what is the work-life balance?

「ワークライフバランス」という言葉を聞いたことがありますか?

今回の記事では、日本が抱える課題を解決するために重要なキーワードと考えられている「ワークライフバランス」とは何なのか考えてみたいと思います。
 

ワークライフバランスとは?

まずは内閣府がどのように説明しているか見てみましょう。

「仕事と生活の調和」

仕事は、暮らしを支え、生きがいや喜びをもたらすものですが、同時に、家事・育児、近隣との付き合いなどの生活も暮らしに欠かすことができないものであり、その充実があってこそ、人生の生きがい、喜びは倍増します。しかしながら、現実の社会には、安定した仕事に就けず、経済的に自立することができない、仕事に追われ、心身の疲労から健康を害しかねない、仕事と子育てや老親の介護との両立に悩むなど、仕事と生活の間で問題を抱える人が多く見られます。これらが、働く人々の将来への不安や豊かさが実感できない大きな要因となっており、社会の活力の低下や少子化・人口減少という現象にまで繋がっていると言えます。それを解決する取組が、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現です。仕事と生活の調和の実現は、国民の皆さん一人ひとりが望む生き方ができる社会の実現にとって必要不可欠です。皆さんも自らの仕事と生活の調和の在り方を考えてみませんか。

http://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/index.html
 
ワークライフバランスは「仕事と生活の調和」と説明されています。そして「仕事と生活の調和の実現は、国民の皆さん一人ひとりが望む生き方ができる社会の実現にとって必要不可欠です。皆さんも自らの仕事と生活の調和の在り方を考えてみませんか。」と問いかけられています。
 

OECDの「Better Life Index」にも、「Work-life balance」の説明があります。

仕事と日常生活の間の適切なバランスをすべての労働者が見つける必要があります。そのバランスは、家族に大きな影響を与えます。仕事、家族へのコミットメント、そして個人の生活を適切に組み合わせる能力が、家族の幸せにとって重要です。政府は労働者に「両親として」支援的で柔軟な労働慣行を奨励し、仕事と家庭生活のより良いバランスを得やすくすることで、最適なワークライフバランスを見つけられるようアシストする存在です。

http://www.oecdbetterlifeindex.org/topics/work-life-balance/
 

OECDは政府がワークライフバランスに対して積極的にアシストすべきだとしています。いま日本政府がすすめている「働き方改革」が正にそれでしょう。
 

最後に米国でどのように説明されているか確認しておきましょう。Wikipedia(米国版)では、「Work-life balance」を以下のように説明しています。

「Work-life balance」

Work-life balanceは「仕事とライフスタイルの適切な優先付け」を表すコンセプトです。「仕事」はキャリアや大志と置き換えることができ、「ライフスタイル」は健康、幸福、レジャー、家族、スピリチュアルな発達と置き換えることができます。つまりどんなライフスタイルを選択するかと関連しています。

「仕事」と「レジャー」の二分法は1801年代半ばに考案されました。「仕事と遊びの距離感ができるだけ小さいこと」を「幸福」であると人類学者が言っている、とPaul Krassner氏は指摘しています。

「ワーク・ライフ・バランス」という表現は、1970年代後半に英国で最初に使用され、個人の仕事と生活のバランスを説明するために使われました。米国では1986年に初めて使用されました。

https://en.wikipedia.org/wiki/Work%E2%80%93life_balance
 

「仕事とライフスタイルの適切な優先付け」を表すコンセプトであると説明されています。人それぞれに人生があり、仕事や生活を通して人生を送る。生きていく中で、何に優先度を高くして生きていくのか。それを考えるのがワークライフバランスということと考えられます。仕事と遊びが一緒くたになっている「遊びが仕事」の人こそ幸せであると考える人の存在も否定すべきではないでしょう。
 

いろいろな説明を見ていくと、「万人にとって正しい」ワークライフバランスは存在せず、ひとりひとりが自分にとって「正しい」、幸せなライフスタイル(仕事を含む)を模索し、活動することそのものが「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」を実現する方法だと考えることができます。
 

『厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チーム中間とりまとめ』について

これまでの考察で、万人にとって正しいワークライフは無いとわかりました。ひとりひとりが、自分にとってのワークライフバランスを考えなければなりません。
 

考えるにあたって、何か参考になる例はないでしょうか?
 

「厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チーム中間とりまとめ」という文書が2017年5月末に公開されました。この文書は政府が提唱する「働き方改革」に関して、厚生労働省こそまず自分たちの働き方改革をするべきだという精神で、橋本副大臣をトップに若手職員が参画し、省内の業務改革・働き方改革の加速化策を検討しとりまとめたものです。中間取りまとめは全49ページあります。

 
その文書中に「ワークライフバランス」「仕事と生活の調和」について説明されている箇所がいくつかあります。
 

仕事や生活の管轄省庁である厚生労働省はワークライフバランスをどう考えているのか?
 

「厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チーム中間とりまとめ」は、私達が自分自身にとってのワークライフバランスを考える参考になりそうです。
 

「厚生労働省における業務・働き方の現状と課題」中のワークライフバランス

まず最初に、これまでの厚労省の取組みについての中で「ワークライフバランス」が触れられています。

「これまでの業務改革・働き方改革の取組み」におけるワークライフバランス

      

  • 平成26年:10月17日 女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」決定
  •   

  • 平成27年:4月 「厚生労働省における女性活躍とワークライフバランス推進のための取組計画」厚生労働大臣決定(資料3)
  •   

  • 平成28年:6月27日 大臣官房人事課長「平成28年度ワークライフバランス推進強化月間における厚生労働省の取組について」発出

 
女性の活躍を推進する文脈で、ワークライフバランスという言葉が使われる事が多いようです。
 
続いて省内研修においてワークライフバランスが登場します。
 

「管理職によるマネジメントの現状:研修」におけるワークライフバランス

内閣人事局が実施している管理職によるマネジメントと女性職員のキャリア形成支援について理解を深めるための「女性活躍・ワークライフバランス推進マネジメントセミナー」に平成28年度は受講者を9名(全省庁185名)派遣している。

 
こちらでも女性の活躍を推進する文脈で、ワークライフバランスという言葉が使われているようです。
 
続いて省内人事評価においてワークライフバランスが登場します。

「管理職によるマネジメントの現状:人事評価制度」におけるワークライフバランス

業績評価においては、ワークライフバランスに資する効率的な業務運営等に向けた取組・実績を人事評価に反映させるべく、課長補佐級以上の職員には、ワークライフバランスに資する目標の設定を行わせている。また、平成 28 年9月7日付けの内閣官房内閣人事局人事政策統括官通知「ワークライフバランスに資する効率的な業務運営、良好な職場環境づくり等に向けた管理職の取組・実績を人事評価へ反映する取組の再徹底について(依頼)」により示された、管理職の業績目標設定事例や各府省等の独自の取組例を周知し、課長補佐級以上の職員に対して、ワークライフバランスに資する目標の設定を行わせることを徹底した。

 
こちらでは、業務効率化という文脈でワークライフバランスが使われています。
 
 

[資料3] 厚生労働省における女性活躍とワークライフバランス推進のための取組計画(ポイント)(平成27年度~平成32年度)におけるワークライフバランス

厚生労働省における女性活躍とワークライフバランス推進のための取組計画(ポイント)(平成27年度~平成32年度)
 
「働き方」だけでなく「休み方」も改革する必要があると書かれています。「働き方」について、テレワークの抜本的拡大やフレックスタイム制、早出・遅出の活用促進など柔軟性を求めています。
 
また、女性活躍のためには、男性が育児休業を取得することが重要だとされています。男性の育児休業については次の資料で大きく訴えられています。
 
 

[資料6] 緊急提言書(厚労省の男性育休取得 100%に向けた見直し)におけるワークライフバランス

厚生労働省は、育児・介護休業法その他労働関係法令を所管しており、民間企業の育児休業取得推進をはじめ、仕事と家庭の両立やワークライフバランスの推進など、各企業における働きやすい職場作りを、「一番の旗振り役」となって推進する立場にあります。

この点、現在の厚生労働省の男性職員の育休取得率約3割となっており、民間企業の取得率や国家公務員における平均的取得率と比べれば高く、また、近年の政務からの声がけ等の取組により大きく取得率が向上してきてはいるものの、上記の立場からは「極めて恥ずべき状況にある」と考えます。

