給与計算のアウトソーシング先を、 社会保険労務士・税理士・それ以外の業者で徹底比較
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
毎月行わなければならない給与計算。社会保険料の計算や所得税の計算など、行うことも多いです。従業員の給料のことなので間違いたくないため、アウトソーシングしたいとお考えの方も多いのではないでしょうか? ここでは、どこに給与計算をどこに頼めばいいのかを徹底比較します。
1.難しい給与計算を任せられる専門家
給与計算は正確さが求められます。間違ってしまうと従業員との信頼関係も悪くなる可能性もあります。給与計算をアウトソーシングする場合、専門家に頼むことを検討する方が多いと思います。ここでは、専門家として社会保険労務士、税理士、給与計算の代行業者のそれぞれの特徴を比較・検討していきましょう。
2.社会保険労務士に依頼する場合のメリット・デメリット
社会保険労務士とは労働や社会保険に関する法律、人事・労務管理などの専門家です。従業員の入・退社時の社会保険や労働保険の各種手続など、労働社会保険の手続業務を行います。略称として社労士と呼ばれます。
<メリット>
①知識がある専門家なので安心
社会保険労務士(社労士)は、社会保険労務士試験に合格し登録した人しかなれません。そのため、労務についての高い知識を有しています。給与計算において間違いやすい箇所は、社会保険料の計算や残業代の計算などです。社会保険料や残業代の計算(考え方)の正確さは、専門の社会保険労務士が一番安心です。
②独占業務
「関係書類の作成業務」と「代理・代行業務」は社労士のみが行える独占業務です。
●関係書類の作成業務
社会保険の算定基礎届や労働保険の年度更新など、労働社会保険等の書類の作成業務。
●代理・代行業務
上記のような労働社会保険関係の書類を会社に代わって行政官庁に提出する業務。会社に代わって、陳述や要望などを行政官庁に提示することもできる。
<デメリット>
給与計算をアウトソーシングする場合、給与計算は毎月発生するものなので、継続したお付き合いになります。そのため、会社にあった社労士に頼みたいと思うのが本音ではないでしょうか。中小企業の場合、まだまだ社労士に給与計算を頼んでいる会社は少ないのが現状です。知り合いの社長からの紹介も、税理士など他の士業に比べ少ないため、自社にあった社労士を探すのは難しいかもしれません。また、報酬額も高くなることがあるため、注意が必要です。
3.税理士に依頼する場合のメリット・デメリット
経理や会計について、税理士にアウトソーシングしている会社も多いのではないでしょうか。税理士には所得税の知識があるため、給与計算を業務として請けてくれる場合があります。
<メリット>
①自社のことをよくわかっている。
経理を見てもらっているため、自社のことをよくわかっています。会社側としても税理士のことをよく知っているため、安心感があります。
②料金が安い
通常、税理士には毎月顧問料を支払っています。毎月の給与計算をその中に含める税理士も多くいます。その場合、給与計算のアウトソーシングにかかる料金は0円です。また料金が生じたとしても毎月の顧問料は既に発生しているため、追加料金として少額の場合が多いです。
<デメリット>
上述したとおり、社会保険や労働保険については社会保険労務士の独占業務です。書類作成のお手伝いはしてもらえますが、少なくとも代理提出はできません。
4.その他の選択肢について
給与計算をアウトソーシングする相手先として、社労士や税理士以外にどのようなものがあるかを見ていきましょう。
専門業者
給与計算を代行する専門業者がいくつかあります。代行業者は一般的に専門家に頼むより料金が安いです。しかし、多くのスタッフで分業して作業しているため、スタッフ間の信頼性のばらつきが激しいと言われています。代行を依頼する場合は、発注側である自分自身に、業者や、業者のスタッフの能力を見極める責任が生じます。
クラウド給与計算ソフト
アウトソーシングとは少し違いますが、自社でクラウド給与計算ソフトを導入する方法もあります。
クラウド給与計算ソフトは、そもそもバックオフィス業務の手間を省くように作られていますので、簡単に給与計算でき、社会保険料や源泉税の計算も正確です。また、金額も安く、無料の試用期間もあるので自社に合っているかどうかの評価もしやすいです。税理士の中にも積極的にクラウド給与計算ソフトを導入している、または利用したいと考えている事務所は多いです。これは、顧客とは継続的なお付き合いをしているため手助けをしたいが、すでに顧問料をもらっているため、給与計算をすることにビジネスとしてうまみが少ないのも事実としてあるからです。
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