[ 健康保険 ] 被保険者整理番号、事業所記号とは

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

[健康保険] 事業所記号、被保険者整理番号とは

健康保険証は、本人確認に使用されることもある、重要な証明書です。健康保険証には、色々な記号や番号が記載されていますが、これらの記号や番号は、いつ配番されて、どのような用途で使用するのでしょうか。今回の記事で一緒に確認していきましょう。

 

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健康保険の種類

自分以外の健康保険証を目にすることはあまりないので、気づきにくいですが、健康保険証はその発行元により、それぞれ色や形が異なっています。

会社員の方が加入する健康保険は、大きく2種類に分けられます。

一つは全国健康保険協会(いわゆる「協会けんぽ」)

もう一つは、企業や業界全体で独自に設立する健康保険組合です。健康保険組合をつくるには、被保険者が常時700人以上おり、厚生労働大臣の認可を受ける必要があります。

なお、会社員の方には関係しませんが、公務員などが加入する共済組合、自営の方等が加入する国民健康保険、船員とその被扶養者が加入する船員保険などもあります。

※今回は、主に「協会けんぽ」を例として確認していきます。

記号/番号はいつどのように付与される?

健康保険被保険者証(健康保険証)

公的な手続きをする際に、度々必要になるのが色々な記号や番号です。この記号や番号はどこに載っていて、どんな時に使用するのか戸惑う場面に遭遇することがあると思います。

まず、記号や番号の確認方法について見ていきましょう。

健康保険証の「記号」は事業所ごとに数字が割り振られており、職場が同じ場合は、同じ数字が書かれています。この記号は健康保険の「事業所記号」と呼ばれます。稀に「事業所整理記号」と呼ばれる場合もありますが、日本年金機構へ提出する書類に記す事業所整理記号とは異なります。つまり「健康保険厚生年金被保険者資格」の取得・喪失・変更の手続きや、社会保険関連全般で使用する「事業所整理記号」ではありません。混同しやすいので気を付けましょう。

次に、健康保険証の「番号」についてです。この番号は「被保険者整理番号」と呼ばれます。

事業所の従業員である被保険者ごとに数字が割り振られています。通常、年金事務所にて新規適用手続きをする場合は1番から順に従業員ごとに番号が振られます。その後、新入社員等で新しく健康保険証を発行する場合は、続きの番号を採番することになります。

会社の台帳等で管理しておくと、重複等による訂正作業が起こらないので便利です。また、扶養家族の被保険者整理番号は、被保険者本人と同じ数字となります。

健康保険の記号・番号は、様々な書類に記載します。健康保険証再交付申請、傷病手当支給申請、出産手当金の申請など健康保険の給付に関連する書類等です。詳しくは下記で説明します。

なお、社会保険手続きにおける日本年金機構が管理する事業所記号は「漢字・かな文字」で表記されます。一方、協会けんぽの事業所記号は日本年金機構の事業所記号を数字に変換したものとなります。各都道府県の協会けんぽのホームページに変換方法の説明が載っていますので、参考にしてください。

参考:協会けんぽの被保険者証、変換方法について-東京

健康保険証の記号/番号はどのような時に必要

健康保険証の記号/番号は社会保険全般の届出では使用する機会が少ないですが、以下のような健康保険に関する手続きには必要となります。各申請書の一番上に被保険者(申請者)情報欄があります。被保険者情報の記号、番号欄に健康保険証の記号、番号をそれぞれ記入しましょう。

健康保険証の再交付手続き(提出書類:健康保険被保険者証再交付申請書)

意外と多い手続きです。被保険者本人は健康保険証を紛失していることから、当たり前のようですが記号/番号が不明の可能性が高いです。給与の台帳等で社員番号と一緒に健康保険番号も管理していると、いざという時にスムーズに手続きができます。

健康保険から給付を受ける際の手続き

仕事以外の理由でケガや病気になり休業する場合には、支給要件に合えば「傷病手当金」(提出書類:健康保険傷病手当金支給申請書)が支給されます。また、従業員が妊娠した場合、産前産後の休業中には「出産手当金」(提出書類:健康保険出産手当金支給申請書)、従業員やその被扶養者が出産したときには「出産育児一時金」(提出書類:健康保険被保険者家族出産育児一時金支給申請書)が支給されます。いずれも休業中の生活保障となる制度ですので、できるだけ速やかに手続きを行いましょう。

その他

急病や転勤後すぐで健康保険証を携帯せずに病院で診療を受けることもありますね。その場では全額自費で支払いますが、後日、立替分の支払い請求(提出書類:健康保険被保険者家族療養費支給申請書(立替払等))を提出すると自己負担分を差し引いた金額が払い戻される制度もあります。

また、病院での治療費が高額となる場合も考えられますね。自己負担が一定の限度額を超えた場合でその治療内容によっては「高額療養費」(提出書類:健康保険被保険者被扶養者世帯合算高額療養費支給申請書)を請求することも可能です。

病気等には全く無縁な従業員についても健康診断を受ける際の申請書等で健康保険証の記号/番号が必要になることが多いです。あと、あまり起こって欲しくない事例ですが、従業員が死亡した時は「埋葬料(費)」が、従業員の被扶養者である家族が死亡した場合も「家族埋葬料」が健康保険から支払われます。

健康保険の給付以外で健康保険の被保険者整理番号を使用するのが、年金事務所に届出する「被保険者報酬月額算定基礎届」です。年に1回7月に提出する書類ですが、通常は年金事務所によってあらかじめ従業員の氏名や被保険者整理番号が印字されています。手書きの場合は、健康保険証の被保険者番号を被保険者整理番号欄に記入しましょう。ただし、事業所整理番号は社会保険関連全般で使用する「漢字・かな文字」の方の記号を使用しますので気を付けましょう。

健保組合等について

協会けんぽで使用されている記号/番号は協会けんぽ独自のものとなります。企業が独自で設立している健保組合等では記号や番号の種類や桁も異なります。支社ごとに記号を設定したり、正社員、契約社員、パート等で分類することも可能です。番号を個人を特定するものですから社員番号と同一にするなど、それぞれの企業が管理しやすい設定となっています。また、健康保険によって保障される内容もそれぞれ異なる場合があります。健康保険に関する給付について請求する際には保険者欄にある発行元に確認するとスムーズです。また問い合わせの際には、健康保険証の記号/番号が必要となりますので、あらかじめ準備しておきましょう。

まとめ

従業員の傷病や出産、育児、障害等に関する給付の手続きは申請をしないと給付は行われません。健康保険だけではなく、雇用保険や年金など様々な保障制度がありますので、事案ごとに提出書類や必要な添付書類、請求先を整理しておくと申請漏れを防ぐことができるでしょう。

 

 

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