Airbnbは法律的に許容される存在になれるのか|現行法に違反する可能性と今後の法規制

By 石原一樹 2015.07.23

衝撃のサービス「Airbnb」で論点となる法的リスク

 空き部屋を有料で貸すことができるサービスとして、世界中に大きなインパクトを与えているサービスがあります。「Airbnb」というインターネットを活用して、誰でも自分の家を貸し出すことができるサービスです。多くの法律専門家がそのビジネスモデルの適法性について指摘をしていますが、実際に海外では摘発された事例も存在しています。このサービスに対して新たな法的な制度設計が必要なのか、現行法で否定されるべきものか議論がわかれています。


 現在は日本でもサービスが運用されていて、実際にはどのような法的リスクがあるのか、まとめて調査してみました。今後の法的な整備予測と含めてまとめましたので、ご参照ください。



日本の旅館業法がもたらす障壁の考察

 端的に問題になるのは旅館業法です。旅館業とは簡単にいうと「①宿泊料を受けて、②人を宿泊させる③営業行為」といえます。そして、厚生労働省が出している基準によると、「②人を宿泊させる」とは、寝具(ベッド、リネン等)を提供することで該当しうるという記載があります。つまり、部屋とベッドを有料で貸し出せば旅館業に該当する可能性が高まるのです。


 ただ、Airbnbが直ちに旅館業に該当するかといえば否でしょう。なぜならば、直接家を貸し出しているのはAirbnbではなく出品しているオーナーさんだからです。このオーナーさんが「宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業行為」を行っているかが問題になります。オーナーさんは会社ではなく個人であることが多いので、「③営業行為」として行っているかどうかは判断が難しいと思います。反復継続して行っているかどうか等の考慮要素をもとに決定しなければなりません。


 そうすると、このような場合、「③営業行為」の要件を満たさないので旅館業に該当せず、旅館業法には違反しない、ということになるでしょう。営業行為として出品していても個々のオーナーへヒアリングをするなどの手間がかかるため、現実的ではありません。ちなみに、日本で貸主として出品している人は海外のオーナーさんも多いようです(特に中国系)。海外オーナーだとさらに捕捉できなくなります。



推測されるこれまでの行政の対応

 このような広範な規制がある中で、CtoCビジネスの特質を利用して、Airbnbは日本においても上手に展開できているのではないでしょうか。もっとも、直ちには違反しないにしても、旅館業「に近い」事業を展開していることや、実態として違法(の可能性のある)行為を助長していることで、監督官庁から何らかのアクションがあったであろうことは容易に想像がつきます。事業者を排除するか、事業者は旅館業登録をしている事業者に限定するか等の事前チェックはしているのではないでしょうか。



食品衛生法の障壁も論点となりうるか

 また、旅館業法だけでなく、食事も提供すれば食品衛生法も考える必要がありますが、規制の対象が「食品等事業者」に限定されているため、CtoCである限り違法ではないでしょう。



旅行業法規制はどう考えるべきか

 他には、「宿泊サービスを取り次ぐ行為」として旅行業法規制にかかる可能性もあります。しかし、あくまで宿泊施設(出品されている家や部屋)に関する情報を掲載しているにすぎないことから、法律上「取り次いでいる」と評価するのは難しいと思います。



建築基準法に対してはどう考えるべきか

 また、旅館でないにせよ事業を行うにあたって、建築基準法等に基づく土地の用途を確認する必要があります。住宅区域内では営業行為ができなかったりするのですが、営業行為ではない、というのであればあまり関係ありません。



短期賃貸借契約との境界線がグレーゾーン

 旅館業法の規定方法についてはAirbnbが出てくる前から問題になっていたようです。詳しくは述べませんが、家具付き(特にベッド等の寝具付き)のウィークリーマンションが出てきたあたりから、短期賃貸借契約と旅館業サービスとの相互関係について議論があったようです。


 要するに、ウィークリーマンションは「賃貸料という金銭を受けて、人を宿泊させる営業」をしているに他ならないからです。これは受け取る金銭の名目が「賃貸料」であったとしても「宿泊料」と同義であるということから、旅館業登録が必要なのではないか?という問題です。



世界を席巻するサービスに関わる今後の法規制

 ここは、非常に微妙な問題なので、「宿泊サービス契約」ではなく、「短期賃貸借契約」にすれば旅館業法の規制がかからない、ということにはならないことに注意が必要です。法文上はどちらもかかり得ます。


 すでに利用規約等で「短期賃貸借契約」をうたった似たようなサービスが幾つか出てきていますが、旅館業に該当しないようにするか、旅館業登録事業者が貸し出すかといった手当が必要です。


 このように問題の多い旅館業法ですが、経済特区においては緩和しようとする動きもあるようです。ただし、外国人利用者に限定するなどの制限があるため、日本人は利用しにくいのは明らかです。これは、日本の旅館組合等の既得権益の圧力もあり、法改正を含めて新規参入への障壁を下げるための措置はなかなか難しいのが現状です。(当然、サービスのクオリティが担保されるなど規制による恩恵もあるので、一概に悪法とはいえません。)


 国やAirbnbなどのベンチャー企業が、利用者の便益と安全性に関して、法改正を含めてどう折り合いをつけていくのか注目したいところです。




【 記事提供者 】 石原一樹 弁護士

 2012年に弁護士登録後、ヤフー株式会社に入社し、企業内弁護士としてインターネットに関する法務業務に従事。2015年からホーガン・ロヴェルズ法律事務所外国法共同事業に入所。日本国内外を問わずスタートアップ企業やITベンチャー企業へのリーガルサービスを提供している。


【 Gozalアカウント 】石原 一樹 弁護士



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