法人番号の基礎知識 [ 2017年度版 ]
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
法定調書の合計表、消費税や地方消費税の確定申告、法人税の申告書等、年度末、決算期になってくると色々な申告書の作成に追われますね。そこで、はたと気づいて慌てるのが法人番号記載欄です。法人番号って何だったかな。どうやって手に入れるの?今回は、そんな法人番号についてご説明します。
法人番号とは
法人番号は13桁
法人には、1法人に1つの法人番号が指定され、登記上の所在地に通知されます。
番号は1桁(検査用数字、チェックデジット)と12桁の13桁で構成されています。
また、国税庁の法人番号公表サイトを通じて公表されていますので、インターネットによる検索で誰でも自由に閲覧できます。申告書類に取引先の法人番号等を記載しなければならない場合等でも、お伺いする手間や時間も省けて簡単に確認でき大変便利です。
法人番号で公表される基本情報は3つ
- 商号又は名称
- 本店又は主たる事務所の所在地
- 法人番号
法人番号が作られた目的は4つ
- 行政の効率化: これまで、税務署(国税)と市区町村の役所等、各行政機関によってバラバラに管理されていた法人の番号を統一することにより、行政機関を横断した情報管理の効率化が図られます。これにより法人情報の授受や照合がスムーズに行われるようになります。
- 国民の利便性の向上: 行政機関間での情報連携が図られるため、添付書類の削減など、各種申請等の手続を簡素化されます。また、法人等についても行政手続における届出・申請等のワンストップ化が実現すれば、手続きの負担が軽減します。
- 公平・公正な社会の実現: 法人や団体の情報が統一的に管理されることにより、正直者が馬鹿をみるといった税逃れの防止や反対に適切な社会保障を受けることができるようになる等、給付と負担が公平・公正なものとなります。
- 新たな価値の創出: 基本3情報をデータでダウンロードできるようになったことで、これまで法務局等に出向いたり、個別にインターネットで検索したりして収集していた新規法人等の情報取得が容易になりました。この情報を活用した、新規開拓・取引先の把握等が期待されています。また、企業内において各部署で別々に管理していた取引先企業の情報を、法人番号で紐づけることで、管理が容易になります。税務署から企業の所在地情報を自動転記するシステムを利用すれば、取引先企業情報の誤入力が防げます。
法人番号がない会社がある
どの会社にも法人番号は指定されるのでしょうか。自分の会社には何の通知もないという会社もあるかもしれませんね。法人番号の指定方法について確認しましょう。
自動的に法人番号を指定される法人
次の法人については、届出等の手続きをしなくても、自動的に法人番号が指定されます。
- 会社法その他の法令の規定により設立の登記をした法人(設立登記法人)
- 国の機関
- 地方公共団体
- 上記以外の法人又は人格のない社団等であって、法人税・消費税の申告納税義務又は給与等に係る所得税の源泉徴収義務を有することとなる団体
指定を受けるために、届出が必要な法人
個別法令で設立された国内に本店を有する法人や国税に関する法律に基づき税務署長等に申告書・届出書等の書類を提出する団体などの以下にある様な一定の要件に該当するものは届出によって指定をうけることができます。
- 国内法の規定に基づき成立したが設立の登記を行わない法人: 法人税・消費税の申告納税義務又は給与等に係る所得税の源泉徴収義務がない土地改良区等の公共法人や、親会社から社員を派遣されている健康保険組合等の公益法人など
- 国税に関する法律に基づき税務署長等に申告書・届出書等の書類を提出する団体又はこれらの書類の提出者から当該書類に記載するため必要があるとして法人番号の提供を求められる団体: ボランティアで運営する人格のない社団等が、出版物を発行する際に、原稿料やデザイン料を支払う場合に報酬等の支払調書の提出義務者となるケースなど
法人番号が指定されない場合
- 法人の支店や事業所等
- 個人事業者
外国法人についての考え方
法人番号は、会社法その他法令の規定により設立の登記をした法人(設立登記法人)について指定されます。
つまり、外国に本店がある場合は、設立登記法人ではないという判断がされ、国内事務所の支店登記だけでは法人番号が指定されません。
外国法人の場合は、下記の1、もしくは2の手続をすることで法人番号の指定を受けられます。
- 税務署に給与等の支払をする事務所の開設等の届出書、内国普通法人等の設立の届出書、外国普通法人となった旨の届出書、収益事業開始の届出書又は消費税課税事業者届出書を提出している場合
- 1以外の外国法人で、一定の要件に該当し、国税庁長官に届出をした場合
- 参考『国税庁・法人番号に関するFAQ』
法人番号を検索するには
法人番号はどうやって検索すればよいのでしょうか?代表的な検索サイトをご紹介します。
国税庁 法人番号検索サイト
国税庁が管理・運営しているサイトです。単純に基本3情報を検索することもできますし、都道府県別の情報や、全国の新規追加、商号・所在地の変更情報のダウンロード等、目的別に情報取得できるサイトです。2017年4月下旬には、英語版の公開も開始されました。
Gozal 会社ナビ
株式会社BECが管理・運営しているサイトです。国税庁のデータベースから情報を取得しているため、信頼性が高く国内全法人の最新情報を配信しています。会社設立年月日でも検索できる点が便利です。法人番号・商号・所在地の基本3情報だけでなく、地図データも載っているため営業活動など様々な使い道ができるサイトになっています。
法人番号とマイナンバーの違いは?
法人番号は誰でも利用できる
ここまで法人番号のご説明をしてきましたが、ナイナンバーと法人番号はどう違うのでしょうか?
マイナンバーは個人に対し付される番号ですが、法人番号はその名のとおり、法人に付されるマイナンバーの法人版です。最も異なる点は、マイナンバーについては利用範囲の制限等があり取扱いが厳重ですが、法人番号は利用範囲の制限がないということ、誰でも利用できるのが特徴です。
法人番号はいつから使うの?
それでは、実際に申告書へ法人番号を記載するのはいつからでしょうか。主なものを確認しましょう。
申告書への記載はいつから
- 法人税:平成28年1月1日以降に開始する事業年度に関する申告書から
- 消費税:平成28年1月1日以降に開始する課税期間に係る申告書から
- 法定調書:平成28年1月1日以降の金銭等に係る法定調書から
税務署に提出する義務がある申告書については法人番号もマイナンバーも記載します。
源泉徴収票や、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書、不動産の使用料等の支払調書、不動産の譲受の対価の支払調書等、相手方が個人の場合はマイナンバー、法人の場合は法人番号を記載したものを税務署へ提出する必要があります。
個人へ交付する義務のある源泉徴収票や支払通知等は注意!
ここで注意が必要なのは個人に対して交付する義務がある源泉徴収票や支払通知等についてです。こちらは逆にマイナンバーも支払者の法人番号も記載しません。税務署提出用と個人への交付用とが異なると少しややこしいですが、違うと覚えてしまえば楽ですね。
まとめ
マイナンバーや法人番号など、番号制度の導入で申告書類の作成にも事前の準備が必要になっています。導入当初は作業が増え大変ですが一度登録すると、2年目からは少し楽になるのではないでしょうか。法人番号は誰でも検索できる仕組みとなっていますので、申告書類用だけでなく、会社での顧客整理や営業活動に利用すると活用範囲も広がりますね。
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