また、厚生労働省における女性の取得率がほぼ 100%である一方で、男性の取得率が30%程度にとどまっている状況を踏まえれば、他の職員が取得しないことによって周りを気にしてしまい取得を思いとどまらせるといった状況や、昇任・昇格等に影響するのではないかといった懸念、上司の理解の無さもあると推察され、この考えから、政策的に取得を強く推奨する(100%を目指す)とともに、阻害要因を取り除いていく必要があると考えます。

このため、我々、ジョカツ部・超イクメン部の目標である「厚労省の男性育休取得100%に向け、より取得しやすい環境作り及び対象となる男性職員への育児・家事参加への一層の意識啓発」が必要と考えますので、以下見直しをご提案させていただきます。

(見直し案)
1.人事評価制度の評価項目への反映
⇒ 業績評価目標の中に、男性の育児休業取得及び男性の育児休業取得勧奨に関する項目を盛り込む。

2.政務への宣言
⇒ 男性の育児休業対象者は政務からの声がけに参加するとともに、取得希望があった場合には、取得予定時期を政務に宣言する。

3.半年後のフォローアップと再勧奨
⇒ 男性の育児休業取得希望者の「上司」に対して、対象期間開始から半年経過後にフォローアップを実施。未取得の場合には、未取得となっている理由と取得予定時期の提出を求める。

4.昇給、昇任・昇格について不利益に取り扱われないことの周知
⇒ 育休を取ると昇給等に影響があるという懸念が職員の間で多くあることから、例えば、昇給について、原則育児休業期間の全てを勤務したものとして、号俸の調整が行われるなどをパンフレット等の目立つ場所に明記する。
※ 当部の掲げる「厚労省の男性育休取得 100%」は、「育児のための休暇取得」に力点を置いており、必ずしも「育休での取得」にこだわるものではありません。加えて、働き方改革が進展途上にあり、有給休暇の十分な活用が不十分な現状においては、職員の中には短期間の休暇にあっては有給休暇での取得を希望する場合もあると考えられます。この点、当部の掲げる「男性育休取得」は、育児を目的とする休暇を有給休暇で取得する場合も含めて考えています。

ここまで「厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チーム中間とりまとめ」の中で、ワークライフバランスに関連する箇所をみてきました。
 

最後に「仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」論点整理をみてみましょう。

○「仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」論点整理(抄)
<1.総論>
●長時間労働の是正は、働く方の心身の健康を確保するとともに、仕事と子育て、介護、地域生活等の生活との調和、性別や年齢、障害の有無等にかかわらず、すべての方の活躍促進等を推進するための重要な課題である。人口が減る中で我が国の成長を確保していくためには、誰もが働きやすい環境を整備することが必要であり、そのためには、必要のない時間外労働をなくし、効率的でムダのない働き方に変えていくことが必要である。

 

自分や周りの人達が、仕事だけでなく地域や家族といったコミュニティーで活躍する事が大切だという指摘は大変参考になります。仕事だけしている人は、肯定されるのではなく否定される世の中になるのです。ただしその「仕事」とはこれまでの概念としての「仕事」のことです。新しい時代の、新しい概念の「仕事」は、ひょっとしたらこれまでの「遊び」を含んだものになるのかもしれません。
 

冒頭で紹介した「仕事と遊びの距離感ができるだけ小さいこと」を「幸福」であると人類学者が言っている、というPaul Krassner氏の指摘は私(著者)にとって「正しい」ワークライフバランスであると思いました。
 

中小企業がワークライフバランスに取組むインセンティブ(各種助成金)

さてこの章では、厚生労働省が提供する、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に取り組む中小企業事業主への助成金を紹介します。

職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)

勤務間インターバルの導入に取り組む中小企業事業主が対象の助成金です。勤務間インターバルとは、長時間労働による労働者の健康への悪影響を改善するために、勤務終了時刻から次の勤務開始時刻との間に一定時間以上を設け、適切な睡眠時間の確保を促すものです。

勤務間インターバル制度の導入促進を図るため、今年度から、職場意識改善助成金の中に「勤務間インターバル導入コース」が新設されました。
 

[対象事業主]

  • 休息時間が9時間以上の勤務間インターバルを導入する事業主

 

[対象となる取組]

  • 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
  • 就業規則などの作成・変更
  • 労務管理用機器(タイムレコーダー、ICカードなど)の導入など

 

[支給額]

  • 最大50万円
  • 対象となる経費の合計額(※)×補助率(3/4)

