アルバイトが22時から翌朝5時までの間に勤務した場合、割増時給をいくら払えばよいか

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

店長、今日わたし深夜シフトです!

アルバイトが22時から翌朝5時までの間に勤務するような場合は、時給の計算はどのように行えばいいのでしょうか。労働時間と時間外手当の考えかたを確認しながら、実際の勤務時間を想定して、割増時給を計算してみましょう。

労働時間の考え方

労働時間には、法定労働時間所定労働時間の2つがあります。

法定労働時間とは、労働基準法に定められた時間で、1週間で40時間を超えて働いてはならないという規定になっています。よって、1日当たりは8時間となり、仮に110時間働くものとするというような契約を会社が行った場合は、労働基準法違反となります。

所定労働時間とは法定労働時間とは異なるもので、法定労働時間の範囲であれば、17時間でも730分でも問題なく、会社によって、異なるものです。

ここで気を付けたいのが残業手当の考え方です。

残業手当は、あくまでも法定労働時間を超えた部分に対して、支給されるものです。仮に所定労働時間が17時間で、9時間働いたとしましょう。この場合は、所定労働時間を2時間超えていることになりますが、残業手当はこの2時間が対象となるのではなく、法定労働時間8時間を超えた1時間が残業手当の対象となります。

時間外手当

時間外手当の考えかたについて、確認してみましょう。

時間外手当は

  • 早出残業手当
  • 休日出勤務手当
  • 深夜残業手当

の3つがあります。

アルバイトが22時から翌朝5時までの間に勤務するような場合は深夜残業手当の対象となります。

早出残業手当は、通常の給与より25%以上割増した金額を早出残業した時間分、支払います。仮に時給を,1,000 円とした場合、1時間残業した場合、1,000×25%=250円分を割り増しして支払うことになります。

休日出勤務手当は、通常支払われる給与より、35%以上を割り増しした金額を勤務時間分支払います。

労働基準法では、法定休日(1週間で1)を与えなければならないとしています。通常は、就業規則で、週休2日制を採用している会社が多く、土日を所定休日としている会社が多いです。したがって、土日出勤の場合は休日出勤となり、仮に時給を,1,000円とした場合、1時間当たり1,000×135%=1,350円で賃金を計算することになります。

そして、本テーマの深夜残業手当です。

アルバイトが22時から翌朝5時までの間に勤務するような場合は、早出残業手当と同じく、通常の給与より25%以上割増した金額を深夜残業分支払います。ただし、この深夜残業手当は、前述した早出残業手当と休日出勤務手当も加算して計算されます。

仮に、定時が9時から18時で、24時まで働いた場合、18時から22時までの分は通常の早出残業手当の対象です。仮に時給を,1,000円とした場合、1,000×25%=250×4時間=1,000円分が割り増しとなります。そして、22時から24時までの分は通常の早出残業手当にさらに深夜残業手当が加算されて、仮に時給を,1,000円とした場合、1,000×50%(25%+25%)=500×2時間=1,000円分が割り増しとなります。

この場合、結果的に割増賃金は通常の早出残業手当と深夜残業手当を合わせて、1,000円+1,000円=2,000円となります。

ただし、所定労働時間は法定労働時間内であればよく、特にアルバイトの場合は短時間での労働が多いはずです。仮に所定の労働時間が17時から22時で、24時まで働いた場合、法定労働時間は超えていないため、通常の早出残業手当の対象にはなりません。だたし、深夜22時以降働いているので、22時から24時までの分は深夜残業手当の対象となり、1,000×25%=250×2時間=500円分が割り増しとなります。

したがって、通常の勤務時間によって、深夜残業手当の計算が異なるので、計算する際はアルバイトの通常の勤務時間を確認する必要があります。

割増賃金の端数処理

割増賃金を計算するにあたって、時給はどのように計算すればよいのでしょうか。通常、時給が決められていればその金額で問題ないですが、役職手当がある場合、時給に換算して考慮します。

仮に時給が1,000円とした場合、1,000×125%=1,250円が1時間あたりの残業時間の時給ですが、仮に店長手当が月25,000円ある場合、この手当も1時間あたりの残業時間の時給に加算します。所定労働時間が160時間とした場合、25,000÷160時間=15625銭です。この円未満の数字は四捨五入か切り上げとなります。よって、1時間あたりの残業時間の時給は、1,250円+15625銭=1,406(端数処理後)になります。深夜残業であれば、1,000×150%=1,500円+15625銭=1,656(端数処理後)になります。仮に1ヶ月10時間深夜残業した場合、(1,656円-1,000 円)×10時間=6,560円の深夜残業割り増し賃金となります。

まとめ

アルバイトの残業未払い問題は社会問題となっており、世間の注目を集めています。まずは、22時以降の深夜残業は、必ず25%割り増しになります。さらに勤務時間が法定労働時間の8時間を超えている場合は50%割り増しになります。

また、時給の計算も気を付ける必要があります。時給計算には、役職手当を含むということです。どうしても端数が計算上、発生しますが、四捨五入か切り上げとなります。切り捨てだと従業員に不利とるためです。この計算も細かいとことですが、仮に1円違いで、1年で200時間残業しているような場合200円も違ってきます。

アルバイトだからといって、おろそかにせず、正確に残業時間を記録し、間違いなく割り増し賃金を計算しましょう。