中小企業で採用する際の応募受付と選考管理
執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 | |
企業の存続には人材の採用は欠かせないものですが、採用を初めてする場合にはどんな手順で応募を受け付けるのか、よくわからない担当者も多いのではないでしょうか。選考の管理もどのように行っていけば、適切に実施できるのか、順を追って説明していきましょう。選考の手順をしっかり把握して、企業にとって有益な人材の採用を実現しましょう。
実際の応募受付方法とは
いざ、人材を採用しようとなると実際にどのような応募受付方法があるのでしょうか。応募受付方法は大まかに挙げると以下のような方法があります。
A.就職サイトによる応募受付(ホームページによる応募受付)
B.転職エージェントによる人材紹介依頼
C.ハローワークへの求人の申し込み
A.就職サイトによる応募受付
就職と言うと就職専用のサイトがまずは思い浮かびますが、サイトを利用する際の手順は以下の通りになります。
◯ターゲット層に合ったサイトをピックアップする
◯候補のサイト管理会社に連絡を取って見積もりをもらい、検討する
◯利用するサイトを決めて求人情報を載せ、エントリーを受け付ける
昨今では新卒向け、転職者向け、第二新卒、既卒向け、管理者などのエクゼクティブ向けなどの多様な転職サイトが存在します。まずは採用したいターゲット層を定め、そのターゲット層に適した就職サイトの候補を上げましょう。サイトの利用料金は会社によって異なり、特に大手であるほど料金は高くなります。
しかしながら、大手であるほど知名度が高く、多数の応募が見込めますので、費用対効果を考えながら自社の状況に合わせて検討してみて下さい。
また、求人情報の掲載サイトを決める際には料金の値下げ交渉は必ずしてみて下さい。特に新卒向けなどは100万円以上するなど高価なサイトもあり、交渉によって3割程度の値引きが可能な場合があります。
※サイトの応募が決まったら、自社ホームページにも採用情報のコーナーを作り、応募受付をクリックすると就職サイトのエントリー受付画面になるようにリンクを張ると便利です。
B.転職エージェントによる人材紹介依頼
転職エージェンは人材の紹介依頼を行って、求人情報を非公開にし、ある程度こちらの応募条件に合った人材をエジェーントの人に紹介してもらうというのが基本的なシステムです。会社にもよりますが、実際に採用に至った場合のみに報酬が発生する成功報酬型の転職エージェントが多いです。
しかし、成功報酬は採用した人材の年収の3分の1程度が相場であり、費用は高くかかります。それだけ、人材を絞る手間も省け、応募してくる人材の質に期待できるというメリットもあります。
C.ハローワークでの求人の申し込み
ハローワークでの求人は無料で行えるのがメリットです。会社の管轄のハローワークに求人の申し込み手続きを行うことによって、ハローワークで求人情報の公開を行うことができます。これはネットでの公開も可能ですが、実際に応募するのは現在失業している人材であることがほとんどです。それでも以下のような強みがあります。
- 採用内定後すぐに働ける
- 失業中なので年収などの希望条件が緩い場合が多い
- 会社の近くに住んでいる応募者が多い
これらのメリットを生かしたい場合にはハローワークに求人を出してみるのも良いでしょう。
選考は実際にどのように行うのか
それでは実際に選考はどのように行うと良いのでしょうか。選考方法として挙げられるのは以下のような方法です。
Ⅰ.書類選考(エントリーシート・履歴書・職務経歴書など)
Ⅱ.筆記試験
Ⅲ.面接
Ⅰ.書類選考とは
応募を受け付けるとまずは書類選考をする会社も多いでしょう。書類選考では主に履歴書と職務経歴書を提出してもらいます。中途採用の場合には履歴書の職歴や職務経歴書から、応募者の持っているスキルを判断して、面接に呼ぶかどうかを決めると良いですね。
エントリーシートは主に新卒採用などで、職歴がないために本人のポテンシャルを判断する材料に使います。また新卒採用の場合はエントリー件数だけでもかなりの数になる場合があるので全員と面接をすることは難しく、エントリーシートで応募者をある程度絞り込む際にも有効的です。エントリーシートの内容を確認することで本人の自己PR や志望動機などをある程度把握できます。
Ⅱ.筆記試験とは
筆記試験も主に新卒採用で応募者を絞る際に行われている場合が多いです。いわゆるSPIと言われるような、言語や数学などの基本的な学力や性格などを測定します。これは多くの業者で取り扱っていますが、問題の使用や結果の連絡などに応募者一人当たり数千円程度かかる場合が多いです。
中途採用の場合には筆記試験を行わないことも多いですが、本人の基本的な能力を見たい場合に実施したり、専門性を確認するために専門的な自作のテストなどを導入したりする会社もあります。自社の応募者の選考基準に応じて実行するかどうかを決めましょう。
Ⅲ.面接とは
選考を行う際に面接は欠かせないものです。面接は以下のような種類があります。
- 個人面接
- グループ面接
- 一次面接
- 役員面接
中途採用などの場合など選考過程が少ない場合には、個人で時間をかけてじっくり行うのがおすすめです。一方で、新卒採用など応募者が多い場合にはグループ面接を導入しても良いでしょう、一人当たりにかける時間は少なくなりますが、それだけより多くの学生と直接面談することになります。
面接の回数は会社によってさまざまですが、中途採用の場合は1~2回が多いのではないでしょうか。一次面接で配属部門の課長や採用担当、二次面接で配属部門の役員や人事系の役員、社長などで行うのが一般的です。小規模な会社などは社長が一回のみの面接で採用を決定する場合もあります。会社の規模や就業環境に応じて、面接官を決めるようにしましょう。
選考の適切な管理方法とは
応募を受け付けて選考を実施していくにあたっては応募者の管理がとても大切になってきます。以下の内容をポイントにして的確に管理していきましょう。
- 書類選考通過者、面接通過者などを明確にする
- 面接合格の連絡を間違って落ちた人に行わないようにする。
- 応募書類の管理を適切に行う
パソコンのデータで簡単に面接の通過者などがわかるようにしておきましょう。大手転職サイトを利用すれば、ネットを通じて応募してきた応募者のデータを管理することも可能ですし、ダウンロードしたデータをエクセルなどでアレンジして活用するのも良いでしょう。また、間違って選考に漏れた人に合格の連絡や次の面接の連絡がいかないように、間違いなく管理を行いましょう。
更に応募書類の管理は個人情報にもなるので細心の注意を払いましょう。中途採用など数が多くない場合には、履歴書などの応募書類は本人に郵送して返却するのが一般的です。その際は取り扱い者も限定して、間違いのないように確実に行いましょう。
詳しくは以下を参考にしてください。
引用元:厚生労働省「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針について」
まとめ
人材を採用する場合も応募受付と選考管理は採用の要です。以下のポイントを大切にして取り組みましょう。
- ターゲット層に応じて応募受付方法を考える
- 筆記試験、面接など自社の状況に応じて適切な段階を設定する
- 選考段階に応じた面接官を配置する
- 応募者の管理を的確に行う
- 個人情報の管理には細心の注意を払う
応募受付から選考の実施までのイメージが掴めたでしょうか。良い人材を採用するためにはまずは良い人材に応募してもらわなければなりません。「求める人物像」に合ったターゲット層に応じたサイトを利用し、自社の採用基準を確認するのに適切な選考内容を検討して選考を行いましょう。応募者の履歴書などに記載されている内容は重要な個人情報になりますので、間違いのないように適切な管理を行いましょう。
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