中小企業で初めて従業員を採用するために求める人物像を決定するには

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

初めて従業員を採用するために、まずはどんな人物を採用するべきかを考える必要がありますね。

その人物像の決定するためには、どんな要素を検討すると良いのでしょうか?求める人物像を決定するため必要な要素をご紹介していきますので、従業員の採用を考える際の参考にしてみて下さい。

求める人物像を明確に定めているほど、自社に合った人物の採用を効果的に行うことができます。

企業の方向性と将来のスタイル

求める人物像を決定する際には、まず企業としての将来の方向性を決めるといいでしょう。例えば以下のポイントのように方向性を考えてみて下さい。

 

  • 事業拡大は行わずに当分の間、少数精鋭で行う
  • 年々人数を増やして事業を拡大していく
  • 現在は開発が主体だが将来的には営業にも力を入れたい
  • 今ある事業の技術者の専門性を高めてスペシャリスト集団をつくりたい など

 

事業の内容をどのように成長させたいかによって、どのような能力を持った人材を採用するかも変わってきます。求める人物像を決定するために、企業としての方向性をまず考えてみましょう。

求める人材の人柄・性格

求める人物像を考える際には業種や職種により、ある程度求める人材の性格や人柄の傾向が決まってくるものではないでしょうか。例えば以下の例を参考にしてみて下さい。

  • ソフトウェアなどの開発→地道に責任をもって作業を続けられる人
  • サービス業→社交的で接客対応能力に長けている人
  • 事務職→物事を正確に処理できるまじめさを持った人
  • ベンチャー企業→新しいことに取り組めるチャレンジ精神を持った人
  • 製造業→手先が器用で地味な作業の繰り返しを厭わない人 など

これはほんの一例ですが、業種や職種における適した性格を考えてみましょう。また、それに会社の人数規模や社風によっても適している性格あると思いますので同じように考えてみて下さい。

【小規模の会社の場合】

自分から考えて行動し、新しいことや事業拡大にも挑戦できる人

【歴史に深くて企業の体制が安定している会社】

決められたことをこなすことが得意な人

【できたばかりの新しい会社】

多才なスキルを持っており、臨機応変に対応できる

 

会社の状況を冷静に分析すると、どのような人物に入社してほしいかということが具体的に見えてくるのではないでしょうか。

業務を遂行するために必要な能力

募集をかける仕事に必要な能力やスキルを明確にしておくことは求人情報の作成にも役に立ちます。例えば、以下の内容を明確にしておくと良いでしょう。

  • 必要な仕事経験やその経験年数
  • 持っていると良い資格
  • 経験していると良いソフトウェア
  • 経験していると良い現場
  • 部下の管理経験があった方が良いか など

これらをそのまま求人情報内容に記載すると、それらの能力を持った人が主に応募してくることになります。選考で迷った時の判断基準にも役立ちますので、ぜひこれらのポイントは明確にしておきましょう。

現場のニーズを求める人物像の参考にする

どんな人材を採用するのかを決定するのは会社の人事採用や所属部署の役員ですが、実際に一緒に働くのは現場の社員です。

募集をかける仕事の部門にどんな人材が必要なのが事前にヒアリングをすると、本当に現場に必要な人材の採用につながるのではないでしょうか。例えば以下のポイントで現場に確認をしてみて下さい。

  • どんな仕事内容を担当させるか
  • 具体的にどんなスキル、経験が必要か
  • どんな性格や人柄が適しているのか
  • 現場では実際にどんな雰囲気なのか
  • 即戦力が必要なのか、若手を育てる余力があるのか など

入社してからの配属予定先の状況を確認しておくと真のニーズが見えてきて、求める人物像の参考になります。また、ここでどんな人材が適しているのかを具体的にしておくことによって入社後の退社を少なくすることにもつながります。

せっかく採用した人材がすぐに退職してしまうようでは採用活動の意味がなくなってしまいます。長く活躍してくれるような人材を採用するために現場のヒアリングはぜひ行いましょう。

まとめ~求める人物像を採用選考に活かすために~

人材を採用するためには求める人物像を明確にしておくことが大切です。

以下のポイントにそって求める人物像を考えるようにしましょう。

  • 事業の今後の方向性に必要な人材
  • 業種や職種、社風などに適した性格である人材
  • 仕事に必要なスキルや能力を持った人材
  • 現場のニーズにあった人材

これらを初めに明確にした上で、求める人物像を決定するようにしましょう。採用する際には面接官も複数人いますし、役員や幹部に報告する際にも会社として共通の「求める人物像」があると共通の判断基準ができます。

人材の採用を効果的にできると共に将来的に継続して長く活躍してくれる社員の採用にもつながりますので、採用計画の初めの準備としてまずは求める人物像を明確にしましょう。