従業員退職時の社会保険(健康保険・国民年金)の手続きとは

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

従業員が退職する際、管轄の年金事務に「被保険者資格喪失届」を提出する必要があります。提出方法は、訪問して提出する他、郵送、電子申請が可能です。

社会保険の被保険者資格喪失日について

被保険者資格喪失届に記載する、資格喪失日は以下の通り判断し、記載します。

1:退職の場合は、退職日の翌日。※末日退社の場合は、翌月の初日。
2:亡くなった場合は、死亡日の翌日。
3:適用条件に合致しなくなった場合は、適用除外となった日の翌日。
4:事業所が廃止となった場合は、廃止日の翌日。
5:任意適用事業所が脱退の認可を受けた場合、その日の翌日。

 

被保険者資格喪失届の提出について

被保険者が資格を喪失した場合、その日から5日以内に年金事務所に届出るようにしましょう。「被保険者資格喪失届」を提出する際は、被保険者本人と、被扶養者全員の被保険者証が必要です。被保険者証を回収できない場合は「被保険者証回収不能・滅失届」をあわせて提出します。

【注意】資格喪失届の提出を、60日以上経過した場合
資格喪失届に記載する資格喪失日の日付が、受付年月日から60日以上前になってしまった場合は、退職事実を確認する書類を添付します。具体的には、退職月の賃金台帳、および出勤簿のコピー等です。

 

退職後の従業員の健康保険についての選択肢

退職後すぐに再就職する場合を除き、以下4つの選択肢があると考えて下さい。

1:国民健康保険に加入する
自営業者や学生、フリーター等の多くが加入するのが、国民健康保険です。原則として、被保険者、被扶養者といった区別がなく、加入者本人がすべて被保険者となります。医療費の自己負担は3割となります。保険料は、居住地の市町村により異なります。退職の翌日から14日以内に、居住地の市町村役所の窓口で手続きします。

2:退職前の健康保険を継続加入する(任意継続する)
退職までに、2ヶ月以上継続して健康保険に加入していれば、任意継続被保険者の資格を得られます。扶養者についても、継続加入することができます。ただし、期限が定められており、退職後2年間となります。毎月の保険料は、これまで会社負担だったものも、自分で負担しなければならないので、高額になりますが、被保険者が多い家族がいる場合などには、任意継続を検討する価値が十分あります。任意継続を希望する場合、退職後20日以内に、居住地の年金事務所(協会けんぽの場合)か、健康保険組合で手続きします。

3:親、配偶者、子どもの被扶養家族となる
年収が130万円未満(60歳以上、及び障害者の方は180万円)で、かつ、扶養になろうとする人の年収の2分の1未満であれば、原則的には、被扶養家族となる選択肢があります。この場合は、親、配偶者、子どもの加入する協会けんぽや健康保険組合で手続きします。

4:特定健康保険組合の、特定退職被保険者となる
厚生年金への加入期間が20年以上あるか、40歳以降に10年以上ある方で、老齢厚生年金受給資格のある方に資格があります。保険料などは組合によって異なるので、加入組合に問合せましょう。

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届の記入例紹介

「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」の記入の手順は以下の通りです。

  • 左上に事業所整理記号、被保険者整理番号を正しく記入
  • 退職者の整理記号、氏名、生年月日、基礎年金番号を正しく記入
  • 資格喪失日として退職日の翌日を記入
  • 備考欄に退職や死亡などの資格喪失理由を明記
  • 事業所の所在地、事業所名、事業主氏名、電話番号を記入の上、押印(会社の住所などを記した印鑑があると便利) 健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届

出典元:日本年金機構 社会保険被保険者資格喪失届
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20150407-02.html

※最近では社会保険の資格喪失届などの作成にあたって、パソコンへ入力したデータを印字することも多いでしょう。

その際には入力が間違ってないのか、印字された「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」をよく確認してから提出をするようしましょう。

