その冗談がセクハラになる可能性がある?経営者なら知っておきたい事例一覧

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

 現代社会では様々なハラスメントあり大きな社会問題になっています。中でもセクハラは会社で知らない間に起こっている可能性があります。

 セクハラとはセクシュアルハラスメントの略で、厚生労働省の定義によると、

「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」又は「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」

引用元:厚生労働省

となっています。

またセクハラは大きく分けて2つの種類に分類されます。

 1つ目は環境型セクハラで、性的な発言により就業環境を著しく不快なものとし、個人の職業能力の発揮に深刻な影響を及ぼすことです。

 2つ目は対価型セクハラで、権限をもつ上司が性的な要求(軽度のものを含む)をし、それを拒否すると解雇や昇進差別等の職業上の不利益が生じることです。

今回はその2種類のセクハラについて詳しい事例を挙げて解説していきます。

環境型セクハラになりうる事例

まず、環境型セクハラの例を挙げます。

女性職員が抗議しているにもかかわらず、パソコンのスクリーンセーバーにヌード画像を使用している。

会社内で顔を合わせると必ず性的な冗談を言ったり、容姿、身体に関することについて聞いたりする男性労働者がいる。

PTA会長がPTA役員の一人に「胸大きいねー」などと冗談を言った。抗議すると、冷たくされた。

以上のように環境型セクハラは、性的な発言や行動がきっかけで、働きづらくなってしまうような事例です。もうその相手と顔を合わせたくないと思ってしまうような、そんなストレスを生むきっかけになっています。

対価型セクハラになりうる事例

次は対価型セクハラの例です。

銀行の支店長が、女性行員に対し、会員制ホテルに誘い、無理矢理女性の体を触るなどした。その後も、社内メールや内縁電話を使って週に2回、女性を食事に誘うなどした。
介護施設の理事長が、入社させた母子家庭の母に対し、「一緒にラーメンを食べよう」「お子さんと一緒に旅行へ行こう」「あなたは、かわいいね」「ラブホテル、はいったことあるでしょ?」と発言をし、また自分の下着を女性に洗濯させるなどした。女性は職場で他の従業員から、指摘され、からかわれた為に、立場が悪くなることを恐れ、明確に拒否をしたところ、パワハラをされるようになった。「母子家庭だから雇ってやった。」「人様の税金で暮らしている」などと発言された。女性は業務を外される等され、うつに罹患。
事務所内において事業主が女性労働者に対して性交渉を要求したが、拒否されたため、その女性労働者を解雇した
出張中の車中において上司が女性労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、その女性労働者について不利益な配置転換をした

以上のように対価型セクハラは、職場における上司の立場を悪用して性的な関係を迫り、相手が拒否したら仕事の面で不利益を与えるというものです。これらは、明らかにセクハラになります。

受け取る相手の感じ方によってセクハラになりうる事例

しかし最近では、ここまであからさまではないものの、受け取る相手の感じ方によってセクハラとされる言動があります。以下は、そのような微妙なケースです。

恋人いないのか、結婚しないのか、子ども作らないのか」などプライベートに踏み込んだ質問。これは個人的なことですし、結婚や子作りがしたくてもできない人たちにとっては、辛い気持ちになります。軽い気持ちで言ってしまいがちですので、意識的に避けましょう。つい言ってしまって、相手が答えにくそうだったら、話題を変えましょう。
かわいいね、素敵だね」など評価する発言。褒めているつもりで言っているとしても、これを不快に受け止められる場合が少なくありません。相手との関係性によって、褒め言葉がセクハラになってしまうのです。

以上のように、普段の何気ない会話が、いつの間にか相手を苦しめていることがあります。

日頃から気をつけること

何がセクハラになるのかは、時代と共に変化します。自分がそんなつもりはなくても、相手が不快に思えばセクハラになってしまいます。言葉だけでなく、行動や視線がセクハラとされることもあります。
性的な発言は、たとえ軽い冗談のつもりでも相手が不快に思えばセクハラになります。容姿、デートなどについての発言やメールはほぼ間違いなくセクハラになりますし、性的な要素の強い写真を他の人が見える所に貼ることも、それを不快に思う人がいればセクハラです。軽い挨拶で肩をポンとたたくことがあるかもしれませんが、昔と違い今はセクハラとされます。「触れる」という行為はできるだけ避けるべきです。
職場でのあらゆる行為を逐一挙げて、それがセクハラになるかならないかをリストにしようとするならキリがないでしょう。それでは、セクハラの加害者にならないために、どんなことを念頭に置いておくべきでしょうか。
まずは、相手が不快に思っていないかどうかを考え、察することです。たとえば、自分の言った冗談で相手が顔をしかめたり、下を向いてしまったりしたでしょうか。そうであれば、自分がさっき言ったことが相手を不快にさせた可能性があります。
さらには、自分と相手の力関係を考えることです。相手は長い求職活動の末に、やっとの思いでこの会社に入って来ました。できるだけ長くここで働き、その職を失いたくないと思っています。そんな相手に、上司である自分の発言がどう受け止められるでしょうか。セクハラの加害者は「相手は断らなかった」と言うかもしれません。しかし加害者と相手が上司と部下である場合、相手の「断ったらどうなるか、怖かった」という主張の方が、説得力があります。

まとめ

セクハラは様々な種類がありますが、共通して言えることがあるとすれば、自分が意識していないことがセクハラになりやすいという点を挙げることができます。結局のところ、セクハラに当たるかどうかを判断するのは、自分ではなく相手なのです。とりわけ経営者や管理職の方々は、その意識を常日頃から持つことが重要です。

パワハラについてはこちらの記事を参照してください:パワハラになる可能性がある?経営者なら知っておきたい事例一覧

Profile

『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。