「AI」と仕事・職場に関する実態 〜働き方改革意識調査 2/3〜

独立行政法人・労働政策研究・研修機構より発表された大規模な調査レポートを元に「働き方改革」文脈で頻出するキーワード「テレワーク」「AI」「副業」の実態について、及び企業側/労働者側ともにどう思っているか紹介するシリーズの第2回。
 

今回は「AI」についてです。
 

※調査レポートは企業側:2,505件、労働者側:12,839件の回答を集計した大規模なものです(ページ下部に概要あり)。
 

今回の調査における「AI」とは?

今回の調査では、AIを下記のように定義しています。

近年、人工知能(AI)の進化が急速に進んでいると言われています。現時点では、「人間のように考えるコンピューター」としての人工知能(AI)は実現してはいませんが、近年の人工知能(AI)の研究開発によって「識別(音声認識や画像認識など)」「予測(数値予測やマッチングなど)」「実行(表現生成やデザインなど)」といった機能の一部が実用レベルに達し、生活や産業への人工知能(AI)の導入がはじまっています。人工知能が製品・サービスに組み込まれることにより、例えば、AI搭載家電(掃除用ロボット等)やゲーム(囲碁、将棋等)、インターネットの検索エンジンによる広告、受付窓口用ロボット、コールセンターでの自動対応、金融市場での高速トレード、自動車の自動運転の開発など、これまで人間が対応していた様々な場において人工知能の活用が進み始めています。

要約すると「AIは識別→予測→実行を自動的に行う仕組み」と言えるでしょう。
 
金融市場での高速トレードや、自動車の自動運転機能については昨今ニュースを賑わせていますが、それらは「AI」活用の一端だと考えられます。
 

職場でのAI導入状況

AIを「導入・導入検討中」の企業は、全体の4.6%です

その内訳は「すでに導入済み(0.8%)」、「現在、導入を検討中(3.8%)」となります。

業種別AIの導入状況

AI導入は大企業が先行しており、業種別でみると「金融業、保険業(19.2%)」、「医療、福祉(10.9%)」、「電気・ガス・熱供給・水道業(7.1%)」と続きます。
 

金融業務とAIの相性は大変良いため、政府も積極的に予算を支出していますし、民間資本の投下も活発です。
 

AIでの業務代替可能性についての意識

AIによる業務代替可能性について、大企業で意識が高く、業種では「金融業、保険業(74.8%)」「学術研究、専門・技術サービス業(74.6%)」「情報通信業(73.0%)」が高くなっています。また職種では「事務職(72.2%)」がもっとも高くなっています。
 

職場でのAIの役割・機能について

すでにAI導入(検討)中の職場で、AIが果たす役割・機能は以下のように捉えられています。企業側も労働者側も、1位〜3位は同一の結果です。

企業側

  • 67.5%:既存の業務効率・生産性を高める役割・機能
  • 54.4%:既存の労働力を省力化する役割・機能
  • 43.0%:既存の業務の提供する価値(品質や顧客満足度など)を高める役割・機能
  • 36.8%:不足している労働力を補完する役割・機能
  • 26.3%:これまでに存在しなかった新しい価値をもった業務を創出する役割・機能

労働者側

  • 65.8%:既存の業務効率・生産性を高める役割・機能
  • 42.3%:既存の労働力を省力化する役割・機能
  • 37.0%:既存の業務の提供 する価値(品質や顧客満足度など)を高める役割・機能
  • 23.0%:これまでに存在しな かった新しい価値をもった業務を創出する役割・機能
  • 21.8%:不足している労働力を 補完する役割・機能

 

AI活用の時代に求められる能力について

企業側にはAI時代に従業員に求める能力を複数回答可で質問し、労働者側にもAI時代に「あなたに求められる能力」を複数回答可で質問しました。結果は以下のとおりです。

企業側

  • 63.8%:チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質
  • 61.9%:コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力
  • 54.7%:企画発想力や創造性
  • 45.7%:情報収集能力や課題解決能力、論理的思考などの業務遂行能力

労働者側

  • 61.4%:コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力
  • 51.7%:チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質
  • 48.3%:企画発想力や創造性
  • 28.5%:情報収集能力や課題解決能力、論理的思考などの業務遂行能力

 

まとめ

AIを「導入・導入検討中」の企業は、全体の4.6%とまだ小数に留まっていますが、金融・保険業では19.2%と突出した結果がでています。「フィンテック」と呼ばれる金融分野の最新技術でもAIを中心としたものが多いことともつながります。
 
AI時代に求められる能力として、企業側は「チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質(63.8%)」を最も多く挙げていますが、労働者側は「コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力(61.4%)」を最も多く挙げています。
 
編集部で補足するならば、「決断力・責任能力」も重要になるのではないかと考えます。なぜならAIの実行を決断するのも、その結果に対して責任を持つのも人間であるからです。
 

調査概要・出典

【調査概要】

  • 「イノベーションへの対応状況調査」【企業調査】
  • 「イノベーションへの対応に向けた働き方のあり方等に関する調査」【労働者調査】

このレポートは2017年1月30日から1ヶ月間、下記対象に行われたアンケートを集計したものです。

  • 企業側:100人以上雇用する全国の企業(有効回収数:2,505件/12,000社)
  • 労働者側:上記企業ごとに8人(有効回収数:12,839件/96,000人)

 
【出典】

 

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『バックオフィスの基礎知識』編集部
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