[従業員に教えたい] 損しない生命保険料控除の申告方法
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
年末調整業務の中で、よく目にする書類といえば保険料控除証明書でしょう。10月末から11月初旬にかけて、生命保険や医療保険、個人年金保険など、多種多様な控除証明書がみなさんの自宅にも届いているのではないでしょうか。
旧制度、新制度、一般、個人年金、介護など、生命保険料控除証明書には様々な文言の記載があり、一見複雑にも思えます。 今回は、平成24年より新制度に変更となった生命保険料控除について、よく出てくる疑問点を中心にみていきたいと思います。
こちらも参考にしてください
・『[年末調整]2016年(平成28年)分で気を付ける点のおさらい』
・『[年末調整 2016 チートシート]従業員への「扶養控除申請書」説明用』
生命保険料控除の区分とは?
生命保険料控除には3つの区分があります
- 一般の生命保険料控除
- 個人年金保険料控除
- 介護医療保険料控除
一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除は、契約年月日によって更に新制度と旧制度に分かれます。
- 【新制度】:平成24年1月1日以後に契約した保険契約
- 【旧制度】:平成23年12月31日以前に契約した保険契約
平成24年から、介護医療保険料控除の区分が設けられると共に、このような仕組みに変更になりました。
生命保険料控除の対象となる保険契約をまとめると5種類となります
- 旧制度:一般の生命保険料
- 新制度:一般の生命保険料
- 介護医療保険料
- 旧制度:個人年金保険料
- 新制度:個人年金保険料
この5区分については、生命保険料控除証明書に記載がありますので、よく確認しましょう。
生命保険料控除の上限とは?
必ずしも加入している保険契約のすべてを控除することができる、つまり、控除証明書の全部が控除できる、という訳ではありません。
生命保険料控除の3つの区分それぞれでも控除できる上限がありますし、区分を合計した生命保険料控除全体でも控除できる上限があります。
一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除の場合
- 旧制度の保険料のみ控除を受ける場合は最高5万円
- 新制度の保険料のみ又は旧制度・新制度の保険料を合わせて控除を受ける場合は最高4万円
介護医療保険料控除の場合
- 最高4万円
3つの区分を合計した生命保険料控除全体の上限
- 最高12万円
控除額の計算方法については、給与所得者の保険料控除申告書の生命保険料控除の欄に記載がありますので、そちらをご参照ください。
生命保険料控除でよくある疑問点
さて、ここまで生命保険料控除の概要についてみてきました。ここからは、年末調整の業務を進めていく中で、よく出てくる疑問点についてまとめてみますね。
迷った時に、ぜひご参照ください。
[speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”L1″ icon=”questioner.jpg” name=”あなた”]Q.結婚して名字が変わった従業員の生命保険料控除証明書が、旧姓のままです。このまま使えますか?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”R1″ icon=”answerer.jpg” name=”先生”]A.旧姓のままでも使用することができますが、事実確認のために、改姓が分かる戸籍謄本・抄本、住民票などの証明書も提出してもらいましょう。 または、保険会社に連絡してもらい、改姓の手続き後にもう一度新姓での生命保険料控除証明書を発行してもらうという方法もあります。[/speech_bubble][speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”L1″ icon=”questioner.jpg” name=”あなた”]Q.従業員の妻名義の生命保険契約について、従業員の所得から生命保険料控除できますか?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”R1″ icon=”answerer.jpg” name=”先生”]A.従業員の妻名義の生命保険契約であっても、従業員本人が保険料の支払いをしている場合でしたら控除できます。 ただし将来保険金を受け取る時に、課税関係が変わる場合がありますので注意が必要です。 例えば、妻が被保険者で夫が受取人の生命保険契約を、妻が自分で保険料の支払いをしていた場合には、将来夫が死亡保険金を受け取った時に相続税の課税対象となります。 しかし、この保険契約について、夫が保険料の支払いをしていた場合には、将来夫が死亡保険金を受け取った時に所得税の課税対象となります。 誰が保険料を支払っていたかで課税関係が変わりますので、念のため従業員に確認した方が良さそうですね。[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”L1″ icon=”questioner.jpg” name=”あなた”]Q.従業員が控除証明書を紛失したそうです。どのように対応すればいいですか?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”R1″ icon=”answerer.jpg” name=”先生”]A.旧制度の生命保険契約で、本年中に支払った保険料の金額の合計が9千円以下であれば、証明書の添付は必要ありません。 上記以外は証明書の添付が必要ですので、保険会社に連絡してもらい、再発行の手続きをお願いしましょう。[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”L1″ icon=”questioner.jpg” name=”あなた”]Q.控除証明書の再発行が年末調整までに間に合わないかもしれません。どのように対応すればいいですか?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”R1″ icon=”answerer.jpg” name=”先生”]A.間に合いそうになくても、必ず控除証明書の再発行の手続きをしてもらってください。 翌年1月末日までに控除証明書を提出することを条件に、生命保険料控除をして年末調整を行うことができます。[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”L1″ icon=”questioner.jpg” name=”あなた”]Q.控除証明書は、コピーを提出してもらってもいいのですか? 原本は、来年の確定申告で使いたいと言われてしまって・・・[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb-flat” subtype=”R1″ icon=”answerer.jpg” name=”先生”]A.年末調整で生命保険料控除をする場合には、必ず控除証明書の添付が必要です。 来年の確定申告では、生命保険料控除金額が記載された会社発行の源泉徴収票を添付すれば、特に生命保険料控除証明書の添付は必要ありません。[/speech_bubble]
まとめ
今回は、生命保険料控除の区分や上限などの基本的なところから、よく従業員から質問を受ける疑問点について、その対応をQ&A形式で見てきました。ここでは出てこなかった疑問点があれば、まずは国税庁のホームページのタックスアンサー(よくある税の質問)コーナーをご覧ください。または、お近くの税務署に電話することで、税の相談室につながり、直接相談することもできます。
ずれにしても、年末は年末調整関係のご質問で混み合うことが予想されるので、できれば早めに業務に取り掛かり、疑問点は早めに解消しておきたいですね。
こちらも参考にしてください
・『[年末調整]2016年(平成28年)分で気を付ける点のおさらい』
・『[年末調整 2016 チートシート]従業員への「扶養控除申請書」説明用』
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