特に資格喪失日などはミスをしやすい部分なのできちんと退職日の翌日になっているのかをチェックしましょう

退職手続きの際に被保険者証が回収できなかった場合

いざ退職するとなった時に従業員本人や扶養家族の保険証が回収できない場合もあるかもしれません。

その場合は社会保険の資格喪失届のほかに「健康保険被保険者被保険者証回収不能、滅失届」を添付することになります。

この書類を提出することにより、被保険者の添付がなくとも、社会保険の喪失届が受理されることになります。

記入の手順は以下の通りです。

  • 被保険者の記号、整理番号、回収不能である被保険者証の氏名、生年月日、続柄を記入
  • 被保険者を返納できない理由を記入(なくした場合は「滅失」と記入)
  • 従業員が死亡したり、消息不明になって回収できなかったりした場合はその旨を回収不能の理由として記入
  • 事業所の所在地、事業所名、事業主氏名を記入の上、押印

健康保険被保険者証回収不能・滅失届記入例

出典元:日本年機構 健康保険被保険者被保険者証回収不能・滅失届
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha2/20120803-01.html

国民年金第3号被保険者資格喪失届

退職した社員に扶養に入っている20歳以上60歳未満の配偶者がいれば、健康保険の扶養者異動届、並びに国民年第3号被保険者の資格喪失届が必要になります。

健康保険の保険者が全国健康保険協会の場合は健康保険被扶養者異動届の複写になっている3枚目が国民年金第3号被保険者の資格喪失届になっています。

会社独自の健康保険の場合は健康保険の扶養異動届と国民年金第3号被保険者の資格喪失をそれぞれ作成することになるので注意して下さい。

国民年金の第3号被保険者資格喪失届の記入の手順は以下の通りです。

  • 配偶者氏名に被保険者(今回退職する社員)の氏名、生年月日、基礎年金番号、住所を記入
  • 3号被保険者(今回退職する社員の配偶者)の基礎年金番号、氏名、生年月日を記入
  • 事業所の所在地、事業所名、事業主氏名、電話番号を記入の上、押印
  • 右下の欄に第3号被保険者本人の住所、氏名、電話番号を記入押印が必要 (本人が直筆で記入、署名した場合には押印の省略が可能な場合もある)

国民年金代3号被保険者喪失・訂正届

出典元:被扶養配偶者非該当届について – 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2015/20150513-02.html

社会保険の資格喪失届は会社側で記入、作成できるものですが、国民年金第3号被保険者の資格喪失届に関しては本人の記入または押印が必要になってくるのが注意しておきたいポイントですね。

健康保険被扶養者異動届の複写になっている関係で、基礎年金番号や氏名などは複写で

記入されてしまう場合も多いですが、右下部分の第3号被保険者本人に書いてもらう部分を忘れないようにしましょう。

健康保険任意継続被保険者資格取得申出書の記入例

退職前の健康保険に継続して加入をする任意継続の手続きをする際には「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」の提出が必要になってきます。

記入の手順は以下の通りです。

  • 勤務中に使用していた被保険者証の記号、番号を記入
  • 生年月日、氏名、男女別、住所を記入→本人の印鑑を押印
  • 勤務していた会社名、会社の住所、資格喪失日(退職日の翌日)を記入
  • 扶養者がいる場合には扶養者の生年月日、男女別、続柄、職業、収入を記入
  • 同居か別居の該当する方にチェックを入れる

※こちらは会社の印鑑が不要なので、退職者本人が作成、届け出することが可能です。

健康保険任意継続被保険者資格取得申出書

出典元:全国健康保険協会 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat240/n_syutoku_guide_140910.pdf

健康保険任意継続被保険者資格取得申出書を提出の際も、被扶養者がいる場合は収入や住所の状況を証明する添付書類が必要になってきますので、その旨を正しく退職する従業員に説明してあげましょう。

正しい社会保険の喪失手続きを把握しよう

従業員が退職をした際の社会保険の喪失手続きは正しく、滞りなく行いましょう。

その際の注意しておきたいのは以下のポイントです。

  • 記入漏れがないか
  • 住所や生年月日に間違いはないか
  • 押印漏れはないか
  • 回収した被保険者証など必要なものが添付されているか
  • 任意継続の場合は必要な情報を従業員に説明しているか

社会保険の喪失は退職した従業員の年金履歴にも影響を与える大切な手続きです。

間違いがないよう正しく行うように、細心の注意を払いましょう。

 

 

Profile

『人事労務の基礎知識』編集部
『人事労務の基礎知識』編集部
株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。