標準報酬月額の意味と決定方法

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

標準報酬月額とは

毎月納める健康保険料、厚生年金保険料を計算する際、区切の良い幅で区分けした金額(=標準報酬月額)ごとに定められた料率を用いて計算します。標準報酬月額は、健康保険と厚生年金保険で等級が異なりますので、注意しましょう。「健康保険」の場合、月額報酬によって、第1級の5万8千円から第50級の139万円まで、全50等級に区分されます。中小企業が最も多く加入する「協会けんぽ」の場合の料率は、都道府県ごとに定められています。「厚生年金保険」の場合、月額報酬によって、第1級の9万8000円から、第30級の62万円まで、30等級に区分されます。こちらについても、協会けんぽで保険料額表が公開されています。

→ 平成28年度保険料額表(協会けんぽ)

なお、標準報酬月額は頻繁に変更されます。健康保険の場合、標準報酬月額の上限該当者が、3月31日現在で全被保険者の1.5%を超えたときは、政令でその年の9月1日から一定範囲で標準報酬月額の上限を改定すること定められているためです。例年、3月、4月、9月に変更される事が多いです。

標準報酬月額:4つの決定方法

標準報酬月額は、以下の4種類の方法によって決定します。
1. 資格取得時の決定
2. 定時決定
3. 随時改定
4. 育児休業等を終了した際の改定

※その他に「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という制度があります。これは、子どもが3歳までの間、時短勤務などにより標準報酬月額が低下した場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取れる仕組みです。

1. 資格取得時の決定

入社時や、はじめて会社が社会保険の適用を受ける場合等には、以下のとおり標準報酬月額を計算します。
a. 月給・週給など一定の期間によって定められている報酬は、その報酬の額を月額に換算した額
b. 日給・時間給・出来高給・請負給などの報酬については、その事業所で前月に同じような業務に従事し、同じような報酬を受けた人の報酬の平均額
c. aまたはbの方法で計算することのできないときは、資格取得の月前1か月間に同じ地方で同じような業務に従事し、同じような報酬を受けた人の報酬の額
d. aまたはbまでの2つ以上に該当する報酬を受けている場合には、それぞれの方法により算定した額の合計額
~健康保険法 第42条より抜粋~

※ここでの報酬とは、基本給、通勤手当、各種手当(残業手当、家族手当、住宅手当など)、年4回以上の賞与などを含みます。

2. 定時決定

毎年1回、7月1日現在の被保険者を対象として、標準報酬月額の見直しをします。これを定時決定といいます。
定時決定は、同年の4月・5月・6月に受けた報酬の平均額を標準報酬月額等級区分にあてはめ、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額を決定する事です。支払基礎日数が、17日未満の月については、標準報酬月額の計算から除きます。また、6月1日から7月1日までの間に被保険者となった人、7月から9月までのいずれかの月に随時改定または、育児休業等を終了した際の改定が行われる人は、定時改定を行いません。

パート・アルバイトの場合の、支払基礎日数 標準報酬月額の決定方法
・3ヶ月とも17日以上ある場合:3ヶ月の報酬月額の平均額をもとに決定
・1ヶ月でも17日以上ある場合:17日以上の月の報酬月額の平均額をもとに決定
・3ヶ月とも15日以上
17日未満の場合:3ヶ月の報酬月額の平均額をもとに決定
・1ヶ月又は2ヶ月は15日以上17日未満の場合(ただし、1ヶ月でも17日以上ある場合は除く) 15日以上17日未満の月の報酬月額の平均額をもとに決定
・3ヶ月とも15日未満の場合:従前の標準報酬月額で決定

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3165/1963-232

3. 随時改定

報酬の額が著しく変動した場合、被保険者が実際に受け取る報酬の額と標準報酬月額がかけ離れた額になります。そのため「随時改定」として標準報酬月額の改定を行います。改定された標準報酬月額は、次の定時決定までの標準報酬月額となります。

随時改定は、次の3つのすべてにあてはまる場合に、固定的賃金の変動があった月から4ヶ月目に改定します。
・昇(降)給などで、固定的賃金に変動があった時
・固定的賃金の変動月以後継続した3ヶ月の間に支払われた報酬の平均月額を標準報酬月額等級区分にあてはめ、現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた時
・3ヶ月とも報酬の支払基礎日数が17日以上ある時

4. 育児休業等を終了した際の改定

育児休業等を終了した(育児休業等終了日において3歳に満たない子を養育する場合に限る)後、時短勤務などにより報酬が低下した場合でも、随時改定の条件に該当しない時は、被保険者が実際に受け取る報酬の額と標準報酬月額がかけ離れた額になる場合があります。この場合には、育児休業等を終了したタイミングで標準報酬月額の改定をすることができます。具体的な手続きは「健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届」を事業主が年金事務所に提出します。

【改定となる対象者】
・1歳に満たない子または1歳から1歳6ヶ月に達するまでの子を養育するための育児休業を終了した被保険者
・
1歳から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業制度に準ずる措置による休業を終了した被保険者

【改定の基準】
育児休業等終了月(ただし、終了した日が月末である場合は、その翌月)以後3ヶ月間に受けた報酬の平均月額を標準報酬月額等級区分にあてはめ、現在の標準報酬月額と1等級でも差が生じた場合に改定します。

【改定の時期】
育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過する月の翌月から、標準報酬月額を改定します。改定した標準報酬月額は、次の定時決定までの標準報酬月額となります。

 

※この情報は、2016年6月1日時点のものです。

 

 

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『人事労務の基礎知識』編集部
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株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。