厚労省の「スタートアップ労働条件」のWeb診断をやってみた。

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

スタートアップ労働条件

事業者(経営者)が、起業の際に労務管理で困らないようにと、厚生労働省は2016年11月にWebサイト「スタートアップ労働条件」をオープンしました。

このWebサイトの目玉は、Q&A形式で自社の労務リスクを診断・チェックできる「Web診断」サービスです。 サイト名に「スタートアップ」とつけるほど起業家にフォーカスしているので、きっと起業時に便利な情報やノウハウが得られるに違いない!と期待が高まります。ということで、実際に診断を受けてみました。

 

はじめに

「Web診断」へは、PC、もしくはスマートフォンのWebブラウザからアクセスします。今回は、スマホ版で診断してみましょう。

Webブラウザで「スタートアップ労働条件」と検索し、最初に表示される「スタートアップ労働条件:事業者のための労務…」をタップしてサイトに遷移します。

 

スタートアップ労働条件 検索結果

遷移後表示される、「スタートアップ労働条件」のHOME画面。

 

スタートアップ労働所件HOME

この画面の中で一番目立つ「診断スタート!」をタップします。

ドキドキ。。。

と。いきなり、メールアドレスとパスワードの入力画面が表示されます。登録制サービスなのでしょうか…?

 

スタートアップ労働条件 ログイン画面

登録制だとすると、もし違法(である可能性が高い)結果が出たら、労基署から連絡がくるんですかね… いきなり、ハードル高いです。

よく見ると、「ゲスト」で診断できるみたい。安心しました。

 

ということで今回は「ゲストで診断」していきます。

 

診断したい項目の選択

まず最初に、診断対象を選択します。

  • 一括診断(40問)

もしくは

  • A 募集・採用、労働契約の締結(5問)
  • B 就業規則・賃金・労働時間・年次有給休暇(10問)
  • C 母性保護・育児・介護(8問)
  • D 解雇・退職(7問)
  • E 安全衛生管理(5問)
  • F 労働保険・社会保険、その他(5問)

から選択します。せっかくなので、「一括診断」を選択して「診断スタート」します。

 

スタートアップ労働条件 質問カテゴリー

 

どんな質問があるのか?

一括質問は、全40問です。「採用選考時にどのような事項を確認していますか。該当するものをすべて選んでください。」「休憩時間は与えていますか。いずれか一つを選んでください。」などの質問が出されます。回答には「労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を与えている。」「労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を与えないことがある。」など、労基法と結びついているであろう選択肢が並びます。難しい労務用語には、説明文章へのリンクもついているので、なんとか回答できました。

 

スタートアップ労働条件 できる質問

 

質問の中で、育児や介護についての規則に関するものがあります。育児中や介護中の社員がいない場合は、回答に困るような質問も含まれています。セクハラ・パワハラ・マタハラについても、少人数チームだと「防止対策を講じ」る必要性の無い会社もある気がします。

 

スタートアップ労働条件 質問2

 

そして、この質問

 

スタートアップ労働条件 質問3

定年に関する規定。なかなか現実的に、起業直後に定年の規定がある会社は多くない気がします。シリアルアントレプレナーの方等は、このあたりも手堅く決めておくのでしょうか?

 

結果は、どうだったか?

さて、40問の質問への回答が終了しました。

そして総合判定が出ました。62点でした。なかなか、評価が難しい点数です。

マイナス評価が与えられたのは、主に育児介護関係の項目です。

 

スタートアップ労働条件 結果1

先の章でも書きましたが、育児中社員がいなかった点が、マイナス評価につながった形となりました。

質問の分岐をもう少し増やす等して、より正確に診断できる工夫があったら嬉しかったです。

 

スタートアップ労働条件 結果2

まとめ

正直なところ、「スタートアップ」「起業」シーンにいる事業者(=起業家)に向けて、労務管理や安全衛生管理を啓蒙する目的であるならば、もう少し起業家に寄り添った質問の仕方をしてくれたらと思う箇所が多かったです。

 

この診断サイトは、むしろ従業員が10人以上の中小企業経営者に必要、且つ有効なサービスだと思いました。

 

結果表示画面の最後に「厚労省人事労務マガジン」登録ボタンがあったので、登録しておきました。

 

厚生労働省人事労務マガジンに登録する

以上です。

勉強になりました!