休職の従業員が復職後また休職。期間はどう通算する?|契約解除0社労士・寺瀬学の「人事労務相談BEST5」 [第3回]

執筆: 寺瀬学

休職後に復職した場合「通算規定」をどう設定する?

みなさんこんにちは。S&Tプロフェッショナル社会保険労務士法人の寺瀬学です。
 
人事労務でご相談の多いトピックをご紹介するシリーズ。第3回目のトピックは「休職の通算規定」です。
 

契約解除0社労士・寺瀬学の「人事労務相談BEST5」目次

  1. 休職期間満了時に関する相談
  2. フレックスタイム制導入の相談
  3. 休職の従業員が復職後また休職。期間はどう通算する?
  4. 副業で働いた時間も通算?労基法38条との関係

 

休職の通算規定とは?

近年、メンタルヘルス疾患の会社員が右肩上がりに増えています。
 

厚生労働省の調査によれば、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヵ月以上休業又は退職した労働者がいる事業所の割合は8.1%(平成24年「労働者健康状況調査」)となっており、人事労務当者にとって、メンタルヘルス不調を訴える従業員への対応は避けて通れない課題となっています。
 

その対応に関して、必ず挙がるテーマとして休職の問題があります。すでに、本シリーズ第1回で休職期間満了時の対応について取り上げましたが、今回は復職後の対応について取り上げたいと思います。
 

一般にメンタルヘルス疾患は、病状が安定せず、完全に治癒することがなかなか難しいといわれています。そうした背景もあって次のようなご相談を多くいただきます。
 

「休職していた従業員が復職はしたものの、また会社を休みはじめてしまった。再度、休職を命じることを考えているが、その場合には一から休職させることになるのか。」
 

そもそも休職制度は、会社の規定(就業規則の定め)によるものですので、その会社の規定がどのようになっているかによるわけですが、会社によっては休職の通算規定をおいている場合があります。
 

規定例としては、以下のようなものです。
 

「復職後3ヵ月以内に同一または類似の傷病により欠勤し、または不完全な就労と認められる場合には、再休職を命じるものとし、復職前の休職期間と通算する」
 

この規定例では、2つの条件があります;

  1. 3ヵ月以内であること
  2. 復職前の傷病と同一または類似の傷病であること

この2つの条件を満たす場合には再休職扱いとし、復職前の休職期間と通算することとなります。
 

もし、この例のとおり通算規定が定められている会社ならば、2つの通算の条件を満たせば再休職扱いとなり休職期間も通算しますが、これらの条件を満たさないのであれば、新たな休職として取り扱う(休職期間もリセットする)必要があるわけです。
 

こうした通算規定をおくことは、メンタルヘルス疾患による休職者が増えている現状から、会社として無制限に休職を繰り返すことを防ぐ観点で有効な手立てといえます。
 

したがって、こうした通算規定がない会社に対しては、今後の対応として通算規定を新たに追加することをご提案しています。

通算規定を見直したいとの相談も

通算規定については、さらに次のような相談を受けることもあります。
 

 「当社の休職の通算規定では、①3ヵ月以内であって、②復職前の傷病と同一または類似の傷病であれば通算されることとなっている。しかし、先日の話だが、復職後しばらくは順調に勤務をしていたものの、3ヵ月を過ぎたころから不調を訴え、欠勤が続くため、休職を命じることになった。現行の通算規定では通算の条件を満たさず、再休職扱いとはならないため、休職期間も通算できずにリセットされて新たな休職を命じた。もし復職後、同じような状況になれば、また新たに休職を命じざるを得ず、休職を延々と繰り返すことになってしまう。通算規定を見直すことはできないのか。」
 

ご相談のケースは、①の条件が問題となっていますが、②の条件についても、別の傷病名で診断書の提出を受けた場合、それが類似の傷病にあたるのか会社として判断ができない、といった問題も考えられます。
 

ご相談の趣旨は、通算規定における通算条件を緩和して、再休職扱いの範囲を広げたいということになるわけですが、条件を見直す手立てとして、①および②の条件それぞれを次のように緩和し、これらを組み合わせることが考えられます。
 

  • ①の条件について:3ヵ月を超える期間で再設定する(例えば6ヵ月や1年)か、あるいは期間を設けない(=期限なく通算)とすること。
  • ②の条件について:同一または類似傷病に限定しない(=すべての傷病を対象)とすること。

 

私どもでは、実際にこうしたご要望がある場合には、会社の現状を踏まえつつ、通算条件をどのように設定するかをご提案します。
 

また、こうした通算規定を新たに設定したり、その通算の条件を緩和することは、従業員からすれば通算されることにより従来よりも休職が制限されることになるわけで、労働条件の不利益な変更にあたります。そのため、私どもはその必要性や代償措置等についても十分な検討を行うようにしています。
 

皆さまにおかれては、休職の通算規定について、その有無や通算条件についていま一度その内容を確認してみることをおすすめいたします。
 

それでは、次回またお会いしましょう。
 

契約解除0社労士・寺瀬学の「人事労務相談BEST5」目次

  1. 休職期間満了時に関する相談
  2. フレックスタイム制導入の相談
  3. 休職の従業員が復職後また休職。期間はどう通算する?
  4. 副業で働いた時間も通算?労基法38条との関係

 

Profile

寺瀬学
寺瀬学
S&Tプロフェッショナル社会保険労務士法人・代表社員
1999年東京大学理学部卒。日商岩井㈱(現双日)、㈱ヒューマンテック経営研究所(社会保険労務士法人併設)を経て、2015年3月に当法人を設立。著書に「さまざまジョブリターン制度」(経営書院刊「進化する柔軟な雇用管理システム」所収)、「単身赴任の対応と支援策」(経営書院刊「人事異動・転勤支援ハンドブック」所収)ほか。