[2017年度版] ユニークな勤務制度が魅力の企業10社

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

ユニークで魅力的な勤務制度を持つ企業10社をピックアップ!

結婚や育児、介護といったライフイベントは、今や男女問わず「仕事と自分」とのありかたを考えるきっかけになるもの。そうした人生の節目をバックアップできるような働き方を整えることは、企業のイメージアップにつながることはもちろん、優秀な人材の獲得や離職率の抑制にもつながります。働く時間、場所、さらには根本的な仕事そのもののあり方を問うものまで、さまざまな勤務制度を採用している企業を集めてみました。

「完全週休2日制」でなければいけない理由などない?

月曜日から木曜日まで働き、週末の土・日曜日は休む。この王道スタイルでは働き過ぎではないのか? そもそも、みんなが土・日に休まなくてはいけないものなのか? 「完全週休2日制」にメスを入れた3つの企業をご紹介します。

株式会社ファーストリテイリングの週休3日制

ユニクロなどを展開する株式会社ファーストリテイリングでは、転居を伴う転勤のない「地域正社員」を対象に週休3日制を導入しています。通常は1日8時間・5日間の週40時間勤務。1日10時間・4日間(土・日を含む)という働き方を選ぶと、1週間の勤務時間は通常と同じ40時間を確保したうえで、平日に3日休みを取ることができるというものです。土・日の休みにこだわらない人には、ありがたい制度ですね。
「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー株式会社でも、数年後には全社員を対象に週休3日制の導入を目指すことを表明し、話題になりました。準備段階として、現在は土・日となっている休業日を、平日も含めて社員に好きな日を選択させる制度を取り入れるようです。
参考URL https://www.fastretailing.com/employment/ja/uniqlo/jp/career/regional/sp/threeday_weekend/

SanSan株式会社の「どに~ちょ」

企業向け名刺管理クラウドサービスを手がけるSanSan株式会社。ユニークな社内制度がたくさんあることでも有名ですが、休日振替制度「どに~ちょ」もその一つ。平日の勤務を休日(土・日・祝)に振り替えることができるのです。ちなみに週に1日、月4回を上限に在宅勤務ができる制度の「イエーイ」、体調が悪かったり育児や家族の看病を理由に在宅勤務ができる制度の「イエーイケア」も。こうしたユルいネーミングには、社員が利用しやすいようにという狙いもあります。
参考URL https://diamond.jp/articles/-/40794

ユナイテッド株式会社の「金曜どうしよう?」

「金曜どうしよう?」は金曜日の午後は半ドン、つまりお休み。この制度を導入しているのは、スマホアプリや広告配信プラットフォームなどを手がけるユナイテッド株式会社です。勤務時間を短くすることで効率性を意識して仕事に取り組むこと、平日の午後を知識や文化的なものを仕入れる時間として使うことを、社員の方に期待しているというわけですね。
参考URL http://united.jp/recruit-info/benefits/

労働のあり方を問う制度

フレックスタイム制を導入する企業も増えてきていますが、もう一歩踏み込んだ制度を取り入れている企業もあります。

株式会社スタートトゥデイの「ろくじろう」

ファッション通販サイト『ZOZOTOWN』などを運営する株式会社スタートトゥデイには、6時間労働制、通称「ろくじろう」という制度があります。就業規則での勤務時間は8時間ですが、昼休憩なしで午前9時から午後3時まで6時間働き、するべき仕事が完了すれば退社してもよいというものです。社員は午後3時までに仕事を終わらせるために、いかに無駄を省いて仕事をこなすかを考えることになり、生産性が上がったといいます。午後3時に退社すれば、夜までのひとときを有意義に使えそうです。
参考URL https://corp.zozo.com/recruit/welfare/

伊藤忠商事株式会社の「朝型勤務」

旧来の勤務体制を改めるのがなかなか難しそうな老舗企業もがんばっています。伊藤忠商事株式会社は2013年、「朝型勤務」制度を創設。午後10時~翌午前5時の深夜勤務を「禁止」、午後8時~10時を「原則禁止」(事前に申請すれば可能)としました。海外とのやり取りがあるため、深夜勤務はこれまで「原則禁止」としていたのが、申請そのものができない「禁止」レベルに引き上げられています。そのかわり、午前5時~8時の早朝勤務を推奨。この時間の時間外割増賃金を、深夜勤務と同額に設定しています。さらに8時までに業務を始めた社員には、バナナやヨーグルトなどの軽食を無償でサービス。結果、残業時間は減り、社員からも仕事の効率が上がったと評判です。
参考URL http://www.itochu.co.jp/ja/csr/employee/safety/working_style/

