企業内でマイナンバーの記入が必要な書類まとめ
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
平成27年10月より、マイナンバーの通知が開始されました。そして、平成28年1月より、社会保障、税、災害対策の分野に限りマイナンバーの利用が始まっています。
マイナンバーの取り扱いについては、内閣官房をはじめ各省庁、個人情報保護委員会等のホームページにおいて情報提供されていますが、情報量が膨大で何に注意したらよいか分かりづらかったり、必要な情報を得るのに時間がかかったりしますよね。
ここでは、事業者が従業員からマイナンバーを収集する時の注意点や、マイナンバーを記入する書類についてまとめたいと思います。
マイナンバー記入が必要な雇用保険の書類一覧
①雇用保険被保険者資格取得届 ②雇用保険被保険者資格喪失届 ③高年齢雇用継続給付受給資格確認票・高年齢雇用継続給付支給申請書(初回のみ) ④育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書(初回のみ) ⑤介護休業給付金支給申請書
一番初めにマイナンバーを記入する場面に直面するのは、雇用保険関係、社会保険関係の業務であることが多いと思います。
上記の書類には原則的に、平成28年1月よりマイナンバーの記入が必要になっています。
マイナンバー記入が必要な社会保険の書類一覧
①健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 ②健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 ③労災年金の請求書(※) ④健康保険被扶養者(異動)届 ⑤国民年金第3号被保険者関係届
※原則として請求する本人が直接請求書を記入するが、本人から委託を受けて事業者が請求書の作成・提出を行うこともできる。
日本年金機構へ提出する健康保険・厚生年金関係の書類については、現時点で記入開始時
期は未定となっています。
マイナンバー記入が必要な年末調整の書類一覧
①給与所得の源泉徴収票(税務署提出用のみ) ②給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 ③従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書 ④給与支払報告書・個別明細書
※②、③については、平成29年以降、一定の事項が記載された帳簿を備えておくことにより、マイナンバーを記入する必要がないという特例が適用されます。
マイナンバー記入が必要なそのほかの書類一覧
①所得税・消費税・贈与税・相続税等の申告書 ②報酬等に係る支払調書(税務署提出用のみ) ③退職所得の受給に関する申告書 など
※③については、平成29年以降、一定の事項が記載された帳簿を備えておくことにより、マイナンバーを記入する必要がないという特例が適用されます。
これらの書類は、平成28年1月1日以降の課税期間又は支払に関するものから、記載することになりますので、③を除き、多くは平成29年1月1日以降の提出分からマイナンバーの記載が必要になります。
国税関係の書類は種類が多く、マイナンバーの記入の必要がない書類は国税庁のホームページで公表されていますので、必要な時にご参照頂くのが良いと思います。
まとめ
このように、平成28年1月よりマイナンバーの記入が始まった書類や、これから記入が始まる書類があります。
まだ従業員からマイナンバーを収集していないという事業者の方は、従業員の退職時などに慌てないように、なるべく早く収集された方が良いと思います。
以下、マイナンバーを取り扱う際の注意点をまとめます。
①マイナンバーや本人確認に使用した複写の書類については、速やかに破棄する。
保存しておくと、それだけで情報漏えいのリスクが高くなることになります。マイナンバーや本人確認が終了し、必要がなくなった場合には、速やかに破棄することをおすすめします。
②マイナンバーの収集を拒否された場合には、収集する努力をした記録を残しておく。
マイナンバーの記載がないと書類を受け付けてもらえないという訳ではないようです。しかし、マイナンバーを収集し、書類に記載し、提出することは事業者の義務ですので、あらそいを避けるためにも、収集する努力はしたが、協力が得られなかったという記録は残しておいた方が良いと思います。
③利用目的を超えてマイナンバーを利用しない。
マイナンバーは、利用目的が限定されています。簡単にいえば、社会保障、税、災害対策の目的以外では本人の同意があったとしても利用できないことになっています。
例えば、マイナンバーを社員番号として管理することも利用目的外になってしまいますので、できません。
④マイナンバーやその関連情報の管理には安全管理措置を講じる必要がある。
情報が漏えいしないように、マイナンバーが記載された書類やデータなどは、安全管理措置を講じる必要があります。
例えば、書類については鍵付のキャビネットに保管したり、データが入っているパソコンはウィルス対策・不正アクセス防止対策を講じたりすることです。
事業者の規模に応じて、できる対策を検討し、行うということで良いと思います。
その他、業務を進めていく中で疑問点や不安が出てくることがあるかもしれません。そんな場合は、厚生労働省や国税庁のホームページにマイナンバーコーナーがあり、Q&Aが掲載されています。個人情報保護委員会のホームページには、ガイドラインやヒヤリハット情報も掲載されていますので、そちらをご参考にしてみてください。
また、雇用保険・社会保険関係は社会保険労務士に、税関係は税理士に相談されるのも良いと思いますよ。
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