年末調整の集める書類/提出する書類を完全解説

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

年末調整の業務を行う前には、従業員に対して、扶養控除等(異動)申告書や保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書を記入してもらうほか、年末調整に必要な書類を集めてもらう必要があります。

集める書類は各従業員の状況によって様々ですが、ここでは、集めることが多い書類を中心に、会社で集める書類、提出が必要な書類、会社に保管しておく書類に分けて見ていきたいと思います。

こちらで紹介する書類の雛形と記入例は[2016年分]年末調整の攻略スケジュール・手順まとめに記載してあります。

集める書類

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

従業員本人の住所や生年月日、婚姻状況などの基本的な情報や、控除対象配偶者や扶養している人、障害者などの情報を記載する書類です。扶養している人がいる、いないなどに関わらず、全員が提出することになります。(他の会社で提出している人を除く。)

給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書

従業員が支払った生命保険料や地震保険料、社会保険料などの金額や、配偶者特別控除を受ける場合に、その配偶者の氏名や生年月日などの基本的な情報のほか、合計所得金額を計算する欄があります。

生命保険料控除証明書

各保険会社によって、ハガキのことも封書のこともありますが、「生命保険料控除証明書」と記載がありますので、よく確認してください。誤って、保険契約内容のお知らせなどを集めてしまうこともありますので、注意が必要です。

地震保険料控除証明書

「地震保険料控除証明書」、「旧長期損害保険料控除証明書」などの表記があります。1枚の控除証明書に2つの表記があることもあります。

国民年金保険料控除証明書、国民年金基金の保険料等の領収書や証明書

従業員が国民年金に加入し、保険料を支払っている場合に必要になります。会社で厚生年金に加入していることが多いと思いますが、例えば新入社員や途中入社などの場合に、国民年金保険料を支払っていた場合があるかもしれません。念のため確認が必要ですね。

小規模企業共済掛金払込証明書

小規模企業共済とは、個人事業主や、会社の役員などで一定の人が加入できる共済制度です。個人事業をやめた時や、会社役員を退任した時などに、共済金を受け取ることができる仕組みとなっており、その月々の掛金は全額所得から控除ができます。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

住宅借入金等の年末残高証明書

住宅ローンがある従業員は、給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書を持っている可能性があります。確認して、必ずその年分の給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書と、金融機関等が発行している住宅借入金等の年末残高証明書を入手しましょう。なお、今年住宅を購入した人で、住宅借入金控除をしたいという人は、初回は年末調整で控除ができませんので、確定申告で控除をすることになります。 確定申告をすると、年末までに税務署から給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書が控除できる年数分、一度に送られてきますので、それを使って翌年以降は年末調整で控除します。

前職分の源泉徴収票

中途入社の従業員で、入社前まで他社で働いていたという場合には、その会社から発行された源泉徴収票を提出してもらいましょう。

年末調整までに源泉徴収票が入手できない場合には、その従業員は年末調整をすることができなくなる可能性もありますので、滞りなく入手できるように、早目に手配してもらいましょうね。

提出する書類

所轄の税務署に提出する源泉徴収票

年末調整が終了したら、源泉徴収票を作成しましょう。源泉徴収票は、本人交付用のほか税務署提出用を作成しなければならない場合があります。作成し、提出する必要があるのは次の人です。

①法人の役員で、その年の給与支払額が150万円を超える人

②弁護士、司法書士、税理士等に給与を支払っている場合には、その年の給与支払額が500万円を超える人

③①、②以外の人で、その年の給与支払額が500万円を超える人なお、本人交付用にはマイナンバーを表示してはいけません。反対に、税務署提出用にはマイナンバーを表示しなければならないので、注意が必要です。

各従業員が住んでいる市区町村に提出する給与支払報告書個人別明細書

税務署に提出する源泉徴収票と内容は同じなのですが、従業員が住んでいる市区町村に提出するものは、給与支払報告書個人別明細書という名称になっています。 なお、給与支払報告書個人別明細書にもマイナンバーを表示する必要がありますので、ご注意ください。

保管する書類

扶養控除等(異動)申告書

保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書、保険料控除証明書等

源泉徴収簿…月々の給与の金額や、社会保険料控除等の金額、源泉徴収税額、扶養している人数などを記録しておく書類です。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

基本的には、提出する書類以外は会社で保管しておくことになります。税務調査などの際に、求められた場合にはいつでも提示できるように整えておきましょう。

また、従業員から集める書類には出てきませんでしたが、年末調整に関連して会社で保管しておく書類に、源泉徴収簿があります。

扶養控除等(異動)申告書、保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書にも共通していえることですが、国税庁が提供している書式ではなくても、内容を満たすものであれば、会社独自の書式で構いません。

手書きのものでも、パソコンで入力したものでも良いので、会社がやりやすい方法で作成しましょう。

なお、それぞれの書類の保管期限は、提出期限が属する年の翌年1月10日の翌日から7年間(※)になっています。

誤って廃棄してしまわないように、しっかりと保管しておきましょうね。

※平成20年4月1日以後に終了した欠損金が生じた事業年度については、9年間。また、平成29年4月1日以後に開始する欠損金の生じる事業年度については、10年間に延長される。

まとめ

ここまで見てきた通り、従業員から集めなければならない書類は、様々なものがありましたね。これ以外にも、状況に応じて集めなければならない書類がありますが、ここでは主なものを見てきました。

その他の書類については、国税庁で公開されている、その年の分の「年末調整のしかた」を参照するのが、一番分かりやすいと思います。

また、年末調整に関連して提出しなければならない書類は、源泉徴収票と給与支払報告書で、それ以外の書類については会社で保管しておけば良いことも見てきました。

その保管期限は7年間(上記の※参照)となっていますので、保管期限が過ぎた書類はすぐに廃棄ができるように、年ごとに整理をして保管しておく方が良いですよ。

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『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。