勤務時間を正しく計算する方法を解説!労働時間との違いや管理方法はコレ!
執筆: Saas辞典編集部 | |
このようなお悩みはありませんか?
勤務時間を正確に計算するためには、労働時間に関する法律の把握や定義について理解する必要があります。
また、勤務時間の計算は従業員の給与の支払いにも直結するため、労働時間を管理するうえでもとても重要です。
この記事では、勤務時間の計算方法と行う上での注意点、勤務時間を管理するための手段について説明していきます。
さらに、フレックスタイム制やみなし労働制などの多様な労働形態における勤務時間の計算方法についても紹介します。
ぜひ参考にしてください。
- おすすめの勤怠管理システムは 「ジンジャー(jinjer)勤怠」 !
- 労働時間とは勤務時間から休憩時間を引いた時間
- 勤務時間を計算する方法は原則として1分単位で計算する
- さまざまな労働形態における、勤務時間はその制度を理解して対応する
- 勤務時間を管理するなら勤怠管理なら勤怠管理システムがおすすめ!
勤務時間と労働時間の違い
まず初めに、「勤務時間」と「労働時間」の違いについて理解しましょう。
- 勤務時間:始業時間から終業時間までの時間
- 労働時間:勤務時間から休憩時間を引いた時間
同じように使われることもありますが、このような違いがあります。
簡単に言うと、 勤務時間のうち実際に就業した時間が労働時間で、休憩時間を含めるかで違いが生まれると考えるとわかりやすいです。
また、労働時間は別名「実働時間」とも言います。
例えば、始業が9時、終業が18時、休憩が1時間だった場合は以下のようになります。
- 勤務時間=9時間(9時~18時)
- 労働時間=8時間(9(勤務時間)-1(休憩時間)
意外と間違えてしまうこともあるので注意しましょう。
労働時間の計算するときの注意点
労働時間を計算するときには、労働時間に関する法律の把握や定義についてしっかりと理解しなければなりません。
ここでは労働時間を計算する上で注意すべき点を6つ紹介します。
これらを守らないと正確な労働時間を算出できず、給与計算が適切に行われない可能性があるので、とても大切です。
原則として1分単位で計算する
労働時間を計算するときには、 原則として「労働時間は1分単位で計算する」ことを絶対に覚えておいてください。
労働基準法第24条※で「賃金全額払いの原則」が定められており、賃金の全額支払いが義務付けられています。
※出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/joken_kankyou_rule.html
つまり、労働時間を10分や30分単位で計算することはこの法律に違反します。
30万円以下の罰金という刑事罰も設けられており、労働基準監督署から勧告や従業員とのトラブルに発展しかねないので、十分な注意が必要です。
ただし、 例外として1ヶ月における時間外労働・休日労働・深夜労働の時間を計算するときには端数処理が認められています。
具体的には、1ヶ月の上記労働時間を計算するときに端数が出た場合は、30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げて処理が可能です。
- 1ヶ月の時間外労働が5時間10分 → 10分を切り捨て5時間の割増計算
- 1ヶ月の時間外労働が5時間40分 → 40分を切り上げ6時間の割増計算
このように計算できます。
なお、端数処理を行う場合は従業員にも知ってもらうために就業規則などに明記するのがおすすめです。
労働時間に応じて休憩時間を与える
休憩時間に関する理解も労働時間を計算する上で必要です。
休憩時間は労働基準法第34条で以下のように定められています。
- 労働時間が6時間以下のとき休憩時間は不要
- 労働時間が6時間以上8時間以下のとき休憩時間は45分以上
- 労働時間が8時間以上のとき休憩時間は1時間以上
なお、休憩時間は労働時間の途中で与えることが定められているため、 始業前や終業後の休憩時間は認められません。
また、休憩時間に対して賃金の支払いは一般的には不要です。
遅刻や早退などの場合は労働時間から差し引く
1ヶ月の間に従業員が遅刻や早退、欠勤などがあった場合は、労働時間からそれらの時間を差し引く必要があります。
労働時間と同じく遅刻早退の時間に関しても1分単位で計算しなければなりません。
例えば、8分の遅刻を10分に繰り上げて処理することはできないので注意してください。
なお、遅刻早退欠勤などによって労働していない時間の給与は支払う必要がありません。
36協定の締結する
労働時間は「所定労働時間」と「法定労働時間」の2つに分けることができます。
- 所定労働時間:各企業が定めている労働時間(法定労働時間内で設定が可能)
