生理休暇は無給?欠勤?生理休暇の基礎知識

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

女性特有の生理は人によっては症状が重く、働くことが困難な場合があります。

そんな時に利用できる生理休暇(Menstruation vacation)という制度をご存知でしょうか?

言葉は聞いた事があるけれど、詳しい内容までは知らない方も多いかと思います。実際、生理休暇を法的に認めている国は日本、韓国、台湾、などアジア諸国の一部の国で、欧米では認められていません。今回は、そんな生理休暇の基本的な内容について説明します。

生理休暇は法律で認められている?

生理休暇とは法定の休暇であり、女性特有の生理に対する保護制度です。

法律では

労働基準法68条

生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない

と定められています。ですので、会社が自由に生理休暇を与えたり与えなかったりしてよいものではなく、従業員から申し出た場合は与えなければなりません。この規定は雇用形態を問わず、すべての従業員に適用されます。違反した場合は、会社が30万円以下の罰金に処せられることになります。
ただし、生理だからといって無条件に休めるわけではなく、「辛すぎて働くことが困難」な場合に休むことが出来るという制度だという事に気を付けなければなりません。生理の症状や辛さの感じ方には個人差があり、就業が著しく困難かどうかを会社が判断するのは難しいところですが、実際には本人に説明をしてもらうしかありません。

生理休暇をとった従業員に診断書を提出するよう要求してもいい?

医師の診断書などの提出を求めることは、生理休暇制度の趣旨に反すると考えられています。

生理休暇は無給?欠勤?

同じ法定の休暇でも有給休暇は賃金を支払わなければなりませんが、生理休暇については法律上そのような文言はありません。生理休暇を有給とするか、無給とするかは会社の判断に委ねられています

ただどちらにするにしても、就業規則に生理休暇を取得する際は有給なのか無給なのかをはっきり規定しておきましょう。もちろん会社員だけでなく公務員であっても生理休暇は取得でき、国家公務員の場合は人事院規則で「無給」と規定されています。
また、出勤扱いにするか欠勤扱いにするかについても法律上の規定はありません。判例でも「出勤扱いにすることを義務付けるものではなく、会社と従業員の合意に委ねられる」とされています。(エヌ・ビー・シー工業事件・最高裁昭和60.7.16判決)
ですので、欠勤扱いにすること自体は特に問題ありません。ただし欠勤扱いとして生理休暇を取得し、その事で経済的利益を得られないような措置や制度を設けるなど生理休暇の取得を抑制するような場合は、労働基準法違反と判断される可能性がありますので注意が必要です。

皆勤手当などがある場合は生理休暇を取得するともらえなくなる?

会社の制度として皆勤手当等があり、生理休暇を取得した日を欠勤扱いとして、皆勤手当の減額が認められた判例がありますが、減額の程度によっては生理休暇の取得を抑制してしまうことになり、労働基準法違反になる可能性があるので、あまり好ましい対応ではないと言えるでしょう。

生理休暇は有給の出勤率でどう扱われる?

有給休暇は「6か月間(その後は1年間)継続して勤務していること」、「6か月間(その後は1年間)の全労働日の8割以上出勤していること」という条件を満たした場合に与えなければなりません。

同じ休暇でも有給休暇を取得した日や、産前産後休業、育児・介護休業、業務上の理由による休業の場合は出勤したものとして扱われますが、生理休暇を取得した日については、出勤したとはみなされません。
ですが、毎月重い症状があり数日休まなければならない場合など、年間にするとかなりの日数を欠勤することになります。行政通達では「当事者の合意によって出勤したものとみなすことも、もとより差支えない」としているので、会社が出勤扱いすることについては問題ありません。

有給休暇を事前申請するのはありなのか?日数制限を設けるのはありか?

生理休暇も有給休暇も労働基準法で権利として認められた休暇ですので、従業員の判断により生理休暇ではなく有給休暇を取得することも可能です。ただし、生理自体が毎月一定の日に始まるわけではなく必ずしも業務に影響が出るほどの状態になるかも分からないので、事前に申請するということは、労働基準法の趣旨に反します。生理休暇中に外出し、事故を起こしたという例もありますので、「生理のために休暇をとる」場合は、事後申請をしてもらうようにしましょう。
また労働基準法では、就業規則などで生理休暇の日数の上限を定めることは出来ません。上記でも述べましたが、制度を悪用した例もありますので「月1日までは有給、その後は無給」など有給無給と絡めた定め方をしておくと、ある程度の不正な利用は防げるのではないでしょうか。
逆に、1日単位で与えなければならないという規定もありませんので、従業員が「午前中だけ休ませて欲しい」という申請をした場合には、半日だけ生理休暇を与える事も可能です。

まとめ

生理休暇は労働基準法で認められている法定の休暇ですが、実際にはあまり浸透していないのが現状です。生理休暇は「有給にするか無給にするか」「出勤扱いにするか欠勤扱いにするか」を会社の判断で決めることが出来ますが、生理休暇を取得したことによって従業員が不利益にならないように注意しなければなりません。
また男性には言いにくい内容であることが、浸透しない大きな理由です。そんな状況を変えるためにも、口頭で直接尋ねるよりは生理休暇届(特別休暇届)等でのやり取りを行うなど、女性から申し出やすい環境作りが必要です。さらに書面でやり取りすることで、トラブルを避けるための記録も残ります。
会社も従業員もお互いに気持ちよく休暇がとれるよう、適切な権利意識を持ち生理休暇について理解を深めましょう。

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『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。