[介護保険] 保険適用でユニットバスに住宅改修する方法

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

介護の必要性で住宅を改修した場合、介護保険による費用の補助が受けられる場合があります。この費用補助を受けるためには、介護対象となる人が、要支援認定、もしくは要介護認定を受ける必要があります。

認定の申請をする場合、市町村(東京23区の場合は、区)へ申請書を提出します。今回は、住宅改修での介護保険適用の条件と住宅改修工事の手続きと流れについて、確認してみましょう。

住宅改修で介護保険が適用されるための条件

住宅を改修する際に、介護保険が適用される条件は、介護対象者が要支援ないし要介護の認定を受けていることです。認定申請中に住宅改修を行うことができますが、その場合、住宅改修費は認定結果が出た後に支給されます。また、病院や施設からの退院(退所)が決まっていれば、入院(入所)中に、事前申請し、住宅改修を行うことはできますが、住宅改修費は、退院(退所)後の支給となります。当然のことですが、もし退院(退所)されないことになった場合は、住宅改修費は支給されません。

なお、一時的に身を寄せているような住居は、補助の対象外となります。つねに住んでいて、その住所が被保険者証に記載されている必要があります。

また、住宅改修工事は介護を目的としたものである必要があります。介護保険適用となるには、下記の通りの工事項目に該当する必要があります。

 

介護保険適用となる工事項目

  • 手すりの取付け: 廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路等への手すりの取付け。 対象外となるのは、固定されていない家具への手すりの取付けなどです。
  • 差の解消: スロープを設置する工事、敷居の撤去、浴室の床のかさ上げなど。 対象外となるのは、昇降機、リフト、段差解消機を設置する工事などです。
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更: 居室における畳から板製床材等への変更。浴室やトイレにおける滑りにくい床材への変更 など
  • 引き戸等への扉の取替え: 開き戸を引き戸、折戸、アコーディオンカーテン等に取替え。扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置 など
  • 洋式便器等への便器の取替え: 和式便器を洋式便器に取替え(洗浄機能、暖房機能等の付いた洋式便器も可)。対象外となるのは、洋式便器から洗浄機能付洋式便器への変更などです。
  • その他の工事に付帯して必要となる工事: 手すりの取付けのための壁の下地補強。浴室の床の段差解消に伴う給排水設備工事 など

 

住宅改修を行うことにより、事故が予防され、介護者の自立にもつながります。また、介護する側の負担軽減にもなります。積極的に制度を利用しましょう。

参考:[PDF] 介護保険における住宅改修

住宅改修工事費の利用限度額と支払方法

介護保険が適用される住宅改修工事費は20万円までとなります。(20万円を数回に分けて利用することも可能です。)ただし、1割は自己負担のため、住宅改修費の支給は18万円が上限となります。

具体的な支給例

  • 対象工事費が25万円の場合: 住宅改修費支給額 18万円(20万円の9割)。自己負担額 7万円(20万円の1割+20万円を超えた額)
  • 対象工事費が10万円の場合(残り10万円は次回利用可能): 住宅改修費支給額 9万円(10万円の9割)。自己負担額 1万円(10万円の1割)

住宅改修工事費用の支払方法は償還払いの形が多いです。「償還払い」とは、利用者が住宅改修にかかった費用の全額を事業者に支払い、後にかかった費用の9割分を払い戻してもらう方法です。

一方、「受領委任払い」とは始めからかかった費用の1割を支払うだけの方法をいいます。

最終的にかかる負担額はどちらも同じですが、「受領委任払い」を希望する場合は「受領委任払い取り扱い事業者」の登録を受けている事業者に工事を依頼する必要があります。「受領委任払い」を受けたい場合は、あらかじめケアマネジャーに相談する事をおすすめします。(※ケアマネージャーがいない場合は、市区町村の職員に事前に相談して下さい。)

住宅改修工事の手続きと流れ

住宅改修工事の手続きと流れについては、以下のようになります。

  1. 住宅改修についてケアマネジャー等に相談: 住宅改修についてケアマネジャー等に相談します。
  2. 事業者の下見と住宅改修プランの作成: 事業者が決まったら、家の下見の日時を決めます。 事業者は家の構造や寸法確認で下見に来ます。この下見に立ち会い、介護者の生活の状況と住宅改修の希望を伝えます。そして、事業者が住宅改修プランを作成します。
  3. 申請書類又は書類の一部提出・確認: 事業者が住宅改修プランを作成した後、利用者は住宅改修の支給申請書類の一部を保険者へ提出し、保険者(市町村|東京23区の場合は、区)が提出された書類等により、保険給付として適当な改修かどうか確認します。利用者が提出する書類は「支給申請書」「住宅改修が必要な理由書」「工事費見積もり書」「住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの(写真又は簡単な図を用いたもの)」の4点です。
  4. 施工 → 完成: 住宅改修工事の事業者が施工に入り、工事が完成します。
  5. 住宅改修費の支給申請・決定: 利用者は、住宅改修工事が完成したら、工事終了後領収書等の費用発生の事実がわかる書類等を保険者へ提出し、「正式な支給申請」を行います。保険者(市町村|東京23区の場合は、区)は、事前に提出された書類との確認、工事が行われたかどうかの確認を行い、当該住宅改修費の支給を必要と認めた場合、住宅改修費を支給します。利用者が提出する書類は「住宅改修に要した費用に係る領収書」「工事費内訳書」「住宅改修が完成したことを確認できる書類(便所、浴室、廊下等の箇所ごとの改修前及び改修後それぞれの写真とし、原則として撮影日がわかるもの)」「住宅の所有者の承諾書(住宅改修を行った住宅の所有者が当該利用者でない場合)」の4点です。

 

まとめ

住宅改修工事の契約を行う際は、トラブルを防ぐために、口約束ではなく、見積書などの書面でやりとりを行うようにしましょう。また、介護者が生活しやすい状況は理想ですが、介護する側にとってもメリットがあるような形がベストです。そのためには、不安な点は全てケアマネージャーに相談しましょう。

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