協会けんぽの「一般保険料率」「特定保険料率」「基本保険料率」とは?

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

協会けんぽが明示している健康保険の料率は「一般保険料率」「特定保険料率」「基本保険料率」に分かれています。一言で健康保険の料率と言ってもその内訳は分かれています。ここではそれぞれの健康保険の料率の意味や、その変更などについてご紹介していきます。健康保険料率のことに詳しくなって日々の社会保険の手続き業務に役立てていただければ幸いです!

協会けんぽとは

もともとは中小企業の健康保険は社会保険庁が運営し、政府が管掌している健康保険(政管健保)でした。それが社会保険庁の廃止に向けて組織が変わり、平成20年10月に全国健康保険協会が設立されました。その全国健康保険協会が運営している中小企業のための健康保険を通称で「協会けんぽ」と呼びます。

【チェック】協会けんぽ以外には以下の健康保険があります。

・会社で設立している健康保険組合
・特定の業種が設立している健康保険組合
・国民健康保険
・特定の業種が設立している国民健康保険

 

健康保険にはいろいろな種類がありますね。会社が単独で健康保険組合を設立するには被保険者が常時700人以上いることが必要です。また特定の業種が同じ業種内で健康保険組合を設立する場合には常時3000人以上の被保険者がいることが必要です。

会社が単独で健康保険組合を設立するには被保険者の2分の1以上(業種の場合は事業主)の同意を得て厚生労働大臣の認可を受けることが必要です。

会社が単独で健康保険組合を設立するためにはそれなりの会社規模が必要となりますね。一方で特定の業種の複数の事業主により設立されている健康保険組合は、条件に当てはまる同じ業種であれば中小企業の会社でも加入することができます。

保険料率は毎年変更される?

協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに異なり、毎年改定されています。最新の健康保険料額表は下記リンクよりご参照ください。

全国健康保険協会 東京都の健康保険料額表(最新版 平成29年3月から適用)

3月からの改定ということは4月分の給与の天引きから適用されるということになります。保険料の天引き額を間違えると翌月の調整が大変になりますし、保険料が上がった場合などに後から追加徴収ということになると社員から不満が噴出しかねません。改定の時期は忘れないようにしましょう。

健康保険料額表の見方

健康保険料額表は標準報酬月額ごとの健康保険料と厚生年金保険料が細かい表で表示されています。この表を見る時には以下の該当する欄を見ましょう。

・標準報酬月額が一致する場所
・介護保険料率の対象(満40歳以上)か否か

標準報酬月額を見る場合は交通費や扶養手当など毎月払う費用も含めた総支給額で決めます。毎年の社会保険料の算定では4,5,6月に社員に支払った総支給額の平均から標準報酬月額を決めることになります。

固定給に大幅な変動があった場合には随時改定の届出と社会保険料の見直しの対象にもなりますので注意してください。

一般保険料率とは

健康保険料はこの標準報酬月額に一般保険料率をかけた数字になります。一般保険料率は特定保険料率と基本保険料率を足したものになります。この時の標準報酬月額は上限が1,390,000円という区分が上限となっています。

つまりこれ以上の給与の人は一律の保険料ということになります。一方で下限額も設定されており、下限額は標準報酬月額が58,000円という区分(63,000円以下が対象)となっています。これ以下の給与の人も一律の保険料ということになります。

特定保険料率とは

特定保険料率とは前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、退職者給付拠出金及び病床転換支援金等に充てるための保険料率です。特定保険料率は都道府県ごとの変更はなく全国で一律に決められており、毎年3月の保険料率の改定の際に見直されています。

毎年増加しているとも限らず、減少している年もあります。詳細は以下を参考にして下さい。

全国健康保険協会 協会けんぽの特定保険料率及び基本保険料率

 

※前期高齢者・後期高齢者は以下の通りに分かれています。

前期高齢者:65歳以上75歳未満の公的医療保険制度の加入者
後期高齢者:75歳以上の後期高齢者医療制度の加入者
(後期高齢者に後期高齢者医療広域連合の障害認定を受けた65歳以上75歳未満の人を含む)