働く場所を柔軟に

かなりの企業が導入している在宅勤務制度。1か月のうち、上限を決めて在宅勤務を認めているというところが多いのではないでしょうか? ここでは多彩な勤務制度設計で定評のある、株式会社サイバーエージェントとサイボウズ株式会社の例をご紹介します。

株式会社サイバーエージェントの「キッズ在宅」

「アメーバブログ」などのインターネットサービス事業で知られる株式会社サイバーエージェント。女性社員向けの制度が充実していることで有名ですが、そのひとつに「キッズ在宅」という制度があります。子どもの急病や登園禁止期間の際、在宅勤務ができるというもので、契約労働時間を上限に利用できます。子どもの病気のために会社へは行けなくても自分は元気なので、看病しながらでもできる範囲で仕事ができるなら一石二鳥です。
(参照先の公開が終了しました)

サイボウズ株式会社の「ウルトラワーク」

サイボウズ株式会社は、企業向けグループウェアの開発や販売を手がける企業。勤務時間の長短と勤務場所の自由度(オフィス/オフィス以外)によって、勤務体制を9タイプに分類し、育児や介護といったライフステージの変化に合わせて勤務タイプをその都度選択できる制度を採用しています。設定した勤務タイプで雇用契約を結びますが、契約とは異なる働き方を単発(総労働時間の1割程度と定義しています)ですることが認められていて、こうした制度を「ウルトラワーク」と呼んでいます。いつもは会社で仕事をしている人が、たまには在宅で…というときに上司に申し出る、というようなことができるわけですね。
参考URL http://cybozu.co.jp/company/job/recruitment/company/welfare.html?_ga=1.167906723.386146982.1476202104

自由度が高すぎる勤務制度

「成果が上がればいい」「勤務時間は決まってない」「どこで仕事をしてもいい」。自由すぎる勤務制度の企業もあります。働くことについて、これまで持っていた固定観念がひっくり返されるかもしれません。

ゼロベース株式会社の「個人独立採算制・完全成果報酬制」

さまざまなウェブサービスを開発しているゼロベース株式会社では、独立採算制・完全成果報酬制を取っています。社員はプログラマやデザイナー、プランナーといった人々。たとえば、プランナーが社外から仕事を受注し、社内にいるデザイナーやプログラマに発注します。プランナーが提示した金額が気に入らないなら、その仕事を受ける必要はありませんし、プランナーは社外のデザイナーに発注することもできるというわけです。社員ということで社会保険完備。法人格のある企業に勤めているので保育園に子供を入れたり、住宅ローンの審査を受ける際、フリーランスよりも信用されるというメリットがあります。
参考URL https://www.zerobase.jp/career/

株式会社エス・アイの「自由出勤・完全時間給制」

データ入力や加工、分析といった情報処理サービスを手がける株式会社エス・アイ。兵庫県姫路市にある従業員約50名の企業ですが、「自由出勤・完全時間給制」が話題となっています。自由出勤制度ではコアタイムすらなく、いつ出勤・退社してもOK。一度家に戻って用事を済ませてからまた出社、ということも可能です。給与は賞与も含めて完全時給制。時給は、実績をもとに半年ごとに見直しを実施しています。従業員はすべて正社員。正社員に時間給を取り入れるとは、なかなかの英断ですね。
参考URL http://si-himeji.co.jp/info/recruit.html

株式会社アールストアの「仕事場はどこでもよい」

実店舗を持たず、ネットでデザイナーズやリノベーションの賃貸物件を扱う株式会社アールストア。社員のリクエストによって、「週5日出勤を条件に休みは自分で決めてよい」「当日、会社にメールをするだけで出勤時間を調整できる」など、さまざまな勤務制度を作り上げてきました。「仕事場はどこでもよい」もそのひとつ。連絡が取れるようにさえしておけば、月曜日の全体ミーティング時以外、家やカフェで仕事をしてもOKなのです。午前9時~午後6時が勤務時間となっていますが、こうした制度を使うことで、勤務時間や勤務場所を柔軟に設定することができます。
参考URL http://r-blogs.jp/author/r-asai/1344/

まとめ

子どもの世話、親の介護、地域社会への参加。ひとりの人間が家庭や社会の中で果たさなければならない役割は、今どんどん増えています。そうした役割を担ったうえで、生きるために仕事をしなければなりません。女性、男性の垣根もなくなりつつあります。社会の中でさまざまな役割を求められる社員をバックアップするのも、企業の大切な役割。また、社員の働き方を見直すことで、結果的には効率性の向上や経費削減につながることも多いようです。せっかく育てた社員には、長く働いてほしいもの。社員のライフステージによりそえるような勤務制度を考えてみてはいかがでしょうか。