- 法定労働時間:労働基準法で定められている労働時間(1日8時間、週40時間以内)
労働基準法によって、 労働の上限が「1日8時間、週40時間以内」に定められています。
そのため、各企業が従業員に法定労働時間以上の労働をさせる場合は「36協定」を締結しなければなりません。
36協定とは、従業員に法定労働時間を超えて時間外や休日労働をさせる場合に労使間で締結の必要がある協定です。
簡単に言えば、36協定を締結しないと残業(時間外労働)をさせることができないということです。
また、36協定を締結すれば時間外労働が可能になりますが、「月45時間/年360時間まで」と定められているので注意してください。
割増賃金の支払いと割増率を理解する
法定労働時間を超過した場合は、割増賃金の支払いが必要です。
割増賃金は種類によって割増率が異なるので、それぞれをしっかり理解して計算するようにしましょう。
- 時間外労働:法定労働時間を超えた労働(残業時間)/割増率25%
- 深夜労働:22時~5時までの間の労働/割増率25%
- 休日労働:法定休日(法律で義務付けられた休日)における労働/割増率35%
残業時間の扱いに要注意
時間外労働(残業)をしたときには割増賃金の支払いが必要でした。
このとき、注意しなければならないのは 「時間外労働」をした場合に割増賃金が発生するということです。
例えば、所定労働時間(定時)が9時~17時の7時間で19時まで2時間の時間外労働(残業)したときは
- 17時~18時:所定賃金の支払い(割増なし)
- 18時~19時:割増賃金の支払い(割増率25%)
このようになります。
時間外労働(残業)の計算によって支払う給与が大きく変わるので、特に法定労働時間を8時間以下にしている企業は注意しましょう。
勤務時間の基本的な計算方法
ここまで勤務時間の計算における注意点を説明してきました。
次に実際に具体的例を挙げて基本的な勤怠時間の計算方法を紹介していきます。
ぜひ参考にしてください。
ケース1:所定労働時間8時間、9:00~19:00勤務(休憩1時間)
- 勤務時間:10時間(19:00―9:00)
- 労働時間:9時間(10時間(勤務時間)―1時間(休憩時間)
- 所定労働時間:8時間
- 法定外労働(残業)時間:1時間(割増賃金)
勤務時間は始業の9時から終業の19時までの10時間になります。
労働時間は、1時間の休憩時間を与えられているので9時間と計算できます。
そして、1日の法定労働時間は8時間以内と定められているので、18時~19時は法定外労働となり割増賃金(割増率25%)を支払う必要があります。
ケース2:所定労働時間6時間、9:00~19:00勤務(休憩1時間)
- 勤務時間:10時間(19:00―9:00)
- 労働時間:9時間(10時間(勤務時間)―1時間(休憩時間)
- 所定労働時間:6時間
- 法定内労働(残業)時間:2時間(所定賃金)
- 法定外労働(残業)時間:1時間(割増賃金)
ケース1と同様に勤務時間は始業の9時から終業の19時までの10時間になり、労働時間は、9時間と計算できます。
ただし、所定労働時間が6時間に設定されているため、16時~19時の間は時間外労働(残業)に該当します。
注意すべき点は、法定労働時間内に収まる16時~18時の2時間は法定内労働として扱われ、所定賃金の支払いを行う点です。
18時~19時の法定外労働の1時間分に対して、割増賃金(割増率25%)の支払いが必要になります。
さまざまな労働制度における勤務時間の計算方法
現在では会社に出社して規定時間を労働する以外にもさまざまな働き方があります。
ここでは各労働制度における勤務時間の計算方法について紹介します。
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、従業員が始業や終業の時間を自由に決めることができる制度です。
そのため、通常の法定労働時間である「1日8時間、週40時間」が適用されません。
その代わりに清算期間が設けられており、 「清算期間の暦日数÷7」×「40時間(1週間の法定労働時間)」の計算式で法定労働時間を算出します。
例えば、清算期間が1ヶ月(30日)の場合は
- 30日(清算期間の歴日数)÷7日×40時間(1週間の法定労働時間)=171.4時間
このように法定労働時間が「171.4時間」と計算できます。
フレックスタイム制度を利用している従業員は「171.4時間」のなかで始業と終業時間を自由に決めて就業が可能です。
なお、法定労働時間を上回った場合は割増賃金の支払いが発生し、下回った場合は不足時間分を給与から控除します。
不足時間に関しては翌月の労働時間に繰り越して処理もできます。
変形労働時間制
変形労働時間制とは、月単位や年単位など時期に合わせて労働時間を調整できる制度です。
