職場ハラスメントの相談窓口サービスを開拓|社労士・橋場たまきさんの横顔

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

アネトス社会保険労務士事務所 橋場たまき

東京・新宿を拠点に、セクハラ、マタハラ、パワハラなど職場のハラスメント問題に取り組む特定社会保険労務士・橋場たまきさんに、これまでの沿革や今後の展望について伺ってきました。
 

多くの人が不条理な苦難に直面している状況を変えたい。

ー社労士になるまでの経緯を教えてください

大学卒業後は、大手スーパーマーケットの店舗に就職しました。
 

そのスーパーマーケット自体は素晴らしい企業組織だったと思うのですが、配属された部署がブラックでした。長時間労働、セクハラ、パワハラなど様々な苦難を体験しました。
 

自分だけでなく、多くの人が不条理な苦難に直面している。なんとか状況を変えたい。
 

でも組織の中で自分の力の小ささを実感し、自分自身が実力をつけなければという思いが募っていきました。労働問題に強い弁護士になろう!その時決意しました。
 

一度決めたら行動しなければ我慢できない性格です。会社を退職し、司法試験の勉強をしやすいよう時間に融通の利くコールセンターに転職して、受験勉強を進めました。
 

しかし司法試験では、中々思うような成果が出ませんでした。焦りが自分を支配していくのを感じました。その時、労働問題に取り組むなら、弁護士ではなく社労士でもいいのではないか、と考えるようになりました。早く結果を出したい、そして方向転換し社労士となることを決めました。
 

当時、コールセンターでも責任あるポジションにしていただいていたので、社労士の勉強もままならない状況でしたが、なんとか合格することができました。
 

当初の想いとは異なり、弁護士ではなく社労士として活動することとなりましたが、当時変えたいと思った状況に対峙する気持ちは変わりがありません。
 

弁護士になっていたら、裁判等事件後の処理にコミットしていたと思いますが、現在私は社労士として事件前、つまり事前に問題が起こることを予防する立場で、昔自分が「変えたい」と思った状況を変えていきたいと思っています。

「ハラスメント相談窓口」を、お任せ頂くことが増えています

ーどのようなお客様・お仕事が多いですか?

現在増加中で私自身も特に時間を割いて取り組んでいるのは、セクハラやパワハラに関する社外窓口をはじめ、社内実態調査、再発防止対策支援業務です。
 

セクハラやパワハラの相談窓口業務は通常、最初は専用メールフォームでご連絡をお受けしておりますが、デリケートな内容ですので細心の注意を払って対応します。
 

もともと私はコールセンターを渡り歩き、通算で10万件以上のお問い合わせを担当し、SVとして直接お客様と交渉してきた人間です。セクハラやパワハラの相談を受ける際も、最初の情報が少ない段階で、いかに相手の気持ちを察しながらスマートにコミュニケーションを進めるか。当時の経験を活かしながら、試行錯誤して、この分野を切り開いています。
 

なお、公益財団法人21世紀職業財団ハラスメント防止コンサルタントとして、同財団客員講師としての活動もさせていただいています。
 

ーセクハラやパワハラの相談窓口業務のシステムをざっくり教えてください。

セクハラやマタハラについては、法律で企業に防止措置義務があります。
 

大企業の場合は、独自に相談窓口を作る力がありますが、マンパワーに限りがある中小企業ですとまだ自社内に独自の相談窓口を作るのは難しいケースが少なくないようです。
 

私の事務所に相談窓口業務を依頼されるのは、だいたい従業員100名〜のお客様が多いです。ちょうどコンプライアンスに対しての強い意識が必要な企業フェーズですが、なかなか自社だけだと対応できないという会社です。
 

ご契約いただくと、相談用専用メールフォームへのアクセス情報をお伝えし、従業員の方に周知いただきます。
 

そして従業員の方から相談の連絡がメールで私のところにきましたら、電話や直接面談で詳細なお話をお聞きします。
 

このタイミングでは、私は第三者的なポジションを崩しません。相談者と人事・労務部門との完全なる板挟みです。笑
 

相談者には「人事部には言わない」という条件で細かい相談内容をお聞きし、許可をとった部分だけ人事部に伝えていきます。この信頼関係を築くのも大変な作業です。問題解決の為には人事部や関係部署との連携が不可欠ですので、相談者の気持ちを考慮しつつ、調整していきます。
 

