派遣社員のストレスが顕著。職場のストレス調査を厚労省が公表

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

派遣社員のストレスが顕著。職場のストレス調査を厚労省が公表

職場では様々な人達が働いています。年齢、性別、就業形態など、働く人の性質や境遇によって感じるストレスも様々です。
 

今回は、平成28年「労働安全衛生調査」の中から、1万人を超える労働者を対象とした、仕事や職業生活における不安、ストレスに関する調査結果を紹介します。
 

30代が最もストレスを抱えて働いている

仕事に関するストレスの有無を、年齢・性別・就業形態別で集計した結果は以下の通りです。
 

仕事や職業生活に関する強いストレスの有無(単位:%)

赤色で囲んだ人たちが、カテゴリ内で相対的に一番ストレスを感じている人たちで、緑色はストレスの低い人たちです。
 

「30代」「男性」「派遣労働者」の方の仕事のストレスが強いことがわかります。
 

逆に、「60代」「女性」「臨時・日雇労働者」の方は仕事のストレスが相対的に弱い結果となりました。
 

今回の調査は「仕事」に関するストレス調査です。緑で囲んだ人たちの中には、仕事以外でストレスを抱えている可能性があることを忘れてはなりません。

ストレスを抱える派遣労働者の70%は、雇用の安定性を挙げる

仕事に関するストレスの内訳を、年齢・性別・就業形態別で集計した結果は以下の通りです。
 

仕事や職業生活に関する強いストレスの内容別労働者割合(単位:%)
第 29 表 仕事や職業生活に関する強いストレスの有無及び内容別労働者割合

各セグメントで、大きく結果が異なっている点が見て取れます。
 

年齢階級別では、「仕事の質・量」に関するストレスが強いことがわかります。
20歳未満と60歳以上では「強いストレスとなっていると感じる事柄がない」が最多ですが、それ以外の層では「仕事の質・量」を挙げる人が多い結果となっています。
 

性別では、「仕事の質・量」に関するストレスがともに最多です。
 

就業形態別では、正社員・契約社員が「仕事の質・量」に関するストレスを最多に挙げています。
パートタイム労働者は「強いストレスとなっていると感じる事柄がない」が最多で、臨時・日雇労働者は「仕事の失敗、責任の発生等」が最多派遣労働者は「雇用の安定性」が最多となっています。
 
派遣労働者は、ある意味「取引先を一社に依存している個人事業主」と捉えることができるかもしれません。常に派遣先(取引先)との関係が切れるリスクを感じながら、にも関わらず他の取引先と仕事をすることができないのです。

約2割の派遣社員には相談相手がいない

ストレスを人に相談することで、ストレスが緩和されたり、本質的問題への気付き・解決に繋がることがあります。
 

ストレスを相談できる人の有無、相談できる相手別労働者割合(単位:%)
ストレスを相談できる人の有無、相談できる相手別労働者割合

「相談できる人はいない」と回答した派遣社員が18.9%という衝撃的な結果が出ています。
 

まとめ

平成28年「労働安全衛生調査」は、1万人を超える労働者を対象としたストレスに関する調査結果を含んでいます。
 

年齢や性別、就業形態によって、労働者の感じるストレスは異なります。特に、派遣労働者はストレスが強いにも関わらず、相談相手がいないと回答した方が約2割もいる状況です。
 

仕事にストレスは付き物ですが、そのストレスは立場や境遇によって異なる事を相互に理解しましょう。
 

労働者調査について

厚生労働省が直接、調査票を労働者調査の対象となった事業所へ郵送し、各事業所内で回答する労働者を抽出し調査票を配布。回答を求められた労働者は調査票を記入し封緘し、事業所の担当者等に受け渡し、担当者等がまとめて厚生労働省へ返送する方式で調査を実施。

労働者調査の対象は18,025人で、内10,109人が有効回答を提出。 有効回答率56.1%です。

 

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