実績のある管理職レベル人材の中途採用時に注意したい雇用契約
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
人材紹介会社を活用し、他社で大きな成績を残している人材を採用するというケースは、日本では日々行われていることでしょう。実績があるからこそ、なんとか入ってもらいたいと細かいルールなどは後回しにして、とにかく採用する、という方針を取る企業もあります。しかし、実績十分な方ほど雇用時の手続きは慎重に行うべきです。
高額報酬で契約、しかし結果を出せない人もいる
他社での経験を信頼して、高待遇で迎え入れた人材。しかし、いつまでたっても結果を出してもらえないという状態に陥ることもあります。しかし、一度設定してしまった高待遇な条件を修正したり、解雇することは法的にも簡単にはできません。
つまり全く結果を出せていない人材に、高い費用が発生している状態が続いてしまうのです。キャリア採用には常にこのようなリスクがつきまとうと言えるでしょう。
降給・解雇の判断基準を雇用時に合意しておく
キャリア人材の採用を行う場合には、社内の解雇・懲戒規定をしっかりと就業規則で整備すること、そして雇用の時点で期待する成果や能力を明確に共有しておくことが重要です。一般社員と同じような雇用契約を結ぶだけではリスクが大木ので、具体的な数値目標を定めておくことが重要です。
エイゼットローブ事件の判例でも雇用時の対応が有効に
過去の裁判で、雇用時の目標数値の取り決めによって、キャリア人材の成績不良による解雇が認められた事例があります。エイゼットローブ事件と言われるこの判例では、
・売上目標を確約した上で採用した
・会社は解雇する前に注意指導した
・本人に改善する意欲が見られなかった
・就業規則に解雇に関する根拠の規定があった
上記の理由を根拠に能力不足による解雇が認められたと言えます。
キャリア人材を採用する前に準備しておくべきことまとめ
判例などを見ても、会社側の対策によっては適切な対処を行うことができるようになっています。具体的には、採用時の雇用契約書やその他の書面によって最低限の目標ラインを数値で合意・記録しておくことは重要といえるでしょう。
また就業規則には、「担当業務が能力不足でできない場合は解雇する」といった基本的な内容を盛り込み、事前に合意してもらえる体制を整備してくべきです。
そして、いきなり解雇や降格はやりすぎですので、一緒に目標を達成していくために努力をしていくことが大切です。努力を促しているのにも関わらず、意欲が見られないのであれば、その時初めて覚悟を決めて解雇・降格を検討することになります。
採用した人材が必ず成果を出すと確信できないのであれば、雇用契約前にこれらの体制を整備しておくこともリスクの回避のためには重要と考えられるでしょう。
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