ジョブ・カードとは?メリット・デメリットも解説
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
ハローワークで発行されるジョブ・カードというものをご存知でしょうか。ハローワークでキャリアカウンセリングを受けたり、一部の職業訓練を受けたりする際に使用するものです。ジョブ・カードとはどういうものなのか、そのメリット・デメリットなどをご説明していきます。平成27年10月から改正された部分もありますので併せてご紹介していきましょう。
ジョブ・カードとは?
ジョブ・カードは「生涯を通じたキャリアプランニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールです。厚生労働省がその作成を推進しており、労働市場インフラとして活用されることを目指しています。
具体的には以下のような内容で構成されています。
- キャリアプランシート
- 職務経歴シート
- 職業能力証明シート(免許・資格)
- 職業能力証明シート(学習歴・訓練歴)
- 職業能力証明シート(訓練成果・実務成果)
1.2.3.4のシートについてはまずは自分で作成することでこれまでの職歴を棚卸しし、今後のキャリアプランを考える際の材料にします。これを参考に応募書類などを作成しても良いでしょう。
ハローワークなどでキャリアカウンセリングを行う際の資料ともなり、これをもとにアドバイザーが助言及び指導を行います。
その後、ハローワーク等で教育訓練を受けることにより5のシートなども活用できる流れになっています。自分自身のキャリアプランや職業能力を明確にすることで、今後どのような方向性で就職するのかを考えていく礎となるツールになっています。
目的を簡潔にまとめると以下のような内容です
- 生涯を通じたキャリアプランの作成に活用
- 就職活動やキャリア形成に活用
- 訓練の受講に活用
- ジョブ・カードを活用した職業訓練
- ジョブ・カードを活用した職業能力の評価
詳細は以下を参考にしてください。
引用元:厚生労働省 ジョブ・カード制度総合サイト
平成27年10月の改正点
また平成27年10月から改正がありましたが、主な変更点は以下の通りです。
- 職業経験がない学卒者でも作成できるようになった
- 記載内容が充実し、様々な年齢層の方が活用できるような様式に変更された
詳細については以下を参考にしてみて下さい。
引用元:厚生労働省 報道発表資料2015年9月 「10月から新たなジョブ・カード制度が始まります」
ジョブ・カードのメリット・デメリット
ジョブ・カードのメリット
ジョブ・カードのメリットは以下の通りです。
- 職業能力や職業意識の整理
- 職業能力の開発の活用
- 自己PRポイントの明確化
- 専門実践教育訓練における活用
- 教育訓練における活用
職歴や職業能力、職業意識などを明確にすることで、キャリアプランニングや職業証明に役立つというのがジョブ・カードを作成することのメリットです。また、教育訓練を受ける際にその教育訓練の必要性を確認するために、ジョブ・カードの作成が必要な教育訓練もあります。対象者別の主なメリットは以下の通りです。
在職者のメリット
自分の職業能力を明確にするすることで今後のキャリア形成を考える際の材料になる
失業者のメリット
自己PRポイントの明確化により応募書類として活かせる
教育訓練を受ける人のメリット
訓練の成果を評価することで職業能力の証明になる
ジョブ・カードのデメリット
ジョブ・カードのデメリットは以下の通りです。
- 記入に手間がかかる
- 実際の応募書類として使える場合は少ない
- 職業訓練の受講手続きが複雑になる
ジョブ・カードは詳細を記入することで、自分のこれまでの職歴や強みなども明確になりますが、作成に時間がかかります。また、実際に企業に応募する際には別途履歴書や職務経歴書が必要にもなりますので、作成の手間が余計にかかってしまうことがデメリットです。ジョブ・カードの作成が受講の手続き過程で必須になっている職業訓練では、それだけ手続きも複雑になってしまっています。
ジョブ・カードの書き方
それでは実際のジョブ・カードの書き方の流れについてご説明していきましょう。
