女98.7%、男12.33%!育休取得率が一番高いのはあの業界。

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

男性育児休暇

厚生労働省は、平成28年(2016年)の「育児休業取得者割合」の調査結果を公表しました。

この記事では、産業別、企業規模別、育児休業制度の規定の有無別に、育児休業取得者割合がどう変化するか見ていきます。

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取得者の割合(全体)

育児休業取得者の割合は、女性:81.8%(対前年度比 0.3ポイント上昇)、男性:3.16%(対前年度比 0.51ポイント上昇)でした。

平成8年(1996年)度からの推移は、以下の通りです。

調査年女性取得率男性取得率
平成8年度49.1%0.12%
平成11年度56.4%0.42%
平成14年度64.0%0.33%
平成16年度70.6%0.56%
平成17年度72.3%0.50%
平成19年度89.7%1.56%
平成20年度90.6%1.23%
平成21年度85.6%1.72%
平成22年度83.7%1.38%
平成23年度[87.8]%[2.63]%
平成24年度83.6%1.89%
平成25年度83.0%2.03%
平成26年度86.6%2.30%
平成27年度81.5%2.65%
平成28年度81.8%3.16%

平成23年度の[ ]内の比率は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果です。

産業別・育児休業取得率(女性)

女性の育児休業取得率が最も高いのは、金融業,保険業の、98.7%です。最下位の製造業(62.0%)と比較すると、実に36.7%の開きがあります。

金融業,保険業の後に続くのは、情報通信業(97.7%)、電気・ガス・熱供給・水道業(96.0%)となります。

順位産業名取得率
金融業,保険業98.7%
情報通信業97.7%
電気・ガス・熱供給・水道業96.0%
学術研究,専門・技術サービス業92.2%
運輸業,郵便業91.8%
医療,福祉89.3%
生活関連サービス業,娯楽業87.2%
教育,学習支援業84.4%
不動産業,物品賃貸業82.3%
10建設業81.4%
11複合サービス事業80.6%
12卸売業,小売業79.4%
13鉱業,採石業,砂利採取業78.1%
14サービス業(他に分類されないもの)77.3%
15宿泊業,飲食サービス業68.1%
16製造業62.0%

産業別・育児休業取得率(男性)

男性も、育児休業取得率が最も高いのは、金融業,保険業で、12.33%です。最下位の複合サービス事業(0.48%)と比較すると、実に11.85%の開きがあります。

金融業,保険業の後に続くのは、情報通信業(6.01%)、学術研究,専門・技術サービス業(5.65%)となりますが、金融業,保険業に比べると取得率はその約1/2にまで激減します。

女性の取得率が高かった電気・ガス・熱供給・水道業は、男性の場合0.89%で14位です。

順位産業名取得率
金融業,保険業12.33%
情報通信業6.01%
学術研究,専門・技術サービス業5.65%
医療,福祉5.62%
生活関連サービス業,娯楽業4.45%
運輸業,郵便業3.56%
建設業3.18%
製造業2.48%
卸売業,小売業2.20%
10宿泊業,飲食サービス業1.38%
11不動産業,物品賃貸業1.17%
12鉱業,採石業,砂利採取業1.14%
13教育,学習支援業1.11%
14電気・ガス・熱供給・水道業0.89%
15サービス業(他に分類されないもの)0.67%
16複合サービス事業0.48%

企業規模別・育児休業取得率

企業規模で比較した場合、企業規模が大きくなるに従って女性の取得率は高くなっています。

一方、男性の取得率は100〜499人規模の企業が最も高い取得率となりました。

従業員数女性取得率男性取得率
500人以上95.0%2.98%
100~499人92.7%3.95%
30~99人87.2%3.22%
5~29人68.9%2.75%
30人以上(再掲)91.1%3.39%

育児休業制度の規定の有無別・育児休業取得率

育児休業制度の規定の有無により、男女とも取得率に大きな差が出ています。

育児休業制度の規定の有無女性取得率男性取得率
あり86.9%3.30%
なし33.0%1.85%

調査の概要

  • 調査時期:平成28年(2016年)10月1日現在の状況を、10月1日〜10月31日の間に調査
  • 調査対象数:6,092事業所(有効回答数:4,213事業所、有効回答率:69.2%)
  • 調査方法:郵送でり調査票を配布・回収

まとめ

育児休業取得率は、女性の場合81.8%と高い取得率となっています。

一方、男性の場合3.16%と取得率は大変低くなっています。(※スウェーデンの場合、男性の取得率が85%)。

産業別では、金融業,保険業の高い取得率(女性:98.7%・男性:12.33%)が際立っています。取得しやすい環境づくりについて、他の業界も学べる点があるかと思いますので、これからの記事で金融業や保険業の各社の取り組みについてご紹介できればと思います。

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