従業員退職時の雇用保険手続きの流れと注意するポイント

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

従業員が退職する際には、雇用保険の手続きが必要となります。この時に、必要な雇用保険の手続きの流れと必要な書類について、確認してみましょう。

雇用保険手続きに必要な書類

従業員が退職する際には、雇用保険の手続きに必要な書類は、「雇用保険 被保険者資格喪失届」になります。雇用保険被保険者資格喪失届とは、離職した労働者を雇用保険から脱退させるための手続きに必要な書類になります。この書類は、管轄のハローワークに提出しますが、一緒に下記の書類を添付します。

1:出勤簿(「雇用保険被保険者離職証明書」に記載する分が必要で、通常は1年分となります。)

2:賃金台帳(出勤簿と同様です)

3:「労働条件通知書」か「雇用契約書」(有期雇用契約で、契約期間が満了している場合になります。)
4:就業規則(従業員10名以上の場合で、かつ定年退職の場合に必要となります。)
5:離職証明書(被保険者が59歳以上の場合に必要となります。)

雇用保険手続きの流れ

まずは、退職者に離職理由を確認し、「雇用保険被保険者離職証明書」の所定の欄に署名および押印をしてもらいます。

次に、退職後の状況に応じて、雇用保険に関する説明を行います。再就職先が決定している場合は、雇用保険被保険者証を再就職先に提出してもらいます。再就職先が決定していない場合で、基本手当の受給資格ありの場合は、受給期間は離職の翌日から1年間で、離職票が届いた後、速やかにハローワークで手続きすることを案内します。また、離職前2年間に11日以上働いた月が12カ月未満の場合は基本手当の受給資格はないことになります。ただし、離職日から1年以内に雇用保険に加入した場合には被保険期間が通算されるので、その旨を説明します。そして、従業員が65歳以後に退職した場合、基本手当は一時金で支払われる旨を説明します。

そして、雇用保険 被保険者資格喪失届雇用保険被保険者離職証明書(離職票2を、従業員の退職後10日以内に、管轄のハローワークに提出します。この時に確認通知書をハローワークから受け取ります。

この際に、「離職票1」と書かれた書類が交付されます(離職証明書を提出した場合は「離職票2」も交付されます)。離職票は、退職者が失業給付を受ける場合に必要となるので、退職者に速やかに渡します。

雇用保険被保険者資格喪失届の記入例

雇用保険喪失届記入例 2

雇用保険被保険者資格喪失届の必要事項が以下のように記入します。

まずは、標題中の氏名変更届の文字を抹消します。

1の個人番号欄には、番号確認と身元確認の本人確認を行った上で、個人番号(マイナンバー)を記載します。ただし、何らかの事情により、マイナンバーを従業員から提供されなかった場合は、空白のままとします。

5の離職年月日の欄には、被保険者でなくなったことの原因となる事実のあった年月日を記載します。なお、年、月又は日が1桁の場合は、それぞれ10の位の部分に「0」を付加して2桁で記載します。

6の喪失原因の欄には、次の区分に従い、該当するものの番号を記載します。

イ 死亡、在籍出向、出向元への復帰、その他離職以外の理由

ロ 天災その他やむを得ない理由によって事業の継続が不可能になったことによる解雇

ハ 被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇

ニ 契約期間の満了

ホ 任意退職(事業主の勧奨等によるものを除く。)

ヘ ロからホまで以外の事業主の都合によらない離職(定年等)

ト 移籍出向(ただし、退職金又はこれに準じた一時金の支給が行われたもの以外の出向は「1」)

イからトは2

チ 事業主の都合による解雇、事業主の勧奨等による任意退職等

7の離職交付希望欄には、被保険者でなくなった者が離職票の交付を希望するときは「1」を、希望しない場合は「2」を記載します。

なお、被保険者でなくなった者が離職時においては妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由により一定期間職業に就くことができない場合及び60歳以上の定年等による離職後一定の期間求職の申込みをしないことを希望する場合であって、その後に失業等給付を受けようとするときは、「1」を記載します。また、離職の日において59歳以上の者については、「1」を記載します。

なお、この手続きは電子申請による申請も可能です。

引用元:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000106268.pdf

まとめ

従業員が退職した時の雇用保険の手続きは、書類が複数必要となり、繁雑なものとなります。ただし、

所定の期日に手続を行わないと結果的に、退職した従業員に迷惑をかけることになります。再就職先が決定していればいいですが、失業給付を受けたい場合は、離職票などの書類がないと手続きが行えなくなります。

そして、従業員が退職した時の雇用保険の書類として、重要なのが、雇用保険被保険者資格喪失届になります。この書類も記入箇所が多く大変ですが、丁寧に記入していきましょう。平成28年の大きな変更点は個人番号の記入欄です。番号確認と身元確認の本人確認を行った上で、マイナンバーを記載します。

退職時には、雇用保険だけでなく、健康保険や厚生年金、住民税など他の手続きも必要となるので、速やかに手続きを行いましょう。