繫忙期と閑散期がはっきりしているような場合に、長時間の残業(時間外労働)を抑制するために活用されています。
変形労働時間制では、 1日の所定労働時間を自由に決めることができます。
その代わりに、週や月ごとに労働時間を設定します。
なお、1ヶ月単位で変形労働時間制を導入する場合は、1ヶ月あたりの1週間における平均労働時間を40時間以内にしなければなりません。
また、残業代に関しては所定労働時間の設定によって変わります。
例えば、1ヶ月の変形労働時間制を導入した場合は以下のようになります。
- 第1週:所定労働時間 50時間 / 実労働時間 45時間
- 第2週:所定労働時間 47時間 / 実労働時間 49時間
- 第3週:所定労働時間 30時間 / 実労働時間 34時間
- 第4週:所定労働時間 33時間 / 実労働時間 43時間
- 合計:所定労働時間 160時間 / 実労働時間 171時間
時間外労働は第2週の所定労働時間を超えた2時間と第4週の法定労働時間を超えた3時間を合わせた5時間です。
第1週は実労働時間が所定労働時間内であり、第3週は実労働時間が法定労働時間内のため、時間外労働は発生しません。
みなし残業制
みなし残業制とは、あらかじめ決めた時間を労働時間とみなす制度で、裁量労働制とも言われます。
営業の外回りなど会社が従業員の労働時間を把握することが難しい場合に活用されています。
そのため、1日の労働時間が7時間とみなし労働制で決められている場合は、実労働時間が5時間でも8時間でも賃金の支払いは7時間分です。
なお、みなし残業制は原則として残業代(時間外労働)の支払いはありません。
ただし、 みなし残業時間の規定が8時間を超えている場合と深夜労働、休日労働をした場合は割増賃金の支払いが必要です。
勤務時間を管理する方法
勤務時間を管理する方法は1つではありません。
会社の規模感や従業員の人数、予算などによって各社が何らかの方法で勤怠の管理をしています。
ここでは代表的な勤怠時間の管理方法を4つ紹介します。
自社で管理している方法以外で、気になるものがあれば導入の検討をしてみてもいいかもしれませんね。
タイムカード
タイムカードによる勤怠管理は、専用の機器(タイムレコーダー)を使い従業員が自ら出社時と退社時に打刻する方法です。
打刻作業が簡単で誰にとっても使いやすく労働時間も機械で自動的に集計されるため、管理の負担が軽減されます。
また、導入に必要な機器はタイムレコーダーとタイムカードのみ、導入後は電気代とインク代しかかからないのでコスト面でもメリットがあります。
懸念点としては、打刻忘れ、打刻ミスの対応に手間がかかる、他人が不正に打刻する危険性があることです。
エクセル
Microsoftのエクセルを使って勤務時間の管理が可能です。
勤務時間計算用のテンプレートを簡単に入手できるので、自社に合ったものをダウンロードし利用すれば時間もコストもかかりません。
また、関数が入っているので、勤務時間を入力するだけで自動的に計算されることから集計と管理がしやすくなります。
ただ、手作業で行うため、入力ミスが起きるリスクと管理者は入力が正しく行われているか確認する必要があります。
計算ツール
インターネット上には勤務時間を計算できるツールが公開されています。
基本的に無料で利用できて自動的に計算されるので、勤務時間を手軽に計算したいときに活用できます。
「Ke!san パート勤務時間計算」が有名な計算ツールです。
ただ、計算結果を保存することができないため、転記する手間がかかりエクセルと同様に入力ミスが起きるリスクもあります。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、従業員の出退勤の時間など勤怠状況を管理できるシステムのことです。
システムで管理するため、入力ミスや従業員による不正が起きにくい点がメリットです。
また、法改正があったときにもシステムが自動で対応するため、担当者の負担を減らすことができます。
ただ、導入時や毎月の利用にはそれなりの費用がかかり、自社に適したシステムを選ばないと失敗する可能性があるので慎重な検討が必要です。
おすすめの勤怠管理システム10選
勤怠管理におすすめのシステム10選を紹介します。
導入および利用料金、特徴についてまとめてあるので、参考にしてみてください。
それぞれの勤怠管理システムについて詳しく見ていきましょう。
また勤怠管理システムと相性がぴったりな給与計算ソフトはコチラの記事で紹介しています。
ぜひお読みください。
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出典:https://hcm-jinjer.com/kintai/
ジンジャー(jinjer)勤怠は、jinjer株式会社が提供しているクラウド型の勤怠管理システムです。
