アメリカのドナルド・トランプ大統領がTPP脱退!日本の中小企業にはどんな影響がでるか?

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

平成29年1月、アメリカでドナルド・トランプが大統領に就任しました。就任前からさまざまな方針を公言していましたが、就任後は次々と大統領令を出しています。
その中で注目すべきことの1つに、TPP交渉からの永久脱退があります。そもそも日本がTPPに参加する目的は、関税を削減し、投資のルールを明確化することで、貿易や投資の拡大をはかったり、日本経済の生産性を向上させたりすることでした。では、アメリカがTPPから脱退することでどのような影響を受けるのでしょうか。ここではその影響について解説します。

ドナルド・トランプが大統領になってアメリカで変わること

もともと、前オバマ政権を批判して当選したドナルド・トランプ。そのドナルド・トランプが大統領になって、アメリカはいろいろなことが変わるといわれています。まずは、アメリカにどのような変化があるといわれているのか、主なものを見ていきましょう。

ドナルド・トランプ大統領が掲げる政策は「アメリカ第一主義」。この原則に基づいて、さまざまな政策を行っていくと考えられています。

外交政策

  • IS(イスラム国)の撲滅
    オバマ政権の中東政策がISの台頭を招いたと非難。IS撲滅を目指すようです。
  • 移民政策
    移民の排除もドナルド・トランプ大統領が掲げる政策の1つです。メキシコとの国境に壁を作り、その壁の建設にかかった費用を関税などでメキシコに支払わせようとしています。
    また、アメリカ国内の不法移民の排除や、アメリカへの入国禁止なども掲げています。
  • 日本の駐留米軍への負担増
    日本に対し、駐留米軍への負担増を求めており、応じない場合は米軍の撤退も示唆しています。

内政政策

  • オバマケアの撤廃
    公的な医療制度であるオバマケアを撤廃し、民間企業などが行う従来の医療制度に戻すことを示唆しています。

経済政策

  • 雇用の拡大
    賃金の安い国へのアウトソーシングをやめ、アメリカ国内で雇用を拡大することを目指しています。その中で中国やメキシコに大きな関税をかけたり、世界各国とアメリカにとって良好な貿易協定を結ぶことを目指しています。
  • TPPからの脱退
    TPPに参加すると、関税が撤廃されます。日本にとっては車や家電などの輸出が増え、関連企業の黒字につながります。しかし、ドナルド・トランプ大統領は自動車産業との結びつきが強く、またアメリカ国内の生産増と雇用増を目指しているため、TPPからの脱退を宣言しているのです。

日本の中小企業にはどんな影響があるか

ではアメリカのTPP脱退が、日本の中小企業にどのような影響を与えるのでしょうか。

1つ目として、アメリカへの輸出額の減少が懸念されています。
特に深刻なのは、自動車メーカーや家電メーカー。ドナルド・トランプ大統領はTPPによる関税の撤廃どころか、非常に高い関税を自動車や家電にかけようとしています。もし高い関税がかかると、アメリカでの日本製品の需要が低くなり、輸出額の減少につながります。

また、メキシコには安い人件費を求めて日系企業が多く進出しています。「アメリカで売るものはアメリカで作る」というアメリカ第一主義が進展すると、メキシコから撤退する企業が増えてくるかもしれません。自動車メーカーや家電メーカーは多くの中小企業を下請けに持っており、輸出額の減少やコストの増加は中小企業に即、受注減などの負の影響を与えるでしょう。
また、製薬会社も影響を受けます。TPP脱退による輸出減だけでなく、ドナルド・トランプ大統領は薬の価額を抑制しようとしています。製薬会社の株価の下落という状況まで起こりました。

2つ目はアメリカからの輸入品への影響。飲食業などが使う食材に大きな影響が出ると思われます。
TPPで関税が撤廃されるとアメリカから安い食材が手に入るようになるので、レストランなどの飲食業界では、現状よりも値下げが可能となることから集客増を見込んでいました。しかし、それができなくなるかもしれないということで、当初の予定より業績の下降修正を行うところも出てきているようです。
日本としてもTPPにより企業の増益やGDPの増加、賃金の上昇を見込んでいたため、経済政策を見直さなければならない可能性が出てきたのです。

経営者はどうすればいいか?

日本経済に悪い影響を与えそうなアメリカのTPP脱退。では、中小企業の経営者はどう対処すればよいのでしょうか。
まずは、情報に目を配ることです。まだドナルド・トランプは大統領に就任したばかりです。大統領令などを多く出していますが、大きな行動を起こすのはこれからでしょう。
また、アメリカの動向を受けて、日本国内でも新たな経済政策を検討する可能性があります。情報をきちんと把握し、いつでも正しい判断ができるようにしましょう。
また、自社の製品やサービスを強くする必要があるでしょう。同業他社に比べて、高品質や独自性などを打ち出せば、アメリカのTPP脱退の影響により海外進出がしにくくなったとしても、生き残ることができるでしょう。

まとめ

ドナルド・トランプ大統領によるアメリカのTPP脱退は、確実になってきました。日本とアメリカの2国間で交渉は続けるようですが、どうなるかは今後の展開しだいです。
アメリカのTPP脱退は、日本の輸出産業に大きなダメージを与えます。直接輸出している企業だけでなく、その下の中小企業も影響を受けます。まだ、本格的に影響がでているわけではありません。アメリカ政府や日本政府の動向を注視しながら、自社の製品やサービスの質を高め、大きな動きがあったときに即座に動ける準備をしておきましょう。

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『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。