[介護保険] 要支援認定と要介護認定の違い
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
介護保険の給付を受けるには、市町村(東京23区の場合は、区)から認定を受ける必要があります。
認定には「要支援」と「要介護」の2つがあります。認定を受けると介護予防サービスや介護サービスを受けることができます。今回は、要支援と要介護の考え方と認定手続きについて、確認しましょう。
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『[介護保険] 要支援認定と要介護認定の違い』
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要支援の考え方
要支援とは現在、介護が必要な状態ではないが、将来的に要介護状態になる可能性があり、現段階では、支援を行うという状態をいいます。この要支援の認定を受けると介護予防の支援を受けることができます。 要支援は介護者の状況によって、介護等認定時間が異なり、介護等認定時間により、要支援1と要支援2に分けられます。ここで介護等認定時間とは、要支援および要介護の基準を示すための介護の手間の基準となる指標になります。介護保険者がどれだけの時間の介護を必要としているかを表したものになります。認定の訪問調査をもとにその結果をコンピュータに入力して、基準時間を計算します。
要支援1とは
日常生活能力はあるが、身の回りの世話に手助けが必要な状態をいいます。要介護等認定時間は25分から32分未満となります。
要支援2とは
歩行がやや不安定な状態で浴槽の出入りに一部介護が必要な状態をいいます。要介護等認定時間は32分から50分未満となります。
要支援と判定された場合、在宅サービスとして、週1回から2回の介護予防訪問介護(ホームヘルプサービス)、介護予防通所系サービスなどが受けられます。
要介護の考え方
要介護とは、現段階で、介護が必要な状態をいいます。具体的には、身体上や精神上の障害があるために、浴槽の出入り、食事、排泄などの日常生活における基本動作の全部または一部について、3ヶ月から6か月の期間、継続して常時、介護を要すると見込まれる状態をいいます。
要介護は状況によって要介護1から要介護5の5段階に分けられます。なお、要支援の場合と同様に介護等認定時間により、段階が分けられます。
- 要介護1:歩行が不安定な状態で浴槽の出入りに一部介護が必要な状態をいいます。要介護等認定時間は32分から50分未満で、要支援2と同等の状態です。ただし、要支援2と比較して、認知症の症状が重く、排泄や衣服着脱に介助が必要とされます。
- 要介護2:一人では歩行が不可能な状態で、浴槽の出入りや排泄の介助が1日に1回は必要とされる状態です。要介護等認定時間は50分から70分未満となります。
- 要介護3:一人では歩行が不可能な状態で、浴槽の出入りや排泄の全介助が1日に2回は必要とされる状態です。要介護等認定時間は70分から90分未満となります。
- 要介護4:日常生活を送る能力が、かなり低下している状態で、浴槽の出入りや排泄、食事の全介助が1日に2回から3回は必要とされる状態です。要介護等認定時間は90分から110分未満となります。
- 要介護5:日常生活全般にわたり、全面的な介助が必要な状態で意思の伝達が不可能なことが多いです。1日に3回から4回の介護が必要とされる状態です。要介護等認定時間は110分以上となります。
要介護と判定された場合、段階によって、訪問介護のサービスが週に1回から3回受けられます。
要支援及び要介護の認定手続き
要支援及び要介護の認定手続きは本人が市長村の窓口に被保険者証および申請書(介護保険要介護認定・要支援認定申請書)を持参して認定の申請を行います。被保険者証は、65歳以上の人は介護保険の被保険者証、65歳未満の人は、医療保険の被保険者証になります。
本人が申請を行えない場合は家族による申請も可能です。また、この申請は本人または家族以外に、申請代行という方法もあります。申請代行を行える事業者は、在宅の場合は、都道府県から認定を受けた居宅介護支援事業者と呼ばれるケアマネージャーがいる事業者になります。施設の場合は、特別養護老人ホームや老人保健施設となります。
認定の申請を行った後、市長村から、訪問調査の日時に関する連絡があるので、希望の日時と場所を伝えます。その日時に市町村から認定調査員が来ます。この調査は、市長村職員や委託を受けたケアマネージャーが行います。訪問調査の際には、主治医の意見書(すでに主治医が要る人は主治医の名前と病院名を記載。主治医がいない人は市長村指定の診察を受けてから、意見書に主治医の名前と病院名を記載。)の提出が要求されます。そして、訪問調査では、介護対象のかたの身体機能や認知機能などの聞き取り調査が行われます。よって、介護対象者のかたの普段の様子を記録しておく必要があります。また、訪問時の介護対象者の体調管理にも、気を付ける必要があります。この訪問調査後の最終判定は、市長村に設置されている介護審査会で行われます。ここで、要支援か要介護の判定結果が出されます。この判定結果については、市町村から通知書が届きます。判定結果で、要支援ないし要介護と判定されれば、介護保険を利用することができます。通知書には、要支援2段階と要介護5段階の段階ごとに利用金額が提示されています。
介護予防・日常生活支援総合事業
平成27年4月の介護保険の法律が変わり、介護保険サービスの中で、介護の必要度が低い要支援向けの介護サービスの一部が自治体の総合事業に移ることとなりました。この目的は、公的なサービスに頼る前に自分で行えることは自分で行うという自助の精神の考え方を重視しています。結果的には、介護予防サービスの一部を自治体の総合事業に委ねることになります。効果としては、介護保険がひっ迫されている現状を解消できるようになると考えられています。
自治体の総合事業は、自治体が主体となって、地域の実情に応じて、場合によっては住民が参加することで要支援者に対する支援を行う事業です。よって、地域間における支援の格差が出る可能性もりますので、今後議論の対象となることが想定されます。
まとめ
要支援と要介護と認定された場合、介護保険のサービスが受けられます。要支援の場合は比較的軽い症状なため、自治体にサービス内容が委ねられています。高齢者の増加で、介護保険の財政や介助する人材に余裕がなく、自治体に頼るしかない状況にあるといえますが、自治体によっては、十分なサービス提供ができない自治体もあります。自分の属する自治体の要支援・要介護の状況を、ホームページ等で確認してみましょう。
今後は要支援か要介護かの判断が大変重要になります。この判断によって、被保険者の経済的負担は大きく異なるようになります。また、要介護と判断された場合は、段階に応じた適切な介護が必要にるので、できれば申請の前に、家族の介護が必要になった段階で、ケアマネージャーなどの専門家に相談するようにしましょう。
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