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人事労務freee
出典:https://www.freee.co.jp/hr/
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ジョブカン勤怠管理
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出典:https://www.kingoftime.jp/
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打刻方法 | PC、スマホ、タブレットなど |
特徴 | ・高度な不正防止機能搭載 ・職場環境に合わせた勤怠管理方法 |
CLOUZA
出典:https://timecard.smaregi.jp/
CLOUZAは、アマノビジネスソリューションズ株式会社が提供しているクラウド型の勤怠管理システムです。
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出典:https://biz.moneyforward.com/
マネーフォワードクラウド勤怠は、株式会社マネーフォワードが提供しているクラウド型の勤怠管理システムです。
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出典:https://biz.moneyforward.com/
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出典:https://www.asj.ad.jp/
TimeBizは、株式会社ASJが提供しているクラウド型の勤怠管理システムです。
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打刻方法 | PC、ICカード、GPSなど |
特徴 | ・勤怠管理に特化したグループウェア ・利用人数が多いほどお得になる |
Kincone
出典:https://www.kincone.com/
kinconeは、株式会社ソウルウェアが提供しているクラウド型の勤怠管理システムです。
勤務時間に加えて交通費精算も自動的に計算されワンクリックで完了するため、担当者の業務負担が大幅に削減されます。
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出典:https://ak4.jp/
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打刻方法 | PC、iPad、スマホ、FeliCaカードなど |
特徴 | ・勤怠管理部門満足度、使いやすいさNo.1 ・システムの自由度が高く、幅広い業種にフレキシブルに対応可 |
勤怠管理システムの導入でよくある質問
最後に、勤怠管理システムに関するよくある質問を紹介します。
これまでの内容と合わせて参考にしてみてください。
勤怠管理システムを選ぶポイントは?
勤怠管理システムを選ぶときは、 自社の規模感と雇用形態に合わせて適切なものを選びましょう。
また、システムを利用するのは従業員になるので、従業員にとって使いやすい機能や打刻方法があるかという観点で見ることも大切です。
多くのシステムで無料トライアルを実施しているので、一度試してみてから正式に導入を決めるのもおすすめです。
勤怠管理システムの種類は?
勤怠管理システムには、「クラウド型」と「オンプレミス型」の大きく2種類があります。
クラウド型は、インターネット上のサーバ(クラウド)を利用してシステムを利用する方法です。
比較的低単価で導入できますが、セキュリティには注意が必要です。
現在多くの企業はクラウド型のシステムを提供しています。
オンプレミス型は自社開発型とも呼び、自社のネットワークを活用してシステムをカスタマイズする方法です。
自社に合わせて自由にシステムを開発できますが、その分費用が高額になります。
勤務時間の計算のまとめ
今回は、勤務時間の計算方法と行う上での注意点、勤務時間を管理するための手段を中心に説明していきました。
勤務時間を正確に計算し、管理することは重要な業務の1つです。
近年では、フレックスタイム制やみなし労働制など働き方によってさまざまな労働形態をとる企業も少なくありません。
また、長時間労働や過労死の問題などにより労働環境に対する世間の目も厳しくなっています。
法律で定められた労働時間を守り、従業員に配慮した労働環境作りを目指しましょう。
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