のケースが考えられます。これは特別なフォローが必要になってくる場面ではないでしょうか。

  • まだ他の会社を受験しており結果を待っている
  • 本当に転職をすべきかを迷っている
  • 今の会社に引き留められて退職時期を悩んでいる
  • 転職先がこの内定先企業で良いのか不安になってきた

相手が学生ではなく、中途採用の社会人であっても本当に退職すべきなのか、転職先の会社をもう決めてしまってよいのか、悩んでしまうものではないでしょうか。その場合に内定者が相談しやすいように環境を整えてあげましょう。以下の方法を参考にしてください。

  • 気になることは何でも質問して下さいと伝えておく
  • 内定後に一度会社に呼んで社内を案内したり、不安を解消する機会を作ったりする
  • 一度実際の配属現場に紹介しておく

必ずここまでしなければならないというわけではありませんが、内定を伝えたときに不安そうにしていたり、他の会社に行ってほしくない優秀な人材であったりする場合などは万全の体制でフォローを行いましょう。中途採用の場合は入社タイミングや配属先の事情も個々によって異なるのでその時の状況に合わせて適切なフォローができるようにしておくと良いですね。

入社承諾書には法的拘束力はないことを知っておこう

これは採用担当者ならば知っておいてほしいことなのですが、実は内定者に返送してもらう「入社承諾書」や「誓約書」の類には法的拘束力はありません。内定者が入社承諾書を提出したあとになって入社を辞退したとしても訴えることはできません。実際に内定者が入社にする前に会社がパソコンや制服を購入したなどの実際の損害があれば損害賠償が請求できる場合もありますが、企業イメージも悪くなりますし、実際に訴訟をしても良いことがありません。

もし辞退をされてれも、もうその意思が固いようであれば淡々と受け入れるのがビジネスの場では適切な対応です。しかし、本人に迷いがあって入社が決められないだけの場合もあります。大切なのは辞退の連絡があった時にきちんとその理由を聞いてそれに応じた対処を行うことです。以下の例を参考にしてみて下さい。

◯他社の内定が出たので辞退
 →本人の意志が固いようであれば受諾

◯入社に当たって不安があり意思決定できない
 →不安事項を解消できるか相談に乗る

◯今の会社に引き留められて退職できない
 →入社時期をずらすことで対応できないか相談

◯やりたい仕事なのかわからず転職の決意ができない
 →配属先の仕事内容を詳しく伝える機会を設ける

会社や本人、どれくらい引き留めたい人物なのか、個々の状況に応じて適切な対処を行いましょう。内定者の数だけフォローの形があると思った方がよいかもしれませんね。

不採用への対応

不採用の場合はできるだけ早めに応募者に連絡をするのが親切ではないでしょうか。その場合は以下の点に注意してください。

  • メールや書面などで不採用の旨を連絡する
  • 履歴書・職務経歴書などの応募書類を返却する
  • 個別に不採用理由の問い合わせがあっても具体的な回答は避ける

不採用の場合は記録に残るように、できるだけ文章の残る形で不採用の旨を告げましょう。電話での方法もありますが、内容を聞かれたりしてトラブルに発展する場合もありますので、メールや書面の方が確実です。また、応募の際に履歴書などの個人情報が掲載された書面を預かっているのでこれは必ず返却しましょう。

中には不採用の理由を問い合わせてくる人もいるかもしれませんね。しかし、これも具体的な内容を告げても本人が納得しない場合もあります。「多数の方に応募頂いた結果、相対的な評価で採用に至りませんでした」など具体的な回答は避けた方が賢明です。それでもせっかく応募してくれた応募者の方ですし、今後どこでお付き合いが出てくるかもわかりませんので丁寧な対応は徹底して行うようにしましょう。

まとめ

内定を出す際には以下の流れを参考にしてください。

  • 内定が決まったらできるだけ早く電話やメールで知らせる
  • 1週間以内に採用(内定)通知を送る
  • 期限内に採用通知と入社承諾書に署名捺印して返送してもらう

内定を出すには以下の点に気を付けましょう

  • 本人に不安なところがあれば相談できる環境を作っておく
  • 個々の状況に応じたフォローを行う

不採用の場合にはメールや書面で確実に通知し、応募書類は必ず返却するようにしましょう。
内定は採用の最終段階ですが、これまでの苦労が実るかどうかの大切な段階です。気を抜かないように最善を尽くしましょう。また、中途採用の場合には個々の状況応じたフォローが必要になってくることを覚えておくと良いですね。

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『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。