【平成29年度(2017年度)対応】労働保険(労災保険・雇用保険)加入手続き

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

従業員を雇う際は、募集や面接だけでもかなりの労力を使いますね。

ようやく採用が決まり、ほっとしてしまう前に行わなければならない手続きがあります。従業員を雇うことが決まった時にはどのような手続きが必要になってくるのでしょうか。今回は労働保険の手続きについてご説明いたします。

労働保険とは

労働保険とは労災保険と雇用保険を総称した呼び名です。
常用労働者、パートタイマー、アルバイト、日雇い労働者などの雇用形態にかかわらず、また法人か個人事業主かといった事業所の形態にもかかわらず従業員を一人でも雇用した場合は労働保険に加入する義務があり、労働保険料を納めなければなりません

労災保険とは

労災保険は従業員が仕事中や通勤途中に負傷したり、病気にかかったり、あるいは不幸にも死亡してしまったという災害に見舞われた場合に被災労働者や遺族を保護するため必要な保険給付を行うものです。

万が一の場合に備えて、従業員を雇った場合は速やかに労働保険に加入しましょう。
労災保険は労働者である従業員について加入するものですので、事業主は加入できません

しかし、事業主も従業員と同様、災害に見舞われることは考えられますね。そのため、条件によっては任意加入できる制度もあります。

【条件によっては労災保険に加入できる者】

  • 一人親方等:労働者を使用しないで事業を行っている、いわゆる一人親方その他の自営業者
  • 法人の役員:服務態様、賃金、報酬等からみて、労働者的性格の強いものであって、雇用関係があると認められる者
  • 事業主と同居している親族:常時同居の親族以外の労働者を使用する事業において一般の労働者と同じ作業に従事し取締役等でない、事業主の指揮命令に従っている者

 

雇用保険とは

労働者が失業した場合や労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合等に、労働者に必要な給付を行うものです。そのため、法人の役員や個人事業主、一人親方は雇用保険の対象となりません。

 

【雇用保険の対象者】
雇用形態にかかわらず、次の①②の要件を共に満たす場合は雇用保険の対象となります。

 ①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
 ②31日以上の雇用見込みがあること

※②の雇用見込期間は平成22年4月1日以降、6か月→31日以上に変更されました。

参考:厚生労働省-雇用保険の適用範囲が拡大されました!

 

【雇用保険の対象から除かれる者】

  • 4か月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される場合
  • 昼間学生である場合
  • 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者で離職した場合に支給を受ける諸給与の内容が失業給付を超える者

65歳以上の従業員を雇用する事業主は要注意!

今まで64歳までだった雇用保険の適用対象が、平成29年1月1日以降65歳以上の従業員も対象となりました。条件は以下の通りです。

  1. 平成29年1⽉1⽇以降に新たに65歳以上の従業員を雇用した場合
  2. 雇用開始時に65歳を超えており、平成29年1⽉1⽇以降も継続して雇⽤している場合
  3. 雇用開始時に65歳未満で、すでに65歳を超えている労働者を平成29年1⽉1⽇以降も継続して雇用している場合

なお、1、2の従業員に関しては「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出して手続きする必要があります。

参考:厚生労働省-雇用保険の適用拡大等について

労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続き

労働保険の適用事業所となった場合は、「保険関係成立届」という申告書を所轄の労働基準監督署に提出します。

建築等の事業で労災保険と雇用保険を別々に扱う事業所の場合は労災保険については労働基準監督署、雇用保険についてはハローワークに提出します。
保険料は労働者に支払われる賃金総額に事業によって定められた保険料率をかけて毎年、4月から翌年3月までの1年間を単位として算定されます。
初年度は成立時からその年度末までに従業員に支払う賃金総額の見込額に保険料率を掛けた額を概算保険料として申告・納付することとなります。事前に労働者の人数や賃金総額等を確認し手続きを行うとスムーズです。

詳しい手続き方法はこちらから

労働保険の成立手続き

申告書の書き方パンフレット|厚生労働省

【2年目以降の労働保険の納付方法】
労働保険(労災保険と雇用保険)の保険料は、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度の申告の際に確定申告の上、精算します。したがって前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付することとなります。

 

【雇用保険料の徴収】
雇用保険料は、厚生年金保険料とは異なり、毎月の給与を支払うたび、賃金総額に保険料率を乗じて計算し、給与から天引きで預かり、労災保険と合わせて原則として年1回納付します。

(保険料を期限を過ぎても納付しない場合は延滞金がかかりますので注意してください。)

 

【労災保険の保険料】

労災保険の保険料は全て会社が負担します。従業員の負担はありません。

保険料率は、事業の種類によって別れています。下記リンク先にある2図を元に、保険料率を調べることが可能です。

  1. 事業の種類を判別するための一覧表
  2. 事業の種類別の保険料率一覧

 

【雇用保険の保険料】
雇用保険の保険料は、会社と従業員の折半部分(失業等給付の保険料)と会社の全負担部分(雇用保険二事業)の2つに分かれています。

平成29年度(2017年4月1日から2018年3月31日まで)の雇用保険料率

事業の種類/負担者 ①労働者負担 (失業等給付の保険料率のみ) ②事業主負担 ①+② 雇用保険料率
失業等給付の保険料率 雇用保険二事業の保険料率
一般の事業 3/1,000 3/1,000 3/1,000 9/1,000
農林水産・清酒製造の事業 4/1,000 4/1,000 3/1,000 11/1,000
建設の事業 4/1,000 4/1,000 4/1,000 12/1,000

事業の種類は3つに区分されており、それぞれ一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業となります。

参考:厚生労働省-雇用保険料率

まとめ

労働保険は従業員を一人でも雇うと必ず加入しなければいけない制度です。

従業員に万が一の災害があった場合に、補償する制度ですので、事業主の保険のためにも速やかに加入手続きを行いましょう。雇用保険については加入の対象となる基準があります。退職した際に失業給付を貰いたいと考えている従業員もいますので、雇い入れ時には契約期間や1週の労働時間等を十分話し合い、トラブルを未然に防止しましょう。

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『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。