1週間単位の非定型的変形労働時間制とは|労働基準法の定義
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
1週間の中で忙しい繁忙日と、あまり仕事がない閑散日が明確に分かれている事業もあります。小売業や旅館、料理店、飲食店などの事業です。その場合には、各日ごとに労働時間の長さを調整できた方がコストや働きやすさの面で効率化することができます。
そんなニーズに答える制度として、1週間単位の非定型的変形労働時間制という仕組みがあります。1週間単位の非定型的変形労働時間制について、労働基準法では次のように定めています。
三十二条の五
使用者は、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる厚生労働省令で定める事業であつて、常時使用する労働者の数が厚生労働省令で定める数未満のものに従事する労働者については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、第三十二条第二項の規定にかかわらず、一日について十時間まで労働させることができる。
長い文章ですが、
日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、かつ、これを予想しても各日の労働時間を特定することが困難であると認められる小規模事業の場合には、1日について10時間まで労働させることができる
というものです。
労働時間の通知義務について
もし、労働者を1週間単位の非定型的変形労働時間制により労働させる場合には、労働させる1週間の各日の労働時間について、その1週間が始まる前に書面により通知しなければならないとされています。
通知したあと、緊急でやむえない事由が発生した場合には、変更しようとする日の前日までに書面により労働者に通知することにより、あらかじめ通知した労働時間を変更することができます。
ちなみに、この緊急でやむ得ない事由とは、使用者の主観的な必要性ではなくて、台風や豪雨などの自然災害など客観的事実によって当初想定していた業務の繁閑に、大幅な変更が生じた場合を言います。なので、なんとなく気が変わったなどという理由で、変更することはできないので注意してください。
なお変形労働時間制には、今回説明した1週間単位の変形労働時間制だけではなく、1年単位の変形労働時間制と1箇月単位の非定型的変形労働時間制があります。合わせてご確認ください。
◎1年単位の変形労働時間制とは
◎1箇月単位の変形労働時間制とは
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