これまでの傾向ですと、パワハラ被害の相談者は、内容を細かく話してくれるのですが、セクハラについては中々話してくれません。 ハラスメントの相談対応の際には事情を無理に聞き出すことでフラッシュバックを起こす危険性についても考慮する必要があります。このあたりは素人の方では中々難しいと思いますので、専門家の力を発揮すべきフィールドだと感じています。

働き方改革で、誰もが気持ちよく働ける環境を作り出すことが重要

ー読者の方にメッセージをお願いします

「働き方改革」による、多様な労働力の提供について、その重要性が高まっています。

これまでの日本型組織では、他とちょっとでも違うものがあると、それをからかったり排除したりする力が働きやすかったのではと思いますが、これからの社会では、そういった違うものを尊重し、誰もが気持ちよく働ける環境を作り出すことが重要になります。

職場でのハラスメント対策、LGBT(レズ・ゲイ・バイセクシャル・トランス)なども含めたダイバーシティ対策について、何か第一歩を踏み出したいとお考えの方がいらっしゃいましたら、どうかお気軽にお声掛けください。

「アネトス社会保険労務士事務所」について

顧問契約をした場合に受けられるサービス

一般的な労働保険・社会保険の手続きは勿論のこと、その他にも下記を含みます

  • 就業規則が適切に整備・届出されているか
  • 36協定が適切に締結・届出されているかどうか
  • 労働条件通知書(雇用契約書)は交付されているか
  • 法定帳簿の整備がなされているか(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿等)
  • 時間外手当の計算が適正に行われているか
  • みなし労働時間制の適正な運用がされているか
  • 減給の制裁の運用が適正に行われているか
  • 最低賃金が支払われているか
  • 保険料の算定が適正に行われているか
  • 派遣社員の適正な受け入れができているか
  • 36協定以外の労使協定が適正に締結・届出されているか
  • 年次有給休暇の管理が適正に行われているか
  • 変形労働時間制の適正な運用がされているか
  • 安全衛生管理体制は適正に整備されているか

顧問契約の費用感

  • 初期費用:原則なし(新規適用時、要相談)
  • 従業員10人までの会社の顧問料:25,000円
  • その他:下記事務所Webサイトをご覧ください。

顧問契約以外で多い依頼BEST3

  1. 企業・学校・公官庁での管理職向けハラスメント防止研修、ハラスメント社内相談窓口担当者に選任された方々向け研修:研修実施前に組織の実態について社内アンケート等を実施し、その結果分析を踏まえたうえで研修内容を完全オーダーメイドで構築するか、社内アンケート等の実施は必要ないが人事部門と詳細なお打合せをしたうえでのオーダーメイドとするか、弊所が日頃よりストックしている豊富な研修コンテンツ(年々バージョンアップしております)から選んで頂くセレクトタイプとするか、ワークはどの程度盛り込むかなど…ご予算、実施時間(2~3時間コースが人気です)などご都合に応じてご提案させて頂きます
  2. ハラスメント社外相談窓口:相談対象者人数や相談対応時間、相談窓口の設置だけではなく問題が実際に発生した場合の実態調査(ハラッサーと名指しされた方や周辺の同僚の方々へのヒアリングなど)や再発防止策の構築など…ご予算・ご都合に応じてご対応させて頂きます
  3. 就業規則の作成・お作り直し:コンプライアンス対応のみならずお客様企業の実情に応じた完全オーダーメイドで作成する場合、本則25万円~(顧問契約を同時にご契約して頂ける場合には割引させて頂いております)にてご提案させて頂きます。
     また「詳細な打合せをしている時間が無い」「取り急ぎ就業規則が必要になった」などのご事情がおありの場合にはご事情を伺いながらベストなご提案させて頂きます。

問合先

  • 事務所名:アネトス社会保険労務士事務所
  • 住所:東京都新宿区新宿2-12-13
  • 業務対応可能エリア:東京都全域、神奈川県、埼玉県・千葉県など。 ※企業研修については全国対応可能です
  • 電話番号:03-5860-6529
  • Webサイトhttp://anetos.net