※謝金、会議費、機械装置の購入費など
 

職場意識改善助成金(時間外労働上限設定コース)

時間外労働の上限設定見直しに取り組む中小企業事業主が対象の助成金です。
 
[対象事業主]

  • 限度基準告示(※)に規定する限度時間(月45時間、年360時間など)を超える内容の特別条項付き36協定を締結している事業場について、限度時間以下の上限設定を行う事業主

※労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(厚生労働省告示)
 

[対象となる取組]

  • 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
  • 就業規則などの作成・変更
  • 労務管理用機器(タイムレコーダー、ICカードなど)の導入
  • 労働能率の増進に資する設備・機器(※)の導入など

※小売業のPOS装置、飲食店の自動食器洗い乾燥機など
 

[支給額]

  • 最大50万円
  • 対象となる経費の合計額(※)× 補助率(3/4)

※謝金、会議費、機械装置の購入費など
 

職場意識改善助成金(テレワークコース)

在宅またはサテライトオフィスで就業するテレワークに取り組む中小企業が対象の助成金です。
 
<2017年度から以下二点が見直しされました>

  • 短時間のテレワーク実施の場合も助成対象となりました:昨年度までは、終日テレワークを実施することを支給の条件としていましたが、半日だけテレワークをするなど、短時間の実施の場合も支給対象となります。
  • 1事業主当たり通算で2回まで助成を受けられるようになりました:昨年度までは、新規にテレワークを導入する中小企業事業主を対象としていましたが、今年度からは既にテレワークを導入している中小企業事業主であっても、助成を受けることが可能となりました。
  • 過去に本助成金を受給した事業主であっても、対象労働者を2倍に増加してテレワークに取り組む場合は、過去受給分を含み通算で2回まで受給可能となりました。

 

[対象事業主]

  • テレワークを新規で導入する中小企業事業主。※試行的に導入している事業主も対象
  • テレワークを継続して活用する中小企業事業主

 

[対象となる取組]

  • テレワーク用通信機器(※)の導入・運用。※Web会議用機器、社内のパソコンを遠隔操作するための機器等ですがパソコン、タブレット、スマートフォンは対象外
  • 就業規則などの作成・変更
  • 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティングなど

 

[支給額]

  • 一人当たり15万円/1企業当たり150万円が上限
  • 対象となる経費の合計額(※)×補助率(1/2~3/4)

※謝金、会議費、機械装置の購入費など
 

◆職場意識改善助成金(職場環境改善コース)

所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進に取り組む中小企業事業主が対象の助成金です。
 

[対象事業主]
以下の条件を満たす中小企業事業主であって、成果目標(1.月間平均所定外労働時間数の5時間以上削減、2.年次有給休暇の年間平均取得日数の4日以上増加)の達成に向けて取組を行う事業主

  • 雇用する労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数が13日以下であること
  • 月間平均所定外労働時間数が10時間以上であること
  • 労働時間などの設定の改善に積極的に取り組む意欲があること

 

[対象となる取組]

  • 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
  • 就業規則などの作成・変更
  • 労務管理用機器(タイムレコーダー、ICカードなど)の導入
  • 労働能率の増進に資する設備・機器(※)の導入など。※小売業のPOS装置、運送業の自動洗車機など

 

[支給額]

  • 最大100万円
  • 対象となる経費の合計額(※)×補助率(1/2~3/4)

※謝金、会議費、機械装置の購入費など
 

職場意識改善助成金(所定労働時間短縮コース)

所定労働時間の短縮に取り組む中小企業事業主が対象の助成金です。
 

[対象事業主]
労働基準法の特例として法定労働時間が週44時間とされており(特例措置対象事業場)、かつ、所定労働時間が週40~44時間の事業場について、所定労働時間を2時間以上短縮して、40時間以下とする中小企業事業主
 

[対象となる取組]

  • 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
  • 就業規則などの作成・変更
  • 労務管理用機器(タイムレコーダー、ICカードなど)の導入
  • 労働能率の増進に資する設備・機器(※)の導入など。※小売業のPOS装置、飲食店の自動食器洗い乾燥機など

 

[支給額]

  • 最大50万円
  • 対象となる経費の合計額(※)×補助率(3/4)

※謝金、会議費、機械装置の購入費など

関連情報・助成金に関する問合せ先・出典

関連情報

助成金の詳細

出典

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『バックオフィスの基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。