[2017年度版]ユニークな勤務制度が魅力の海外企業

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

勤務制度と言えば、フレックスや時短、在宅など、働く時間や場所にかかわるものが思い浮かびます。

働く時間・場所の多様性はもちろん、ユニークな勤務スタイルを取り入れている企業が海外にはたくさんあります。今回はアメリカの8つの企業を紹介しましょう。

 

働く時間・場所に対する柔軟性

同じ時間にオフィスに出勤し、同じ時間に昼食をとる…。従業員それぞれの事情と画一的なタイムスケジュールとの間には、しばしば衝突が起こります。働く人それぞれの事情に合わせて企業がフレキシブルに対応している企業を取り上げます。

Automattic「デスク代に書籍代…在宅勤務の必要経費が出る」

Webサイトの知識がなくても手軽に制作できるサービス、WordPress.comを運営するAutomatticでは、在宅勤務のための補助金が支給されます。家で仕事をするための机や椅子の費用、カフェの席で仕事をしたときのコーヒー代、仕事に必要なソフトウェアや書籍など、在宅勤務にもさまざまな費用がかかりますよね。ちなみに同社の従業員は世界中に散らばっており、全員が集まるのは年に1度だけだそうです。

参考URL:https://automattic.com/work-with-us/

USAA「好きな時間に好きなことを」

軍人とその家族を対象とした金融・保険会社のUSAAは、従業員のワーク・ライフ・バランスを大切にしている企業です。従業員は24時間いつでも自由な時間に、家族で食事をしたり、病院に行ったり、子どもの授業参観に行くなど、プライベートの予定や用事を入れることができます。しかも、その時間は有給扱いになります。

参考URL:https://www.usaa.com

アウトドア系ノリのすごい決まり

アウトドア系用品メーカーのノリはとにかくアクティブ。しかし、遊びに夢中になるには当然、仕事への集中度も問われます。文字通り「よく遊び、よく学べ」な2社をご紹介。

BURTON「60㎝以上の雪が降ったら会社はお休み」

スノーボード用品メーカーのBURTONでは、積雪が2フィート(60㎝)を超えるとオフィスを閉めてしまいます。それは、社員がスノーボードへ行くからです。ほかにも全社員にスキー場のシーズンパスが支給されるなど、スノーボーダー垂涎の職場です。

参考URL:https://www.burton.com/blogs/the-burton-blog/innovation-leadership-and-fun-these-are-burtons-core-values/

Patagonia「いい波が来たら、いつでもサーフィンに行ってもいい」

カリフォルニアにあるアウトドア用品のメーカー。日本でもおなじみのブランドです。ここには「いい波が来たら、いつでもサーフィンに出かけていい」という非公式ルールが社内にあります。創業者のイヴォン・シュイナードいわく「いい波が来たら、上司にお伺いを立てなくてもサーフィンに行けばいい。遅れた仕事については、その後取り戻せばいい。そういった責任感と自分で判断する力をつけてほしい」とのこと。

参考URL:http://www.alterna.co.jp/385
社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論』イヴォン・シュイナード

創業者の個性が感じられるワークスタイル

企業カラーや創業者の考えや色濃く反映されている、独特な制度の数々。単なる福利厚生ではなく、「自分の会社はこうありたい、この考えを共有できる人と一緒に働きたい」というメッセージ性を感じますね。

Zappos「3000ドルの入社辞退金を支給!?」

靴やアパレルのネット通販事業を手がけるZappos。従業員が入社後1週間経ったとき、「この会社と自分の価値観が合わない」と判断して退職を決意した場合には、3000ドルを支給するという取り決めがあります。従業員と企業が“コアバリュー”=企業文化を共有しなければ、会社は成り立たないという強いメッセージが込められています。

参考URL: https://www.thebalance.com/zappos-company-culture-1918813

LinkedIn「テーマにそって興味や創造性を伸ばすIn Day」

ビジネス用に特化したSNSを運営するLinkedInは、毎月第1金曜日を“InDay”の日と決めています。“InDay”は、あるテーマにそって、従業員が自分の興味や創造性を追求するための日です。たとえば「遊び」「恩返し」「健康」といったテーマを設定し、世界中の各オフィスでさまざまなイベントを行っています。

参考URL:https://blog.linkedin.com/2015/07/29/inday-investing-in-our-employees-so-they-can-invest-in-themselves

うれしい!助かる! 従業員の心をつかむ制度

「ここで長く働こう」と従業員が思えるような、うれしい制度もあります。従業員のモチベーション維持は、国を問わず企業の大きな課題ですね。

Sweetgreen「勤続年数に比例して色が濃くなるTシャツ」

サラダやフローズンヨーグルトを販売するSweetgreenの従業員には、無料でTシャツが支給されます。長く勤めれば勤めるほど、Tシャツの色が濃くなっていく仕組みです。また、1年間勤めるとグリーンのコンバースのハイカットスニーカー、2年間勤めるとグリーンのiPadももらえます。

参考URL:http://mashable.com/2011/08/07/startup-employee-perks/#fGCETCb2skqO

nVIDIA「学生ローンの返済補助制度」

コンピュータグラフィックスをメインとしたCPUの開発・販売を手がけるnVIDIAでは、週20時間以上働くフルタイム、またはパートタイムの従業員に対し、卒業後3年以内の学生ローン返済に補助を出しています。一人当たりの上限は3万ドル。年間で6000ドルの補助を申請することができるので、最大5年間の返済補助が受けられることになりますね。

参考URL:http://www.nvidiabenefits.com/take-action/save-money/student-loan-repayment-program

まとめ

以上、さまざまな勤務制度をご紹介しました。従業員に何を期待するのか。従業員が気持ちよく働けるにはどうすればいいか。各企業とも、パフォーマンスとしての制度づくりではなく、自社の企業風土と照らし合わせて矛盾のない制度作りに取り組んでいる様子がわかります。従業員のモチベーションや仕事の能率を向上させるため、さまざまな制度を考えるわけですが、ひいては企業風土を考えるきっかけにもなると思います。