「離職票-2」発行に必要な「雇用保険被保険者離職証明書」の書き方
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
従業員が退職すると会社は様々な手続きをしなければなりません。社会保険と雇用保険では提出期限や添付書類が違うので、手続きの件数が少ない中小企業や開業して間もない企業では、分からないことも多く手間がかかってしまうかもしれません。特に「雇用保険被保険者離職票-2」の発行手続きは難しいと感じることが多いと思います。
今回は、雇用保険被保険者離職票-2を発行手続きの時に必要な、雇用保険被保険者離職証明書の離職理由欄の記載について解説します。
「雇用保険被保険者離職票-2」が、退職者にとって重要な理由
「雇用保険被保険者離職票-2」(以下「離職票-2」)とは退職者に渡す書類の1つで、失業保険の受給手続をする際に必要な書類となります。退職する従業員に、失業保険を受給するつもりがあれば、「雇用保険被保険者離職票-2」は大変大切なものとなります。
「離職票-2」)は、会社側が退職日の翌日から10日以内に、退職者の「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を、公共職業安定所(ハローワーク)に提出すると発行されます。
こちらもご参考ください:『「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」について 』
「雇用保険被保険者離職証明書」の「離職理由欄」は、失業保険の給付内容と直結!
「雇用保険被保険者離職証明書」を提出する際、最も注意しなければならないのが、「離職理由欄」への記入内容です。
A3サイズの横長の用紙の右側いっぱいに、離職理由欄があり、欄の中で離職理由が細かく分類されて記載されています。
この記載されている離職理由の中で、どれに該当しているかによって、退職者の受けられる失業保険の給付日数や給付金額が大きく変わってくるのです。
「雇用保険被保険者離職証明書」の離職理由欄の記入方法をやさしく解説
初心者だとどうしても「書き方が分かりずらい!」と思ってしまう「雇用保険被保険者離職証明書」の離職理由欄。でもここで記入した離職理由によって、退職者の失業保険の内容は大きく変わります。また、記入内容によって提出の際の添付書類も変わります。
以下、具体的なケース毎に解説します。
会社の倒産、支店等の閉鎖、休業の場合
この欄に記入する場合は、倒産等で「従業員が退職を申し出た」場合のみです。倒産等のため「解雇」した場合は、後ほど説明する「事業主からのはたらきかけによるもの」に該当するので間違えないように気を付けましょう。
- 倒産に伴い従業員が退職を申し出た場合は(1)にチェックをします。
- 支店等の閉鎖、休業のため従業員が退職を申し出た場合は(2)にチェックをします。
- 下部の「具体的事情記載欄(事業主用)」に閉鎖した日などの内容を記入します。
工場閉鎖のため退職した場合の記入例
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提出時の添付書類
- 倒産等:倒産(民事再生手続)の申立が受理されたことを証明する書類
- 支店等の閉鎖、休業:労働保険の適用事業所廃止届等、閉鎖した事実が確認出来る書類
従業員が定年に達した場合
定年の場合は、対象の従業員が定年後も働く意思があり雇用継続を希望していたかどうかによって、失業保険の内容が変わるので注意しましょう。
定年年齢、退職者本人の雇用継続の意思を記入します。「希望していた」場合は、何故退職に至ったのかをa~cより選択し、「具体的事情記載欄(事業主用)」に記入してください。
従業員が定年に達した場合の記入例
【 拡大して表示する 】
提出時の添付書類
- 就業規則や労使協定など、定年の際の会社の対応を定めた書類
労働契約期間満了などの場合
派遣社員の退職や、契約社員などが契約期間満了で退職する場合はこの欄の(2)にチェックし、従業員の契約状況、契約更新の希望の有無等を記入します。(派遣社員は(2)の②)
また定年に達した従業員が再雇用され、雇用期限が到来した場合も「定年によるもの」ではなく「労働期間満了」に該当し、その際は(1)にチェックします。
派遣先での就業を拒否した場合の記入例
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提出時の添付書類
- 労働期間満了:就業規則、労働契約書、雇入通知書など
- 契約期間満了:労働契約書、雇入通知書、契約更新の通知書、出勤簿など(定年について定めたものや、退職者の労働状況が分かるもの)
解雇や退職勧告など、事業主から退職を働きかけた場合
解雇や退職勧奨(退職を勧める)などの場合はこの欄に(1)~(3)に記入します。倒産や支店の閉鎖等でやむを得ず解雇した場合は(1)に該当します。
解雇や退職勧告など、事業主から退職を働きかけた(会社都合)場合の記入例
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提出時の添付書類
- 解雇予告通知書
- 就業規則
- 解雇の場合、解雇予告手当の支払いが分かるもの
- 希望退職の場合、希望退職への応募の事実が分かる書類
自己都合退職など、労働者の自己判断の場合
給与の低下や職種が変わる、会社の移転など労働条件に関わる問題等で従業員がその条件には対応出来ないと判断した場合、自己都合退職などがこれに当たります。(1)の①~⑥又は(2)のうち、状況にあてはまるものにチェックします。
自己都合退職など、労働者の自己判断の場合の記入例
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提出時の添付書類
- 労働契約書
- 退職届
- 転職拒否の場合、転勤辞令の写し
- 会社移転の場合、会社移転の通知書
- その他、チェックを入れる箇所によって添付書類が変わります。ハローワークに電話して確認しましょう。
その他の場合
上記以外のどれにも当てはまらない、イレギュラーな場合はこの欄に記入します。
余程のことがない限りこの欄に記入することはありません。
「その他」に該当するか、それ以外に該当するか自分で判断できない場合は、ハローワークに電話して確認しましょう。
提出時の添付書類
- 事実確認をできる書類
まとめ
「雇用保険被保険者離職証明書」の離職理由欄は、「退職に至った経緯」を記入するだけです。必要以上に難しく考える必要はありません。
ハローワークに提出する際の添付書類は、何が必要なのか分かりにくいかもしれません。基本的には「退職時の状況や事実が確認出来るもの」と覚えておきましょう。もし迷った場合は、提出前にハローワークに電話して確認しましょう。
離職理由は退職者の失業保険の内容に大きく影響します。記入ミスのないよう気を付けましょう。
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