従業員雇用手続き全体の流れと、4つの重要なマイルストン

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

従業員を新規雇用すると、様々な手続きが必要となります。また、役所へ届出が必要な文書も複数存在します。ここでは、雇用手続きの流れ(全体像)を、採用内定~入社日~給与締日~給与支払日までの、4つのマイルストンで説明します。

こちらの記事も参考にしてください;
-『[雇用手続き] ワーホリでオーストラリアから帰国した人の雇用時に注意する点

内定を出したら、条件の合意を文書で残す

重要
・雇用契約書/労働条件通知書 で、雇用条件と労働条件の合意を書面で残す!

一般的な意味の「内定」と異なり、就職での「内定」は、正式に労働契約が成立した法律的意味を持ちます。つまり、書面で労働条件を提示し、労使(入社しようとする人、雇用する企業)間で合意している状態を意味します。スタートアップや小規模事業者の場合、口頭での合意だけで契約成立とするケースも少なくないかも知れませんが、必ず文書で残すようにしましょう。合意した事を文書で残す事により、後々の不要なトラブルを防ぐことが出来ますし、そもそも法律で文面提示が必要な事項というのもあります。(→ [従業員に対しての義務] 労働条件通知書)

雇用条件・労働条件を記載した文書のことを「雇用契約書」や「労働条件通知書」という名称で呼ぶことが多いですが、文書名は特に法律で決められているわけではありません。では、どのように条件を記載すればよいのでしょうか。厚生労働省がWebサイトで公開しているひな形を参考にして記載するとよいでしょう。厚生労働省のWebサイトで公開されているひな形と同様、法令準拠した「雇用条件・労働条件通知書」をGozalで自動生成できます。
なお、総従業員(常時雇用)数が10人以上の事業所には「就業規則」の作成・届出が義務付けられています。網羅性と具体性のある就業規則をつくるために、社労士や弁護士に相談するという方法もあります。

入社日までに、従業員に準備してもらうこと

重要 
入社日までに、下記の情報を従業員に準備してもらいます。

  • 源泉徴収票:前職を辞めた年に入社する場合に提出してもらいます。所得税の年末調整に使用します。前職の会社には、源泉徴収票を発行する義務があります。発行してくれない場合は、税務署に相談しましょう。紛失した場合は、前職の会社に再発行を依頼する必要があります。
  • 扶養控除等(異動)申請書:扶養者がいなくても提出してもらいます。扶養や配偶者の有無など、所得税の計算や、児童手当のための情報として使用します。国税庁のWebサイトからダウンロードし印刷しましょう。
  • 年金手帳:社会保険(厚生年金)に加入する際、年金手帳に記載されている「基礎年金番号(被保険者番号)」が必要になります。該当ページのコピーをとった後、従業員に返却します。
  • 雇用保険被保険者証:前職で雇用保険(労働保険)に加入していた場合に必要です。被保険者証に記載されている番号は会社を変わっても有効なため、その番号を用いて従業員の雇用保険加入手続きをします。紛失した場合でも、新しい番号で雇用保険に加入することができますが、その場合、失業給付(金)や、教育訓練給付制度などの受給資格を満たさないなどのデメリットが発生する可能性があります。
  • 給与振込先の情報:給与を振込むために必要です。
  • 通勤交通費:通勤交通費を手当として支給する場合に必要。電車で通勤する場合は、自宅の最寄り駅と、会社の最寄り駅、および定期代の情報が必要です。

入社後すみやかに実行すべきこと

重要
従業員:毎日の出勤・退勤時間、休暇を記録する
会社側:労働保険(労災保険・雇用保険)、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続きをする

入社後は、毎日の出勤・退勤時間、休暇の情報を従業員ごとに記録する必要があります。市販のタイムカードなどのほか、エクセルやGoogleスプレッドシートに記載(記録)・管理しても構いません。この情報は、給与計算するための資料にします。
労働保険と社会保険は、ほぼすべての法人に加入が義務付けられた国家制度です。詳しくは「[労働保険] 労災保険と雇用保険とは」「[社会保険]健康保険と厚生年金保険とは」をご覧ください。

給与を支払う

重要:給与支払日を忘れない。忙しくても必ず振込む。

給与は、事前に決めた雇用条件で提示した期日に必ず振り込みます。毎月1回給与を振込むという原則が、労働基準法で定められています。

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