「仕事をやめたい」30代非正社員の15%が回答。〜パートタイム労働者総合実態調査の概況〜

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部

パートタイム労働者調査

労働人口が減少傾向にある我が国では、非正社員(以下、パートタイム労働者/パート)の量と質を上げていく必要性に迫られています。
 

厚生労働省は、平成28年「パートタイム労働者総合実態調査」の結果を取りまとめ、公表しました。これは、2011年以来5年ぶりとなる調査です。
 

それでは、調査結果をもとに、パートの量と質を上げる上での課題をみていきましょう。
 

※今回の調査では、5人以上労働者を雇用する約17,000の事業所と、そこで働くパートタイム労働者(以下、パート)約17,000人を無作為抽出して行ったもので、有効回答率は事業所調査で58.4%、個人調査で58.8%となっています。
 

※今回の調査での「パート」とは、フルタイムで働く正社員以外の労働者全般のことです。パートタイマー、アルバイト、準社員、嘱託、臨時社員、などの名称にかかわらず、週の所定労働時間が正社員よりも短い労働者は「パート」です。
 

今後の希望する働き方は、「仕事をやめたい」。30代前半パートの15%が回答

仕事をやめたい15%
今後の希望する働き方をパートに尋ねたところ、20代前半では「正社員になりたい」と回答する人が56.5%と最多ですが、30代前半ではその回答は26.2%まで急激に下がります。
 

その代わりとして、30代前半では「仕事をやめたい」と回答する人が15.1%と急増します。性別で見ると「仕事をやめたい」と回答したのは、男性が女性を上回っています。

会社や仕事に「不満・不安は無い」と回答した人が約半数

現在の会社や仕事に対する不満・不安について尋ねたところ、下記のような回答が得られました(複数回答可・上位10回答)。

  1. 不満・不安は無い:47.6%
  2. 業務量が多い:25.8%
  3. 業務内容や仕事の責任は正社員と同じなのに正社員と比較して賃金が安い:21.8%
  4. 通勤・退職手当等がない又は正社員と比較して安い:21.7%
  5. 休暇がとりにくい:19.3%
  6. 仕事の責任が大きい:17.9%
  7. 職場の人間関係が良くない:16.0%
  8. 雇用が不安定:13.6%
  9. 正社員になれない:13.5%
  10. 労働時間が不規則:11.8%

30歳を境に変化する、パートとして働く理由

パートとして働く理由

パートとして働く理由は、「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから(57.0%)」や「勤務時間・日数が短いから(39.4%)」が年代や性別に関わらず多くなっています。
 

それ以外の理由は、30歳前後で大きく変わっています。20代後半では「正社員として採用されなかった(19.3%)」「正社員としての募集が見つからなかったから(24.7%)」という回答が多くみられますが、30代に入るとその回答は激減し、代わりに「家庭の事情(育児・介護等)で正社員として働けないから(31.4%|35.7$%)」が急増します。

低賃金の理由は、「自由」で「期待値」が低いから。

低賃金の理由

正社員の1時間あたりの賃金に比べ、パートの賃金が低い企業が多くみられます。その理由を企業側に尋ねたところ、上記のような回答が得られました。
 

「パートは勤務時間の自由が利くから(49.0%)」と半数の企業が回答しています。逆にいうと、正社員は自由な時間を奪われている対価として、パートよりも多い賃金が得られているといえます。

また「正社員は企業への将来的な貢献度の期待が高いから(26.6%)」と1/4以上の企業が回答しています。これは、正社員に対して「これだけ賃金を(余分に)支払っているのだから、もっと貢献して欲しい」というメッセージとも考えられます。どこか前近代的に感じるのは、著者だけでしょうか?

まとめ

正社員とパート
平成28年「パートタイム労働者総合実態調査」調査は、従業員5名以上の企業に対して行われました。
 

調査対象の企業は、正社員(フルタイム従業員)のみが20%ありますが、その他80%はパートを活用していることがわかります。
 

パートを選択して働く、従業員の理由は様々で、能力も様々です。
 

合理的でない理由で、パートの従業員を低賃金で使用することは、今後「同一労働同一賃金」が制度化されると、社会的に問題視されることが予想されます。
 

多様性のある働き方を、どのように企業組織に導入していくのか。人事労務担当者の手腕が今、問われています。

 

出典

 

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『人事労務の基礎知識』編集部
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株式会社BEC内で、Gozal(ゴザル)の編集制作を担当する部門です。社会保険労務士/弁護士/税理士などの専門家執筆陣とともに、中小企業の労務・給与計算担当の方が実務上感じる不安を払拭できるよう、情報発信しています。「こんな記事を読みたい!」とTwitterやFacebookでメッセージいただければ、可能な限り執筆いたします。