著作権法の基礎知識|著作権と著作者人格権の違いは何か

By Gozal 運営事務局 2015.05.26

 著作物を生みだした人に権利を与え、その権利を保護することで「文化の発展」を推進することが著作権法の目的です。ここで重要になるのは、著作権法によって保護される権利が、具体的にどのような権利なのかということです。結論から言うと、著作権法は、著作物を生み出した著作者に対して、「著作権」と「著作者人格権」を与えています。それぞれの権利がどのようなもので、それぞれの違いは何かを理解していきましょう。



著作者が得られる権利とは

 著作者には当然権利が与えられます。その権利内容について、著作権法第十七条で記述されています。



第十七条  著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2  著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。


 第2項によると、著作者は何もしなくても著作者人格権と著作権を享受できることが明らかになっていますね。



著作者人格権とは

 著作者に与えられる権利の一つである「著作者人格権」がどのような権利であるかについては、著作権法第十八条から第二十条まで記載されています。実は著作者人格権には、3つの権利要素があります。それぞれ見ていきましょう。



著作者人格権 公表権

 まずは著作者人格権の一つである公表権という権利について見ていきます。著作権法第十八条に、公表権について明確な記載があります。



第十八条  著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。


 つまり、社会に対して著作物を公開するかどうかを決める権利は、著作者に与えられるということです。



著作者人格権 氏名表示権

 続いて氏名表示権を見ていきましょう。氏名表示権は著作権法第十九条に記載されています。



第十九条  著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。


 この氏名表示権とは、著作物を作った人が、「自分が作ったんだ」と表示することができるという権利です。また誰かに著作物の使用を許可した場合でも、著作者の名前を表示することができます。クリエイターの名前を守るためにこのような権利が与えられているのですね。



著作者人格権 同一性保持権

 最後に同一性保持権という権利を見ていきましょう。同一性保持権については、著作権法第二十条に記載があります。



第二十条  著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。


 自分が作った物を誰かがちょっと修正したり、部分的に加工したりしているとクリエイターの想いや誇りを傷つけることになりますし、せっかく作った著作物の価値を不用意に下げてしまう可能性があります。よって同一性保持権を、著作者に与え、著作物がそのままでいることを保護しているのです。



著作権とは

 著作権の内容については、著作権法第二十一条から第二十八条までに詳細が記載されています。それでは中身を見ていきましょう。



著作権 複製権

 最初の権利は複製権です。複製権については、著作権法第第二十一条にて記載がされています。



第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。


 これはそのままですが、著作物を複製するかどうかは、著作者だけに与えられているということです。勝手に複製したりしてはいけません。



著作権 上演権及び演奏権

 次に上演権と演奏権という権利があります。上演権と演奏権については、著作権法第二十二条に記載があります。



第二十二条  著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。


 上演したり、演奏することも著作者に与えられる権利です。許可なく勝手に人の曲などを演奏することも認められないのですね。



著作権 上映権

 上映権という権利もあります。上映権については著作権法第二十二条の二に記載があります。



第二十二条の二  著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。


 これはわかりやすい事例で、映画を勝手に盗み撮りして、上映したりすることは違法とされていますよね。



著作権 公衆送信権等

 公衆送信権という権利については、著作権法第二十三条に記載があります。



第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。


 これはテレビやラジオで公衆に向けて送信することについては、著作者が決定できるという権利です。当然著作者が嫌だ、といえば放送できないことになります。



著作権 口述権

 口述権という権利があります。この権利については著作権法第二十四条に記載があります。



第二十四条  著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。


 これは作った物が言葉の場合に、その言語を一般に向けて話すことについて、作った人に権利を保障するということです。勝手に人が話をした講演内容などを話してはいけません。



著作権 展示権

 展示権という権利については著作権法第二十五条に記載があります。



第二十五条  著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。


 この展示権は、創作した美術品を許可なく展示することができないように権利として著作者に保証しているものです。



著作権 頒布権

 頒布権(はんぷけん)という聞きなれない漢字の権利もあります。頒布権については著作権法第二十六条に記載があります。



第二十六条  著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。


 この頒布というのは有料無料に関係なく、公衆に譲渡したり貸与したりする行為のことです。映画の著作物に特有の権利です。映画を映画製作者に許可を得ずに誰かに譲渡したりすることは認められません。



著作権 譲渡権

 譲渡件という権利については、著作権法第二十六条の二に記載がされています。



第二十六条の二  著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。


 これは名前の通り、譲渡するかどうか決定する権利があるということです。自分の作った物を勝手に譲渡されることがないように、この権利が定められています。



著作権 貸与権

 貸与権という権利は、著作権法第二十六条の三に記載がされています。



第二十六条の三  著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。


 貸与権とは、読んで字のごとく著作物を誰かに貸し出す権利のことを言います。著作者に黙って、勝手に誰かに貸し出すことは認められず、著作者の権利を守っているのです。



著作権 翻訳権、翻案権

 著作権の中には翻訳することや、細かい修正を行う翻案する権利も含まれています。翻訳権、翻案件は著作権法二十七条に記載があります。



第二十七条  著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。


 翻訳を勝手に行ったり、変形させたりする権利は著作者に与えられるということですね。



著作権 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利

 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利という名前の権利も著作権に含まれます。著作権法第二十八条に記載がありますので見ていきましょう。



第二十八条  二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。


 原著作物の著作者が二次的著作物の著作者と同一の種類の権利を有しているということは、二次的著作物を利用する場合、二次的著作物の著作者の許諾のほか、原著作者の許諾も必要になることを意味します。


 例えば小説が映画化される場合に、小説を書いた小説家は、二次的著作物である映画の制作者が持っている権利を同様に保有しているということです。もっとも二次的著作物の中で原著作物とは全く異なる新しい創作性が付け加えられている場合には、その創作性が認められる部分については権利を持つことができませんのでご注意ください。



著作者人格権と著作権のもう一つの違い

 これまで、著作者人格権と著作権のそれぞれの権利内容を見てきました。そもそも権利の内容が異なるということがご理解いただけたと思いますが、もう一つ大きな違いがあります。


 著作者人格権は、著作者だけが持っている権利で、譲渡したり、相続したりすることはできません。一方、著作権は、その一部又は全部を譲渡したり相続したりできます。著作権は著作者以外も保有することができるということですね。



まとめ

 クリエイターの方は作った著作物について、著作者人格権と著作権を手に入れることができます。そのうち著作権は誰かに譲渡したり、相続することができますが、著作者人格権は誰にも譲ることができない著作者固有の権利となっています。この点に注意しておきましょう。





【 記事提供者 】Gozal編集部

 Gozal編集部は、起業家や経営者に役立つコンテンツを日々調査、レポートしています。おすすめのサービスや、貴重なインタビューなどを配信していきます。


Gozal

インターネット上で弁護士、税理士、会計士などの専門家に無料相談と業務発注が行えるクラウドソーシングサービスです。


Gozalメディア

起業家や経営者に役立つコンテンツを配信するメディアサイトです。毎日、多様なカテゴリのコンテンツを配信しています。


Gozal Q&A

士業に無料で質問ができるQ&Aサイトです。税金や法律などの悩みや課題をどしどし投稿してください。


Gozalムービー

起業や会社設立に関する専門業務を専門家が分かりやすく解説!起業や会社設立について動画でいつでもどこでも学ぶことができます。




日経新聞
TechCrunch
The bridge
日経産業
IT PRO
会計ナビ
NIKKEI
日刊
cnet
yahoo