就業規則や社内申請書を、シンプルで明快に「執筆」します|社会保険労務士・稲毛由佳さんの横顔

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

稲毛由佳

大手週刊誌の記者として、数多くのスクープを出した後、社労士として活躍されている稲毛由佳さん。記者から社労士になるまでの背景や、現在社労士としてどのような活動をされているか伺いました。
 
また、稲毛さんが労使トラブルの相談を受ける中で「気をつけて欲しいポイント」もインタビュー中にご指摘いただきました。
 

「消えた」年金問題等のスクープ担当記者を経て社労士へ

ー社労士になったきっかけを教えてください
 

子供の頃から、文章を書くことが好きでした。好きというより、文章を書くことに抵抗を感じず、自然に出来たという方が適切かもしれません。
 

大学は文学部で、卒業後は広告代理店勤務を経て、当時80万部以上の発行部数を誇る雑誌に、記者として関わりました。
 

記者として、金融機関の不良債権処理問題や倒産・統合、「平成電電」・疑似通貨「円天」などの詐欺事件、そして「消えた」年金問題など、スクープも多く出すことができました。国会中継で、私が取材で引き出した内部資料を国会議員が読み上げた時は、感慨深いものがありました。
 

取材では、多くの企業経営者や第一線で活躍するキーパーソンと出会い、取材のテーマと直接関係の無いテーマで語り合う事も少なくありませんでした。そして彼らと話していていると、「人」の問題で困っているなと思うことが少なくありませんでした。
 

また、取材には法律知識が不可欠なんです。例えば、「消えた」年金問題を取材するには、そもそも日本の社会保障制度の仕組みを知っていなければならないし、労働問題なら労働基準法を知らなければ、記事が、単に「かわいそう!」といった類の表面的なものになってしまいます。問題追及どころか問題提起もできません。そのため、当時は、弁護士や社会保険労務士に取材をお願いすることもたくさんありました。
 

そんな背景があり、せっかくなので働く「人」や社会保険について体系的に学習しようと、記者をしながらではありましたが、社会保険労務士の資格を取得しました。
 

資格取得後、その噂を聞きつけた周囲の経営者の方たちから、労使トラブルの相談を受けたり、社会保険や給与についての相談をいただくようになりました。

労働基準監督署の相談員として約5年間にわたり、月15日間程度勤務し知識と経験を積みました

ー社労士になった直後、どのような活動をされていましたか?
 

初めは、書類の届出手続きや助成金の申請が中心でしたが、次第に労使トラブルの相談を受ける事が増えました。目下の課題が解決すると、次は、「就業規則」の改訂、さらに、ルールをスムースに運営するための「社内申請書」等のツール整備といった具合に仕事内容がどんどん発展していきました。
 

文章を書くことは得意ですし、記者時代の人脈で様々な先輩社労士から教えを請うこともできたので、依頼されたお仕事は着々とこなすことができました。
 

でも、もっと知識や経験を積んで、さらに深みのある仕事をしたいと思いました。
 

「就業規則」や、労務問題について、もっと経験を積むべきだ。役所の視点も知りたい。そう考え、労働基準監督署の相談員として約5年間にわたり、月15日間程度勤務し知識と経験を積みました。
 

その時まだ、記者の仕事も続けている状況で、取材や原稿締切りスケジュールとの調整が大変難しかった記憶が残っています。実は一度、体調を壊して倒れたこともあります。本来、クライアント企業にそのようなことがないよう指導する立場なのに、本末転倒ですよね。
 

その時をきっかけに、記者としての仕事を減らし、社労士に集中することに決めました。記者の仕事も大好きですが、次から次へと起きる事件を追いかけていかなければならないので、一度きりの出会いがどうしても多くなります。その点に大きなストレスを感じていました。一方、社労士は、クライアント企業と深くかかわり、末永くお付き合いさせていただくことのほうが多い。これは、私にとって大きな魅力でした。
 

ただ、記者としての仕事を抑制することで、収入面で大きなダメージがありました。でもそれ以降、社労士として指名でお仕事をいただく事が増え、収入面での問題はなくなったので、良い決断をしたと今でも考えています。

本当に「使える」、社内規則やその運用ルールを一緒に作りませんか?

ー現在特に力を入れている業務内容を教えてください。
 

様々な企業の、就業規則や社内申請書を拝見させていただきますが、その時よく感じるのは「わかりづらい表現だなー」「従業員ももっと読みやすい就業規則をつくったらいいのに」「この社内申請書、書き方理解するの大変そう・・・」ということです。
 

厳密性を追求すると、書式は固くなるということは理解できます。でも私だったらもっとシンプルに、明快に書いてしまうのに。と思うんです。
 

最近は、就業規則の取り扱い説明書にあたる『従業員向けガイドブック』を別に作成する傾向がありますが、いささか本末転倒な気がします。
 

記者としての仕事をストップしているとはいえ、私は執筆のプロである側面も持っています。社労士として、執筆のプロとして、日本中の就業規則や、社内申請書をわかりやすく変えていきたい。わかりやすく、従業員もきちんと理解しながら使える、就業規則や申請書に変えていきたいです。
 

従業員が、管理部門に問い合わせること無く、就業規則の場所を知っていて、規則の内容を読んで理解できる。36協定の内容をすぐに参照して、問題のないことをすぐに確認できる。そしてもし問題があれば、気軽に社内で相談できる。また、ライフイベントの発生した従業員が、必要な時に必要な社内申請書をスラスラ記入し提出できる。そんな「当たり前」のことを「当たり前」にできる、一連の社内業務フロー作成のお手伝いがしたいです。社内業務フローがスムースだと、結果として、労使トラブルの発生率が激減します。
 

本当に「使える」、社内規則やその運用ルールを一緒に作りませんか?
 

