大卒採用の計画未達が3割!(2017年度調査)

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

wow-2017

経団連の所属企業を対象とした、大卒採用に関するアンケート結果が、2017年11月27日に公表されました。調査結果は、日本を代表する大企業553社の回答を集計したものとなります。
 

今回の記事では、経団連のアンケートと、株式会社ディスコが2010年、及び2017年3月に大学または大学院を卒業予定の学生に対して行ったアンケートを合わせて紹介することで、企業側/学生側の両面で、大卒採用の動向を紹介します。
 

85%以上の企業が「前年より売り手市場」だと回答


 

日本国内では積極的な大卒採用が続いており、「前年より売り手市場(学生側が有利)」と回答した企業が2年連続で85%を超えました。
 

この結果を裏付けるように、学生へのアンケートからは10年前と比較して就職活動の難易度が低下している事が読み取れます。
 

就職活動が厳しいと回答する学生が4割を切る


2017年の調査では「とても厳しい」「やや厳しい」と回答した学生は37.7%となりました。10年前の77.6%と比較すると「売り手市場」を反映していることが分かります。
 

エントリー数は、10年前の6割に


エントリー数も、大幅に少なくなっています。
 

3割の企業で、採用計画数が未達


2018年4月入社対象について、「計画に届かない」(30.7%)と回答した企業が、前年に比べて6.2%増えています。採用難の影響が出ていると考えられます。

コミュニケーション能力と主体性を重視して選考


企業が「選考時に重視する要素」のベスト5は「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」となっています。
 

「コミュニケーション能力」は、15年連続の不動の1位です。

半数以上の企業が「採用選考に関する指針」に否定的

「採用選考に関する指針」は、経団連が毎年発表する、大卒・院卒採用に関する行動指針で、下記の5点が記載されています。
 

1. 公平・公正な採用の徹底

公平・公正で透明な採用の徹底に努め、男女雇用機会均等法、雇用対策法及び若者雇用促進法に沿った採用選考活動を行い、学生の自由な就職活動を妨げる行為(正式内定日前の誓約書要求など)は一切しない。また、大学所在地による不利が生じないよう留意する。

 

2. 正常な学校教育と学習環境の確保

在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き、社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する。

 

3. 採用選考活動開始時期

学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため、採用選考活動については、以下で示す開始時期より早期に行うことは厳に慎む。
・広報活動:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
・選考活動:卒業・修了年度の6月1日以降
なお、活動にあたっては、学生の事情に配慮して行うように努める。

 

4. 採用内定日の遵守

正式な内定日は、卒業・修了年度の 10 月1日以降とする。

 

5. 多様な採用選考機会の提供

留学経験者に対して配慮するように努める。また、卒業時期の異なる学生や未就職卒業者等への対応を図るため、多様な採用選考機会の提供(秋季採用、通年採用等の実施)に努める。

 

アンケート結果から、インターンや採用関連セミナー実施等により、実質形骸化しつつある採用選考活動時期等を定めた「指針」に対してネガティブな感情を持った企業が多いことが浮き彫りとなっています。

出典・関連情報