育児休業給付金を自分で計算してみよう
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
育児休業給付金とは、育児休業を取得する人の生活を支援するため、雇用保険から支給される給付金です。育休中は会社から給与が発生しないため、原則として子供が満1歳なるまで給付されます。
パートタイマーやアルバイト、契約社員など雇用形態に関わらず、雇用保険に加入していれば育児休業給付金を受けることが出来ます。(※週20時間以上働いていれば雇用保険の加入義務があります)
ここでは、給付金の対象条件や計算の方法についてご紹介します。
こちらの記事も参考にしてください:『出産・育休・職場復帰する従業員の手続き[永久保存版]』
給付金をもらうには
育児休業は産休期間(8週間)後から、育児休業期間が開始となります。(男性社員の場合は、出産日又は出産予定日からです)
休業に入ってから最初の180日分は賃金月額の67%、180日以降は50%が支給されます。
ただし、雇用保険に加入しているからといって必ず支給されるわけではなく、下記の条件を満たす必要があります。
給付を受けるための条件
- 育児休業前の2年間のうちに、11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
- 育児休業中に勤務先から1ヵ月に月給の8割以上の手当等を貰っていないこと
- 育児休業中に就業していると認められる日が10日以下であること(※10日を超える場合は、就業していると認められる時間が80時間以内であること)
- 休業日数が対象期間中に毎月20日以上あること(※終了日を含む月の場合、1日でも休業日があればOKです)
- 育児休業後に働く意思があること(契約社員などの場合は、同じ会社に子が1歳に達する日(誕生日の前日)以降も雇用される見込みがある人
給付金の計算方法は?
育児休業給付金の額は、1か月あたりの賃金月額×支給日数の67%(育児休業の開始から180日経過後は50%)です。
賃金月額の計算対象となる給与には、交通費や残業代、家族手当等各手当も含みます。つまり、給与明細の保険料等の控除前の金額を計算に使用すると考えておくと良いでしょう。
給与 300,000円(交通費含む、残業手当なし)の場合
- 賃金日額(1日あたり):10,000円(計算式:休業前6か月分の給与÷180日)
- 賃金月額(1月あたり):300,000円(計算式:賃金日額×30日)
上記で導き出された「賃金月額」を元にした計算例)
【計算式】
- 1か月の給付金(育児休業開始日~180日目まで) = 賃金月額×67%
- 1か月の給付金(181日目以降~終了まで) = 賃金月額×50%
※1歳になる前に復帰するなどの場合は支給期間が30日ではなく端数になります。その際は賃金日額に日数をかけて計算します
- 休業最終月で15日まで休業した場合 10,000×15×50%=75,000
育児休業給付金を計算する時の注意点
育児休業給付金の賃金月額には上限と下限が定められています。(平成28年8月1日現在)
- 賃金月額上限: ¥424,500
- 賃金月額下限: ¥68,700
これを計算式に当てはめると、支給の上限額は支給率67%で 284,415円、支給率50%で212,250円となります。給与が多ければ多いほど支給額が多くなるわけではなく、逆に実際の支給額が67%または50%を下回る場合もあります。この上限額は毎年8月1日に見直しがありますので、確認するようにしましょう。
生まれてくる子供の人数が増えても育児休業給付金の支給額は変わりません
- ※出産育児一時金や産前産後休業の場合は支給額や休業期間が変わります)
1歳6ヶ月まで支給を受けられる「特別な理由」とは
冒頭で、育児休業給付金の支給期間について「子供が1歳になるまで給付されます」と記載しましたが、特別な理由がある場合は最長1歳6ヶ月まで延長する事が出来ます。
<特別な理由>
- 配偶者の病気や死亡、離婚など
- やむを得ない事情で養育が困難となった場合
- 保育所に入所を希望して申し込み中だけど、入所できない場合(出産から一年経っても保育園に入れなかった場合)
上記のような場合は、最後の育児休業給付金の申請時に延長する理由を証明できる書類(入所不承諾の通知書など)を添付して、管轄のハローワークに書類を提出します。 延長理由によっては必要書類が変わりますので、ハローワークに相談してから手続きすると良いでしょう。</>
申請手続き
育児休業を取得する本人が行うことも出来ますが、賃金台帳や出勤簿などの添付書類が必要なため、会社が手続きを行うのが一般的です。下記の書類を記入して、管轄のハローワークへ提出しましょう。(手続書類はハローワークでもらえます)
手続に必要な書類
- 育児休業給付金支給申請書
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
- 各添付書類(賃金台帳や出勤簿、母子手帳の写しなど支給申請書の記載内容を確認できる書類)
初回の支給申請は育児休業を開始した日から4か月目の月末までに行ってください。この期限を過ぎると、育児休業給付金は一切もらえません。それ以後の手続きは、ハローワークの指示する提出期限までに提出しましょう。
初回の申請が下りるまではかなり時間がかかります。実際に育児休業中の本人のもとへ振り込まれるのは、申請から1~2ヶ月程かかりますので、早めに手続きをしましょう。
まとめ
育児休業給付金は、賃金日額・賃金月額さえ分かれば、そこに支給率を掛けるだけなので簡単に計算できます。注意しなければならないのは、「対象の条件を満たしているか」という事です。また、最近は待機児童も多いので早めに延長するかどうかの確認をしておく事も必要です。
出産して休業している従業員にとっては、経済的な不安は大きいでしょう。条件を満たしているのであれば、早めに申請してあげましょう。産休中・育休中は社会保険料の免除出来ますので、忘れずに手続きを行ってください。
こちらの記事も参考にしてください:『出産・育休・職場復帰する従業員の手続き[永久保存版]』
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