ジョブ・カードの作成方法は以下の3通りがあります。
- ジョブ・カード作成支援ソフトを使う
- 様式PDFを使って作成(印刷して手書きで作成)
- 様式Excelを使って作成(ソフトをインストールせずに自分のパソコンで作成できる)
ジョブ・カードの作成手順
順を追って説明していくと記入内容は以下の通りになります。
様式1-1キャリアプランシート(就業経験者用)
→自分の氏名、生年月日、性別、住所、連絡先
→キャリアプランに関する本人の記入欄
・作成日
・自分のこれまでの職歴に対する課題、身に付けたいスキル、自分の強み
弱点や克服のための課題、家庭環境などの仕事環境などについて
・最終的にどういうキャリアにしていきたいかなどについて
様式1-2キャリアプランシート(就業経験がない人、学卒者用)
→自分の氏名、生年月日、性別、住所、連絡先
→学校名、主な学習内容と関心を持った理由、学んだこと
→学校のキャリア教育で実施されるプログラムへの参加状況
→学校以外で学んだ学習歴、社会体験その他
→興味関心のあること、得意分野、将来取り組みたいこと、仕事で達成したい目標
様式2 職務経歴シート
・これまでの経験した会社すべての会社名と就業期間
・職務内容
・職務で学んだこと、得られた知識、技能等
・確認者の役職、氏名(在職中で会社が職務の内容について確認した場合のみ)
様式3-1 職業能力証明(免許・資格)シート
・取得している免許・資格の名称、取得時期
・認定機関の名称
・免許・資格の内容等
様式3-2職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート
・教育機関名
・学科(コース)名
・内容
※高校からの学歴について記入
※学歴だけでなく、教育訓練や職業訓練についても記入
様式3-3-1-1 職業能力証明(訓練成果・実務成果)
・訓練実施企業名、評価責任者名、印
・企業実習期間内用における職務内容
・職務遂行のための基本的能力についての自己評価、企業評価(ABCで評価)
・専門的事項に対する自己評価、企業評価(ABCで評価)
詳しい記入例はジョブ・カード制度 総合サイトの下部の方に記載があります。
引用元:厚生労働省 ジョブ・カード制度総合サイト
ジョブ・カードの講習
ジョブ・カードの講習とはジョブ・カードを作成する際のアドバイスなどを行うキャリアコンサルタントのための講習です。ジョブ・カード作成アドバイザーの養成を目的ともしており、キャリアコンサルティング編とジョブ・カード編に分かれています。詳細は以下の通りです。
キャリアコンサルティング編
キャリアコンサルティングの資格を持っていない人が対象
- キャリアコンサルティングの基礎知識
- キャリアコンサルティングのスキル
- ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング実習
ジョブ・カード編
ジョブ・カードに関する記載方法や雇用型訓練にかかる求人訓練に関する留意事項の取得が目的
- ジョブ・カード制度の概要・仕組み
- ジョブ・カードの活用方法
- ジョブ・カードの作成支援ポイント
まとめ
ジョブ・カードとは厚生労働省が作成を推進している以下のようなものです。
- 生涯を通じたキャリプランニングのツール
- 円滑な就職等のための職業能力証明のツール
具体的には以下のような内容で構成されています。
- キャリアプランシート(就業経験者と就業経験がない人専用に分かれている)
- 職務経歴シート
- 職業能力証明シート(学歴、訓練歴、訓練成果、実務成果について記入)
平成27年10月からは対象に未就業者も含まれ、フォーマットも見直されました。ジョブ・カードを使うことで、自分の職業の課題が明確になったり、今度のキャリアプランを考える上での材料になったり、応募書類に使える場合もあります。
また、特定の職業訓練を行う際にジョブ・カードの作成が必要な場合があり、訓練の必要性を明確にすることを可能にし、その成果の証明にも使うことができます。在職者、就職希望者のキャリアアップや多様な人材の円滑な就職などを促進するためのツールとなっています。
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