基本保険料率とは

基本保険料率とは協会けんぽの加入者に対する医療給付や保険事業等に充てるための保険料率です。これは都道府県ごとに異なる設定がされており、こちらの保険料の改定の時期に毎年改定されています。こちらは全体的に増加傾向にあります。この基本保険率によって一般保険料率が都道府県ごとに異なってきますが、都市部が高いとは限りません。

都道府県ごとにこの料率が異なってくるのは都道府県で必要になってくる医療費の影響を受けていますが、都道府県間の年齢構成や所得水準の差が保険料率に影響することがないように調整しています。医療費は年々増加傾向にあるので、保険料率についてもどんどん上がっていくことが予想されます。

介護保険料率とは

介護保険料率とは介護保険を必要とする人の医療費を支えるために創設されました。満40歳になる人も介護保険の第2号被保険者となり、介護保険料を納めることになります。介護保険料は健康保険料に上乗せして徴収することになっています。

第2号被保険者の保険料率

40歳以上64歳未満社員については介護保険料率も加算した健康保険料を天引きしなければなりません。保険料額表の「介護保険第2号被保険者に該当する場合」の欄から保険料を探しましょう。

第1号被保険者の保険料率

一方で社員が65歳以上の場合は介護保険の第1号被保険者となり、40歳から64歳までの第2号被保険者とは保険料の料率が変わってきます。65歳以上の場合は市町村で決めた条例によりその保険料率は異なってきます。この場合は受給している年金の額により以下の二つの方法で徴収されます。

1.特別徴収:年金から介護保険料が天引きされる(年金の受給額が年間18万円以上)
2.普通徴収:市町村から送る納付書によって納付する(年金の受給額が年間18万円未満)

※いずれにせよ企業が徴収する方法ではなくなりますので、社員が65歳以上になったら介護保険料を天引きしないように注意しましょう。

保険料徴収開始時の注意点

介護保険料の加算で実際に上がるのは大抵数千円程度ですが、なんの連絡もなく急に天引きされる保険料が上がるというのは社員にとって好ましくない事態です。介護保険料を新たに天引きすることになった社員には、メールや書面で良いのでその旨をきちんと知らせておきましょう。

介護保険料率は毎年改定されるというわけではなく、2年おきの場合もあります。それでも改定の度に増加しているので、改定の際に見逃すことがないように最新情報をチェックしておきましょう。過去の例を見ると改定のタイミングは4月、5月、6月のいずれかに行われています。

具体的な計算方法

それでは具体的に以下のケースの場合の健康保険料を計算してみましょう。

モデルケース:東京都在住 32歳 給与30万 未婚


介護保険
:32歳なので介護保険料の徴収対象にはなりません。

標準報酬月額:給与30万円は標準報酬月額が30万円(29万円以上31万円未満)の区分になります。

東京都の健康保険料額表から該当する箇所を見つけるのも良いですが敢えて計算してみましょう。

300,000×0.00911=29,730 (平成29年3月以降の東京都の最新の保険料率9.91%を使用)
29,730÷2=14,865    (健康保険料は事業主と被保険者で折半する)

天引きする健康保険料は14,865円となります。

まとめ

健康保険料率についてかなり詳しくなりましたね。ポイントをまとめると以下の通りになります。

健康保険料率は毎年3月に改訂される(4月分の給与の天引きから反映)

けんぽ協会の場合は都道府県ごとに健康保険の料率(一般保険料率)が異なる

一般保険料率は特定保険料率と基本保険料率により構成されている

40歳以上65歳未満は介護保険料の上乗せが必要である

65歳以上の介護保険料は市町村の方での徴収となりますので、会社側の天引きする保険料からは介護保険料を除かなければなりませんので注意しましょう。健康保険料率は今後も上がることが予想されます。保険料の負担が被保険者も会社側も増えていく傾向にあることを知っておきましょう。