従業員の退職時に社会保険料の控除で注意するポイント

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

従業員の退職手続きの際に社会保険の喪失手続きが発生しますが、そこで注意しなければならないのが社会保険料の控除の仕方です。

退職日によっては社会保険料をどのように控除するのかわからなくなったり、退職した従業員から社会保険料が多く引かれているという苦情が来たりすることもあるのではないでしょうか。

今一度、社会保険料の控除の仕方についての基本を確認していきましょう。

社会保険料控除の基本的な考え方

社会保険料は資格を取得した月から発生し、資格を喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生することになっています。

通常の給与計算では社会保険料は当月分を翌月の給与から控除する「翌月控除」のやり方が一般的です。

例えば4月に入社した社員の4月分の社会保険料は5月に支払われる給与から控除されるということになりますね。

従業員が退職をした際の社会保険料控除の基本的な考え方は日本年金機構で以下のように定めています。

月末に退職した場合は退職の前月と退職月の2カ月分の保険料を退職月の給与から控除することができる

・月末以外に退職した場合は退職月の前月分の保険料を退職月の給与から控除する

(引用:日本年金機構 退職した従業員の保険料の徴収

これだけでは実際の計算方法がわかりにくいので事項から具体例を踏まえてご説明していきましょう。

社会保険料控除の具体例<退職日が月末の場合>

【退職日が 331日 :資格喪失日が41日】社会保険料は3月分まで発生

3月分の給与の支払いの際に3月分の社会保険料を控除するということになります。

給与の締め支払いに応じた具体例は以下の通りになります。

  • 月末締め翌月10日払いの場合

3月末で締め 410日に支払う給与から3月分の社会保険料を控除

  • 20日締めで月末払いの時

320日締め 3月末に支払う給与から2月分の社会保険料を控除

この場合21日から31日分までを一緒に3月末で払う場合には2月分と3月分の2カ月分の社会保険料」を控除することができます。

逆に420日締めて321日から31日の分を4月末に払う場合にはここで3月分の社会保険料を控除します。

社会保険料控除の具体例<退職日が月末以外の場合>

【退職日が 330日 :資格喪失日が331日】社会保険料は2月分まで発生

3月分の給与の支払いの際に3月分の社会保険料を控除する必要はありません。

給与の締め支払いに応じた具体例は以下の通りになります。

  • 月末締め翌月10日払いの場合

3月末で締めて410日に支払う給与から3月分の社会保険料を控除する必要はない

  • 20日締めで月末払いの時

220日締め 2月末で払う分 2月分の社会保険料を控除する

320日締め 3月末で払う分 3月分の社会保険料を控除する必要はない

420日締め 4月末で払う分(321日から30日までの分)社会保険料控除なし

社会保険料を当月控除している場合には

前項でご説明して来たように社会保険料を翌月の給与から控除する翌月控除の方法が一般的ですが、中には社会保険料を当月に控除する当月控除の方法をとっている会社もあるのではないでしょうか。

当月控除の際の社会保険料の控除の仕方について具体例を挙げてみましょう。

【退職日が 331日 :資格喪失日が41日】社会保険料は3月分まで発生

この場合は3月分の給与より3月分の社会保険料を控除することになります。

【退職日が 330日 :資格喪失日が331日】社会保険料は2月分まで発生

この場合は3月分の給与から3月分の社会保険料を控除する必要はありません。

同じ月内で取得、喪失した場合は

あまりないケースかもしれませんが、31日に入社して320日に辞めてしまうというケースもあるかもしれません。

その場合は一ヶ月分の社会保険料は発生することになるので、翌月控除でも当月控除であっても31日~320日の給与を払う際に、3月分の社会保険料を控除すると良いでしょう。

社会保険料は日割り計算という概念がなく、月単位で発生するものなので同月内に取得と喪失があった場合でも一ヶ月分の社会保険料が発生します。

社会保険料控除に対する正しい知識を

社会保険料は納期が翌月末日となっているために、当月分を翌月の給与から控除する会社が多く、締め支払いの日を考えると退職時の計算方法について迷ってしまう場合も出てきてしまいますね。

以下のポイントをしっかりと押さえておきましょう。

・社会保険料は原則的には翌月に控除する

・退職日が月末の場合は退職月までの社会保険料が発生する

・退職日が月末以外場合には退職月の分の社会保険料の控除は必要ない

社会保険料の控除の方法について迷った場合には以下のポイントを明確にしてその状況応じて正しい計算方法を行いましょう。

・退職日は月末がそれ以外か

・最終給与支払い月に社会保険料控除が必要かどうか

正しい給与計算を行うためには自社の給与の締め日、支払日に合わせた正しい社会保険料控除の方法をしっかり把握しておくことが大切になってきますね。

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『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。