新しい福利厚生のカフェテリアプランとは!?

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

多くの企業で、従業員のためにさまざまな福利厚生を導入しています。その中で最近、導入する企業が増えていているのが、カフェテリアプラン。まだまだ世間の認知度は低いですが、今後は福利厚生の主流となる可能性もあります。ここでは、カフェテリアプランについて詳しく解説していきます。

カフェテリアプランとは?

カフェテリアプランとは、企業があらかじめさまざまな福利厚生のメニューを用意し、その中から従業員が利用したいものを選ぶ制度です。通常、従業員は企業から福利厚生ポイントを付与され、そのポイントの範囲内で好きなメニューを利用します。好きな飲み物や食べ物をメニューの中から選ぶカフェテリアに似ていることから、この名前がついています。
もともとはアメリカで1980年代に生まれた制度です。日本の企業でも、大企業を中心に従業員のワークスタイルの多様化に伴い、導入するところが増えてきました。
旅行や食事、チケット代金の補助といった通常の福利厚生に加え、保育園や託児所の補助や育児休暇、介護補助、住宅ローン補助などライフイベントに関するもの、人間ドッグや健康用品の購入などの健康促進に関するものなど、メニューは多彩です。

カフェテリアプランのメリット・デメリット

一見したところ良いところが目立つカフェテリアプラン。しかし、導入を考えるにはしっかりとそのメリットとデメリットを知っておく必要があります。

メリット

  • 福利厚生の不平等感の解消
    カフェテリアプランのメリットには、福利厚生の不平等感の解消があります。既存の福利厚生では住宅を持っている人への住宅補助や子供がいる家庭への補助など、受けられる人と受けられない人がはっきりしているものが多くあり、不平等感から来る不満がありました。カフェテリアプランの場合、多くのメニューから自分に合ったものを選ぶために不平等感は生まれません。
  • 予算を立てやすい
    カフェテリアプランはあらかじめ従業員に福利厚生ポイントを付与し、その中で福利厚生が行われるので、企業にとってはあらかじめ費用の額を把握することができます。あとで必要以上にお金がかかったということもなく、予算が立てやすくなります。

デメリット

  • 運営費用がかかる
    当然ですが、福利厚生費にはお金がかかります。多くのメニューを用意するということは、それだけ費用がかる可能性があるので注意が必要です。
  • 制度設計に気を付ける必要がある
    カフェテリアプランを運営するためには、メニュー内容についてしっかり制度設計をする必要があります。あまり使う人がいないメニューが多いと、せっかく設計しても意味がなくなってしまいます。また、特定の人だけ多くのポイントを付与してしまうと、付与された人に所得税が課税される可能性もあります。税金のことも頭に入れて、制度設計をする必要があります。

カフェテリアプラン導入企業

では、実際どのような企業がカフェテリアプランを導入しているか見ていきましょう。

JR東日本

JR東日本は自ら「JR東日本Gカフェテリア倶楽部」を運営するほど、カフェテリアプランに積極的な企業です。JR東日本グループ各社や提携企業が導入しており、旅行メニューなどが充実しています。

参考:https://www.jreps.jp/support/welfare.html

NTTグループ

NTTグループもカフェテリアプランの導入に積極的です。NTT健康組合の保養所や会館などを利用できるメニューなどがあります。

参考:https://www.ntt-ts.co.jp/recreation/

そのほかにも、JTやみずほ銀行、トヨタ自動車、パナソニックなど多くの企業が導入しています。

カフェテリアプランの始め方

カフェテリアプランを実際に始めるためには、制度設計をする必要があります。どのように設計をすればよいでしょうか。

従業員のニーズを把握しメニューを考える

まず、福利厚生のメニューを決める必要がありますが、従業員のニーズから離れていてはいけません。例えば独身の従業員が多いのに、育児補助のメニューを充実させても活用度は低くなると思われます。従業員の意見を参考にしながらメニューを決めましょう。

予算内でのポイント設計

福利厚生費の充実といっても、予算を超えて行うことはできません。そのため、予算内で収まるようなポイントの設定をする必要があります。従業員に何ポイント付与し、1つのメニューを何ポイントにするかなど、多くの設計項目があります。

管理体制の構築

メニューとポイント設計が終わったら、管理する体制を構築する必要があります。その分仕事が増えますので、場合によっては人を雇う必要があるかもしれません。

アウトソーシングも検討しよう

上述したとおり、カフェテリアプランの導入には、かなりの労力がかかります。企業の福利厚生を専門に請け負う業者もたくさんあり、結果的にそうしたところにアウトソーシングした方が、お金も労力もかからないことが多いのです。以下、代表的なアウトソーシング企業を挙げておきます。

株式会社 リロクラブ

8,000社以上の契約社数をほこる福利厚生アウトソーシングサービスの会社です。カフェテリアプランの導入支援だけでなく、福利厚生倶楽部も運営しています。
参考:http://www.reloclub.jp/

株式会社JTBベネフィット

JTBが100%出資する、福利厚生アウトソーシングサービスの会社です。経験豊富なコンサルタントがトータルサポートしてくれます。日立金属やヤクルトなど、大手企業も導入しています。
参考:http://company.jtb-benefit.co.jp/

株式会社ベネフィット・ワン

パソナグループの福利厚生アウトソーシングサービス会社。ここが運営する「ベネフィットステーション」にも多くの企業が加入しています。カフェテリアプランだけでなく、セミナーなども開催しています。
参考:https://bs.benefit-one.co.jp/bs-official/index.html

まとめ

多くの企業で導入されているカフェテリアプラン。企業から付与された福利厚生ポイントの範囲内で、好きなメニューの福利厚生サービスを受けることができます。この形式を導入する企業は年々増加しており、今後主流になってくる可能性が高いと思われます。
しかし、中小企業が導入するには制度設計など、多くの労力やお金がかかります。カフェテリアプランを専門に扱っているアウトソーシング企業も多くあります。カフェテリアプランのメリット・デメリットを理解し、外部委託も視野に入れながら、カフェテリアプランの導入を検討しましょう。

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