従業員の退職後(最終出社日以降)に送付する書類一覧
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
従業員退職後に、従業員に送付する書類には以下の様なものがあります。送付する意味を正しく理解し、期日があるものは期日に注意し、早め早めの手続きを心がけましょう。
源泉徴収票
引用元:国税庁
従業員が再就職した場合、就職先の会社に提出し、年末調整で両社からもらった給料を合算し、源泉徴収税等を精算するのに使用します。年末にまとめて退職者の分の源泉徴収票の発行を行おうとすると、従業員が再就職先への源泉徴収票の提出が遅れ年末調整に間に合わなくなってしまうので、退職者への最後の給与支払いの処理が終わったら直ぐに作成し送付します。従業員が個人事業主となったり、退職した年に再就職しなかった場合にも、確定申告で源泉徴収税の精算のために必要となりますので、必ず作成し送付します。
健康保険・厚生年金被保険者資格喪失証明書
従業員が退職後、国民健康保険に加入する際に必要です。また、これまでの会社で手続きし使用していた健康保険証は退職日までしか使用できないため、通院している人や急な罹患等のため病院に行く必要ができた場合等、健康保険証はすぐに必要な人が多いです。退職後の喪失手続きができていないと、次の健康保険証の発行が滞り病院へ行けないなどのトラブルになる可能性がありますので喪失の手続きは、従業員の退職後、速やかに行います。これまで使用していた健康保険証の返却は喪失手続きと同時でなくても手続きはできます。健康保険厚生年金保険被保険者資格喪失届を年金事務所に提出し、証明書発行依頼を行うと喪失証明書は即時受け取ることができます。なお、証明書自体は会社独自に作成しても構いません。
退職証明書
退職証明書は従業員が退職後に、再就職先から提出を求められる場合があります。また、従業員が家族の健康保険被扶養者になる際に必要となる場合があります。退職証明書の記載内容は基本的には退職日、退職理由、退職時の役職、退職時の給与等となります。記載内容は離職票と似ていますが、提出先や利用目的も異なり任意の書類となります。書式は、特に定められていませんので、従業員が提出先する再就職先の希望記載内容に沿ったのもとすることもできます。その度に書式を作成するのは煩雑なので発行依頼に備えて会社独自に作成しておくと便利です。なお、退職証明書に記載された退職理由等が再就職先において重要な項目となってくる場合がありますので、証明書記載内容については慎重に手続きをすすめます。
離職票
従業員が退職する際、ハローワークに雇用保険の資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書(3枚複写で3枚目が離職票―2)を提出すると、それをもとにハローワークから新たに離職票―1が発行され、離職票―1、2が会社に後日郵送されてきます。離職票-2は退職した従業員がハローワークで基本手当(失業給付)をもらう時などに必要となる書類です。再就職先が決まっているなど、従業員が離職票を希望しない場合は、雇用保険離職証明書の提出は省略することができます。ただし、再就職先をすぐに辞めるなどで、後日請求がある場合もあるので、希望しないことが明らかな場合以外は一度に手続きしておく方が事務処理的にはスムーズです。なお、離職の日において満59歳以上の従業員については本人の希望の有無に関わらず、雇用保険被保険者離職証明書を提出しなければなりません。受取までに10日前後かかるといわれています。失業給付は直ぐに手続きしたい退職者が多いので、退職後は速やかにハローワークへ手続きをし、本人へ郵送します。
厚生年金基金加入員証
会社が厚生年金基金に加入している場合、入社後、従業員が加入員になってすぐに本人に加入員証が送付される場合や、退職時に送付される場合があります。厚生年金基金が会社単独で設立されている場合は、基金から会社経由で送付されることもあるかもしれませんが、基本的には厚生年金基金は会社とは別の法人となりますので、加入員証は基金から本人へ直接送付されることもあります。厚生年金基金の担当者に送付方法等を確認し連携して従業員へ周知します。加えて加入員期間が長期間あり従業員については年金として受け取る場合の厚生年金基金への手続き方法の案内も同封すると親切です。また、加入員期間が短期間だった場合、一時金として受け取る場合や、企業年金連合会へ移管する場合など、会社への手続きとは別に厚生年金基金に対し手続きが必要となります、手続き期間に期限がありますので、会社が加入している基金に必ず確認し、必要な手続きをまとめて従業員へ周知します。
年金手帳、雇用保険被保険者証
入社時に従業員から預かったまま返却していない場合は、返却します。雇用保険被保険者証は従業員がハローワークに提出する離職票と合わせて返却すると整理しやすいです。従業員から預かったままの年金手帳には基礎年金番号通知等がそのまま挟まれている場合があります。紛失や返却漏れのないように注意が必要です。※ 入社時には年金の基礎番号と、「雇用保険 被保険者番号」を知るために、年金手帳と雇用保険被保険者証を一時的に提出してもらう場合が多いですが、従業員からメールで番号だけ知らせてもらう方がスマートです。
まとめ
従業員の退職後に送付する書類は事前に返却の準備ができるものと、手続きが必要なものとがあります。事前に準備できるものとしては年金手帳や雇用保険被保険者証がありますが、入社時に預かっていた場合は、あらかじめ返却の準備をしておきます。手続きが必要な書類は、提出場所によって整理します。ハローワークは資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書を提出し離職票が戻ってくるのを待ちます。年金事務所には健康保険厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出し健康保険厚生年金保険被保険者資格喪失証明書を受け取ります。源泉徴収票の作成も最後の給与の支払い手続きが済んだら直ぐに作成します。退職する従業員の再就職や新しい健康保険証の交付、失業給付の手続き等がスムーズにいくように、退職に関する手続きは速やかに行うと無用なトラブルも避けられます。
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