これまでもお手伝いした事例は多数ございます。ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
(機密保持の観点から、事例をここでお話できないのが残念です!)

去年より今年は、1点でも良い点を取れるよう努力しましょう。

ー読者の方にメッセージをお願いします
 

労使トラブルの相談を多くいただく中で、今後はぜひここに気をつけてください、という事がいくつかあります。
 

その中の一つに「即答にこだわらない」というものがあります。
 

従業員に、会社のルールや労働時間、給与等の質問をされた際、記憶を頼りに、つい即答してしまいがちです。でも、少しでも自分の中にあいまいな点があったら、即答は厳禁。まず、確認です。30分調べても自信が持てないような時は、私たち社労士を活用してください。
 

即答できないことを、恥ずかしいと思わないでください。経営者や管理部門の方が、細かい人事労務法規や社内ルールをすべて覚え、完全に把握していて、いつ、どのような質問がきても即答できることのほうが珍しいといってもいいでしょう。仮に、従業員から「そんなこともわからないんですか!」と、言われたとしても、「確認したいことがあるので、待ってもらえますか?●日までにはお答えします」と、質問に対する回答ではなく、調べたり、私たち社労士に相談する時間的猶予を確保した回答の期日を返答すればいいのです。そしてもし期日までに返答できなくなった場合は、「事前に」リスケジュールして了解をとってください。
 

こういう事は、社外とのやりとりでは当然のことのように行っていると思いますが、社内でも当然のように行うべきです。
 

「実は、これこれ、こういう風に従業員に言っちゃったんだよね」という相談を受けることがありますが、その時点でもう従業員と約束してしまっているという事を忘れないでください。言ったことを言っていないことに変えようとすると、ハレーションが起き、トラブルが深刻化します。
 

と、ちょっと厳しいことを言ってしまいましたが、最後にぜひ覚えておいていただきたい事があります。
 

「人事労務」業務は、法律の変更による影響も受けやすいですし、人を相手にする業務ですので、実際問題、100点満点は存在しません。だからこそ、優先順位をつけることが大事。そして、去年より今年は、1点でも良い点を取ることを目標に努力を継続することが大事です。
 

まずは、できることから、ひとつひとつ。課題を一緒に解決していきましょう。

「稲毛社会保険労務士事務所」について

依頼の多い仕事Best3の内容と、費用感

  1. 労使トラブルの相談:人事労務にまつわるご不明な点や、トラブルなどのご相談を承ります。顧問契約外のご相談は、1時間あたり1万円(最低料金2万円)、従業員向け・社内書類作成料金は1万円~承ります。
  2. 就業規則、社内規程の作成、改訂:就業規則作成:20万円〜となります。顧問契約がある場合、法改正修正を1条文あたり1万円〜承ります。
  3. 労働時間管理、固定残業代のリーガルチェック:顧問契約がある場合は、基本料金2万円+(人数×500円~)※給料計算の料金と一緒です。

顧問基本契約を締結した場合のサービス内容

  1. 社員の入社・退職時における雇用保険や健康保険・厚生年金の資格取得や喪失の手続き
  2. 業務上のケガ・通勤途上のケガ、いわゆる、労働災害(労災)が発生したときの届出
  3. 社員に扶養家族が増えたり減ったりする場合(結婚・出産・離婚・死亡など)の健康保険証の変更手続き業務
  4. 社員の住所や姓名が変更された時の健康保険などの変更手続き業務
  5. 会社が移転したり、支店や拠点が増減した場合の労働・社会保険上の手続き
  6. 労働保険料の1年間分の保険料を計算して申告する業務(年度更新業務)
  7. 1年一回、社員一人ひとり個別の社会保険料を計算して申告する業務(算定基礎届)
  8. 健康保険関係の給付(出産一時金・傷病手当金)手続き
  9. その他、労働基準監督署および年金事務所の調査対応、労働契約書など社内文書の作成、その他人事労務全般に関するご相談

※給与計算のみの代行は行っていません。

顧問契約の費用

  • 初期費用:なし
  • 従業員4人までの会社の顧問料:2万円/月
  • 5〜9人:3万円/月。10〜19人:4万円/月。20〜29人:5万円/月。30〜49人:6万円/月。

※自社で労働・社会保険の手続きと給与計算業務を行っている会社様向けに「アドバイザー顧問契約」もございます。〜299人の会社でも5万円/月と、お得な料金設定です。

お問い合わせ先

  • 事務所名:稲毛社会保険労務士事務所
  • 住所:東京都江東区木場3-8-13-501
  • 業務対応可能エリア:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県(電話、メール等による相談については全国対応)
  • 営業時間:10:00~19:00 ※顧問先に関しては時間外対応可能
  • 電話番号:090-3234-5867
  • Webサイト(※お問い合わせはこちらからお願いします):http://roumuing.net/index.php?FrontPage

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『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。