[働き方改革対応] 労働時間管理の考え方と選択方法について、社労士の濱田京子さんに聞く。

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

[働き方改革対応] 労働時間管理の考え方と選択方法について、社労士の濱田京子さんに聞く。

社会保険労務士・濱田京子さん

労働時間管理の法制は、働き方改革により大きく変化しようとしています。人事労務の現場からは「実際問題、何から手を付けたらいいのか?」「何を変えなければならないのか?」といった疑問の声が、社労士の方に多く寄せられていると言います。

そんな疑問をどうすれば解決できるのか?新刊『最適な労働時間の管理方法がわかるチェックリスト(2017/11/15発売)』を執筆した濱田京子さん(エキップ社会保険労務士法人)に、働き方改革に関連した労働時間管理について伺いました。

 

「働き方改革」で、人事労務担当者が特に気をつける点を教えてください

働き方改革関連法案は、2017年秋に国会審議される予定だったのですが、先の衆議院解散総選挙により、2018年に持ち越されました。しかし既に法案の内容は厚労省の労働政策審議会で「概ね妥当」と専門家に評価されていますので、法改正の施行は2019年春以降になると考えられます。

人事労務担当者が気をつけなければならないのは「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」に関する部分だと思います。
 

特に「長時間労働の是正」は、これまでの“昭和”的な労務管理から脱却し、生産性の向上を実現し、少子高齢化が進む日本の社会経済を支えるために必須だと考えられています。

これまでの“昭和”的な労務管理からの脱却とは?

これまで日本企業の多くは、コアとなって働く従業員は、フルタイムで勤務し、転勤も辞さず、残業も許容してくれる「正社員」であることを期待していたと思います。そして労務管理も、彼らを前提として画一的に設計されていたと思います。これを“昭和”的な労務管理と表現しています。
 

その“昭和”的な労務管理は、既に破綻してきています。たとえば、育児・教育・介護などでフルタイムや転勤、残業が困難な従業員が増えていますが、その従業員を“昭和”時代のように「退職」に導くような画一的な労務管理設計をしていては、その企業の存続は厳しくなるでしょう。
 

また、従業員に“昭和”的な、仕事のために全てを犠牲にして当然だというような考え方も改める必要があります。

具体的にはどうすれば良いですか?

自社で実際に配慮が必要な従業員を想定し、実態にあった労働時間管理方法を選び出し、設計・運用することから始めてみてはいかがでしょうか?
 

たとえば、子育てをしながら、時短で働いている従業員がいて、そろそろ時短の制度の適用範囲外になろうとしているとします。その従業員が、肉体的にも精神的にも過剰な負担無く仕事を続けてもらうにはどうしたら良いのか?
 

「フレックスタイム制」「裁量労働制」「短時間正社員制」「在宅勤務制」など、様々な制度によって、その従業員の負担を減らすことができると思います。
 

制度の導入判断は、その企業が属する業界によっても変わるでしょうし、企業年齢やそのほかの要素によっても変わります。
 

各制度の説明や、選択する際のポイントは自著『最適な労働時間の管理方法がわかるチェックリスト(2017/11/15発売)』に記載していますので、ご興味のある方は参考にしていただけると幸いです。

著書のお話が出ました。簡単にご紹介いただけますか?

「働き方改革」は、企業や労働者の日常に大きなインパクトがあるため、連日マスコミでも取り上げられるテーマとなっています。
 

しかしまだ改正法の施行日も決まっておらず、経営者や管理職、人事労務担当者の方は、何を変える必要があるのか、具体的にイメージすることが難しい状況だと思っています。
 

当社の顧問先企業ご担当者様からも「今後の法改正をふまえて、どのような労働時間管理制度を導入すればよいのか分かりづらい」といった声を多く頂いています。
 

顧問先の方だけでなく、多くの経営者や人事労務担当者の方が困っている課題を解決するための、一助となりたい。そんな思いで執筆したのが『最適な労働時間の管理方法がわかるチェックリスト(2017/11/15発売)』です。
 

前回の単著から約3年。これまでご好評をいただいた「チェックリスト」形式を踏襲しつつ、各制度の比較表、豊富な図版による解説、就業規則の改定例などを200ページ程度にギュッと凝縮しています。
 


 

様々な制度を横断的に理解できるような情報は世の中に少ないので、その点も考慮してまとめて掲載しています。ぜひお手にとってご確認ください。

書籍情報

最適な労働時間の管理方法がわかるチェックリスト
著者濱田京子
出版社:アニモ出版
発売日:2017年11月15日
価格:1,944円

『最適な労働時間の管理方法がわかるチェックリスト』

【目次】

  • 1章:労働時間の管理方法を決めよう
  • 2章:労働時間に関する基礎知識をインプットしよう
  • 3章:期待する効果を達成するための労働時間管理の方法を選ぼう
  • 4章:違法な残業をなくす方法を検討しよう
  • 5章:休日・休暇等が正しく運用されているかチェックしよう
  • 6章:労働基準法の改正で労働時間のルールはこう変わる!?
  • 付録:「就業規則」「在宅勤務規程」「労使協定」の作成のしかた

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